2020.11.19 ■第一生命HD 20年度第2四半期決算、連結純利益は9%減の833億円[2020年11月13日]

 第一生命ホールディングスが11月13日に発表した2020年度第2四半期決算によると、連結経常収益は前年同期比8.0%減の3兆3631億円、連結経常利益は同15.9%減の1628億円となった。グループ修正利益は同54%減の841億円(進捗率47%)、連結純利益は同9%減の833億円(同45%)だった。国内は、第一生命は基礎利益が増加した一方、金融派生商品損益の悪化から修正利益は同52%の減少、第一フロンティア生命の修正利益も危険準備金戻入の反動減から同51%の減少となった。海外の修正利益も同46%減少したが、米PLCが金融市場悪化等による第1四半期の赤字から黒字化、豪TALは増益を確保した。
 営業業績では、グループ全体の新契約年換算保険料は前年同期比42.5%減の859億円となった。国内3社計の新契約年換算保険料は同53.1%減の529億円となったが、これは新型コロナ感染拡大に伴う営業自粛等の制約下で想定内の推移だとした。第一生命と第一フロンティア生命はそれぞれ同59.3%減、同54.4%減と想定内の一方、ネオファースト生命は同26.1%増と前年同期を上回った。今後の新型コロナの感染状況には留意が必要とする一方、第一生命は10月から本格的な営業活動を再開したほか、第一フロンティア生命も新商品(7月発売)が足元の販売量改善に寄与するなど、下期の営業業績は徐々に回復することを見込むとした。海外の新契約年換算保険料は、豪TALの前年同期の団体保険契約獲得の反動減等から全体では同9.9%減となったが、それを除けば米PLCは新型コロナの感染が拡大した4~6月期を含めて主力商品の販売が好調に推移し同5.1%増となるなど、おおむね堅調とした。
 新契約価値とEEVについては、新契約価値は、営業自粛の影響等により第一生命が前年同期比58%減の238億円(給与補償等の除外を反映後)となったことを主因に、全体では同60.6%減の256億円となった。海外は、DLVN(ベトナム)で増加したものの、米PLCにおける米国金利低下の影響や豪TALの団体保険の反動減等により、全体では同79.8%減の18億円。グループEEVは、前期末比17%増の6兆5628億円となった。
 グループ修正利益は、第一生命の基礎利益増加や豪TALの増益等があるものの、今期の金融市場の回復に伴い、第一生命で前期末に大幅な評価益を計上したヘッジポジションからの金融派生商品損益が第1四半期に損失に反転したことや、第一フロンティア生命における危険準備金戻入益の反動減、米PLCの第1四半期における損益悪化から、前年同期比54%減の841億円となった。連結当期純利益は、第一フロンティア生命のMVA関連損益のマイナスが前年同期から大幅に縮小したものの、同9%減の833億円となった。
 グループ各社の業績を見ると、第一生命は経常収益が前年同期比1%減の1兆7821億円となった。このうち、保険料等収入が同6%減の1兆865億円、資産運用収益が同705億円増の6231億円だった。経常費用は同533億円増の1兆6628億円で、このうち保険金等支払金が同1248億円減の9187億円、責任準備金等繰入額が同874億円増の1953億円、資産運用費用が同1149億円増の2414億円、事業費が同1億円増の1964億円だった。経常利益は同783億円減の1193億円、中間純利益は同550億円減の512億円だった。基礎利益は順ざやの増加を主因に同13%増の2302億円、修正利益は前期末からの金融市場反転等を受け、金融派生商品損益が大きく悪化したことなどから、同52%減の512億円となった。営業成績では、新契約年換算保険料が同59.3%減の173億円。保有契約年換算保険料が前期末比1.4%減の2兆817億円で、このうち第三分野が同1.1%減の6873億円だった。
 第一フロンティア生命は経常収益が前年同期比31%減の8589億円となった。このうち保険料等収入が同44%減の3968億円、資産運用収益が同2808億円増の4620億円だった。経常費用は同4499億円減の8289億円で、このうち保険金等支払金が同2240億円減の7555億円、責任準備金等繰入額が同479億円増の493億円、資産運用費用が同2600億円減の6億円、事業費が同124億円減の197億円だった。経常利益は同685億円増の300億円。中間純利益は、事業利益が同3%増の364億円となったほか、MVA関連損益の改善等により、同644億円増の231億円となった。基礎利益は同3%増の283億円、修正利益は、運用期間満了を迎えた変額年金の危険準備金戻入の反動減により、同51%減の222億円だった。営業成績では、新契約年換算保険料が同54.4%減の300億円。保有契約年換算保険料が前期末比3.1%増の8325億円だった。
 ネオファースト生命の新契約年換算保険料は前年同期比26.1%増の55億円。保有契約年換算保険料は前期末比0.3%増の1399億円だった。新契約の拡大に伴い、保険料等収入は前年同期比4%増の663億円となった。保険金等支払(主に解約返戻金)が増加したものの、責任準備金等の戻入が相殺した結果、当期純利益は同9億円減の▲77億円となった。基礎利益は同10億円減の▲75億円、修正利益は同9億円減の▲77億円だった。
 海外生命保険事業では、米プロテクティブの営業利益がリテール事業における保険金支払増加に伴う損益悪化により前年同期比19%減の2億2200万米ドルとなり、当期純利益は第1四半期(1~3月期)に計上した金融市場変動に伴う債券評価損や商業モーゲージローンに対する貸倒引当金繰入等の負担により、同63%減の9000万米ドル となった。豪TALは、基礎的収益力はアステロン・ライフの貢献を主因に同34%増の6600万豪ドル。当期純利益は、金利変動によるプラス寄与が加わり同44%増の6300万豪ドルだった。
 21年3月期通期のグループ連結業績予想については、グループ修正利益を前期比34%減の1800億円程度、グループ新契約価値を同41%減の900億円程度とする第1四半期の予想から変更はない。