2020.09.23 ■三井住友海上・あいおいニッセイ同和損保 クラウド管理をグループ共同で開始[2020年9月9日]

 MS&ADインシュアランスグループの三井住友海上とあいおいニッセイ同和損保は9月9日、大規模自然災害専用に、事故受付から支払いまでの一連の顧客対応状況をクラウド上で管理する「自然災害工程管理システム(DPC:Disaster Process Control)」の運用を9月以降グループ共同取り組みとして開始したことを発表した。また同日、同グループのMS&ADインターリスク総研は、「感染症+自然災害」という複合災害対応に関する企業向けコンサルティングサービスを開始すると発表した。
 自然災害対応に関しては昨年7月から、あいおいニッセイ同和損保はクラウド上で管理する工程管理システムを、三井住友海上はクラウド型ファイル共有サービスを活用したペーパーレス業務を開始している。この9月以降の災害から、グループ共同の取り組みとして両社でDPCを運用し、コロナ禍でも平時と同様に万全の態勢で災害対応を行う。
 このシステムでは、自然災害対応に必要な工程を一元管理し、事故の連絡、保険金の請求書類など顧客の提出書類や対応状況をクラウド上のデータベースでペーパーレス管理する。このため、全国の拠点によるリモートワークや在宅対応が可能となり、被災した顧客に迅速に保険金を届けることが可能となる。
 また、顧客への対応結果や対応状況を全国の拠点でリアルタイムに把握し、瞬時に各工程における最適な顧客対応を行うことが可能となり、顧客を待たせない対応を実現する。
 MS&ADインシュアランスグループは、コロナ禍における本格的な台風シーズンを迎え、万一、大規模自然災害が発生した場合にも、より迅速かつ適切な保険金支払いに努めていく考えで、今後もAI・ドローンを活用した水災損害調査、スマートフォンを活用したビデオチャットによる遠隔立会調査等、さまざまなデジタル技術を組み合わせ、被災した顧客に1日も早く保険金を支払える体制の構築を目指していくとしている。
 また、MS&ADインターリスク総研の複合災害対応に関する企業向けコンサルティングサービスは、現状の災害対応マニュアルやBCPを感染症拡大期に発生する複合災害にも対応できるよう内容の見直しや新規策定の支援を行うサービス。
 ①チェックリストに基づく簡易アドバイス(既に策定済みの災害対応マニュアルやBCPについて、感染症発生期にも対応できるように専用のチェックリストに基づいて、見直しのポイントや改善事項をアドバイス)②各種マニュアル策定支援(災害対応マニュアルやBCPを策定していない顧客に対して、新たに複合災害型での見直し・策定を支援)③各種訓練実施支援(見直し・策定したマニュアルやBCPに基づいた図上演習や実動訓練などを、複合災害の観点も織り込みサポート)―以上を内容とする。
 新型コロナウイルスなどの感染症の拡大局面で自然災害が発生した場合、企業においてはすでに感染拡大防止対策として一部業務の縮小やテレワーク体制を実施しているため、円滑な初動対応や復旧対応ができない可能性がある。また、感染拡大防止対策を講じながらの災害対応では、マスク・消毒液などの衛生資材の準備や対策本部・避難場所のソーシャルディスタンスなど、再検討しなければいけない課題が数多く存在する。
 しかし、一般的な災害対応マニュアルやBCP(事業継続計画)では地震や水害など単一の災害を想定して策定されていることが多く、感染症拡大期に災害が発生することを想定した内容になっていないことが一般的だった。このような課題解決に対する支援を行う。