2020.09.16 ■生保各社20年度第1四半期決算 新契約年換算保険料半減、新型コロナで営業活動制限が影響[2020年]

 生保各社の2020年度第1四半期成績は、新型コロナウイルス感染拡大による対面営業活動の制限などにより、新契約年換算保険料、保険料等収入などがかつてないほどの落ち込みをみせた。全社合計の新契約年換算保険料(個人保険・個人年金保険計)は前年同期比54.2%減と半分以下の実績にとどまっている。新契約年換算保険料で前年同期を上回ったのは、増収率の順で、はなさく生命、SBI生命、エヌエヌ生命、T&Dフィナンシャル生命、メディケア生命、ライフネット生命、FWD富士生命、ネオファースト生命、大同生命、アクサダイレクト生命の10社となっており、一部医療商品やネット系の会社が好調だった。
 日本生命グループの連結保険料等収入は前年同期比13.7%減の1兆2288億円だった。営業職員等チャネルが訪問活動の自粛に伴う新契約の減少により減収となったほか、日本生命の銀行窓販チャネル向け商品の販売減、大樹生命の一時払外貨建養老保険の販売減、ニッセイ・ウェルス生命の外貨建商品の販売減などが影響した。団体保険・団体年金保険は減収となったものの、保険料入金タイミングのずれ等の一過性要因を除けばほぼ横ばいだった。グループ基礎利益は、傘下の豪MLCの減少や、日本生命の国内株式配当金の減少を主因とした利差益の減少などにより同12.7%減の1225億円だった。四半期純剰余(利益)は同31.6%増の676億円。新契約年換算保険料で日本生命は同64.1%減の205億円、大樹生命は同70.9%減の30億円、ニッセイ・ウェルス生命は同60.7%減の149億円だった。
 かんぽ生命の連結四半期純利益は前年同期比38.3%増の467億円となった。新契約の減少に伴う事業費等の減少、20年3月期に計上した保険金等支払引当金について、契約調査の進展等を見積もりに反映したことによる戻入等によるもの。新契約年換算保険料は、19年7月中旬以降今期も積極的な営業活動を自粛していることから、個人保険が同93.5%減の60億円だった。
 明治安田生命のグループ基礎利益は、明治安田生命単体の減少により、1145億円と前年同期比6.2%減。グループ保険料は、6478億円と同11.6%減少した。海外保険事業の中心となるスタンコープ社(米国)は781億円で同6.2%増加したものの、明治安田生命単体が同13.7%減の5629億円となったことが影響した。明治安田生命単体の保険料等収入は同13.7%減の5629億円。個人保険・個人年金保険の新契約年換算保険料は緊急事態宣言発令を受けた営業活動の自粛による影響等により、同35.9%減少し156億円だった。このうち、営業職員チャネルは同37.4%減の132億円で銀行窓販チャネルは同26.6%減の20億円だった。
 第一生命ホールディングスの連結保険料等収入は前年同期比17.9%減の1兆230億円となった。グループ基礎利益は同8%減の1369億円。連結純利益は408億円で同21%減少した。グループ修正利益は同83%減の162億円。第一生命で3月末からの金融市場反転等を受けて金融派生商品損益が悪化し修正利益が同67%の減少となったことや、米プロテクティブで市場変動要因により損益が悪化したことなどが影響した。新契約年換算保険料(個人保険・個人年金保険)は、第一生命が営業活動の制限もあり同65.3%減の72億円、海外金利の大幅な低下に伴う外貨建貯蓄性商品の利回り低下の影響で第一フロンティア生命が同68.0%減の111億円、ネオファースト生命が同26.6%増の24億円だった。代理店チャネルを中心に医療保険を展開するネオファースト生命では新型コロナに伴う需要増加等によって増加した。
 住友生命の連結保険料等収入は前年同期比14.8%減の5332億円となった。グループ基礎利益は同6.5%減の837億円。グループの新契約年換算保険料は同26.0%減の522億円。住友生命単体の保険料等収入は同16.7%減の4755億円、新契約年換算保険料(個人保険と個人年金保険)は同54.8%減の130億円。メディケア生命の保険料等収入は同11.2%増の107億円で新契約年換算保険料は同67.1%増の26億円だった。
 アフラックの保険料等収入は3453億円で前年同期比3.1%減少し、基礎利益も同7.8%減の829億円だった。がん保険の販売件数が同56.3%減の11万4626件、医療保険の販売件数が同39.4%減の4万3578件となった結果、個人保険分野全体での新契約件数は同51.9%減の16万9298件となった。個人保険分野の新契約年換算保険料は同53.9%減の93億円で、このうち第三分野は同55.6%減の84億円だった。
 メットライフ生命の保険料等収入は3353億円で、前年同期比31.4%の減収となったものの、資産運用費用、事業費が減少したことなどから、四半期純利益は344億円で同89.1%の大幅な増益となった。基礎利益は同9.1%減の352億円と、前年同期を下回った。新契約年換算保険料は同60.1%減少し、108億円だった。
 ソニー生命の新契約年換算保険料(個人保険・個人年金保険計)は営業活動の自粛により減少し、前年同期比43.6%減の98億円となった。基礎利益は新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う対策費用を計上したものの、変額保険の最低保証に係る責任準備金繰入額が減少したことにより増加し、同24.5%増の371億円となった。当期純利益は同50.1%減の91億円。
 プルデンシャル・グループ4社(プルデンシャルHD、プルデンシャル生命、ジブラルタ生命、PGF生命)の連結保険料等収入は前年同期比7.1%減の4842億円、連結四半期純利益は同29.0%増の317億円。生保3社合算の基礎利益は、同4.0%減の493億円だった。生保3社の新契約年換算保険料は同39.3%減で203億円。プルデンシャル生命の保険料等収入は同0.3%増の2258億円、基礎利益は同17.0%減の157億円、四半期純利益は同2.4%減の98億円で新契約年換算保険料は同36.8%減の103億円。ジブラルタ生命の保険料等収入は同17.3%減の2192億円、基礎利益は同0.1%減の310億円、四半期純利益は同55.0%増の202億円で新契約年換算保険料は同42.6%減の83億円だった。
 T&D保険グループの四半期純利益は、米国再保険持株会社フォーティテュード社を関連会社化し、同社利益の25%を持分法による投資利益として計上したことにより、前年同期から336.6%増加して684億円となった。中核生保3社(太陽生命・大同生命・T&Dフィナンシャル生命)合算の基礎利益は同7.9%減の339億円だった。太陽生命の保険料等収入は同20.7%減の1481億円で新契約年換算保険料は同40.4%減の52億円。大同生命の保険料等収入は同2.7%減の1895億円で新契約年換算保険料は同24.9%増の94億円。コロナ禍での保障ニーズの高まりもあり、経営者の多様な保障ニーズにきめ細かく応えるオーダーメード型商品の販売が順調に推移している。T&Dフィナンシャル生命の保険料等収入は同117.5%増の520億円で新契約年換算保険料は、「生涯プレミアムワールド5」の販売好調により同72.7%増の38億円。「生涯プレミアムワールド5」は、契約時に為替手数料がかからないという独自性のある機能に加え、契約日から一定期間、死亡保険金は一時払保険料と同額が円で最低保証される安心の機能や、初期費用が不要といった機能の追加により、競争力が向上した。
 アクサ生命は、保険料等収入は前年同期比5.0%減の1535億円で新契約年換算保険料(個人保険+個人年金保険)は同16.8%減の114億円となった。基礎利益は同30.3%増の146億円で当期純利益は同55.9%減の60億円。
 フコク生命グループ(富国生命、フコクしんらい生命)の合算の新契約年換算保険料は同52.1%減少し25億円だった。合算の保険料等収入は同16.9%減の1424億円だった。合算の基礎利益は同25.4%減の136億円。富国生命の保険料等収入は同9.4%減の1301億円で新契約年換算保険料は同45.8%減の19億円。
 朝日生命の保険料等収入は957億円で、前年同期比で1.6%減少した。基礎利益は同28.2%増の85億円となった。新契約年換算保険料は同24.3%減少し43億円。