2020.08.31 ■日立キャピタル損保、損保ジャパン、全育連向けGLTDプランを提供[2020年]

 日立キャピタル損保と損保ジャパンは、知的障がい児者とその家族や支援者で構成される一般社団法人全国手をつなぐ育成会連合会(久保厚子会長、以下、全育連)の全国各地の育成会会員や障害福祉サービス事業所で働く賛助会員に対する福利厚生の一環として、団体長期障害所得補償保険(GLTD)の「手をつなぐ暮らしのおたすけプラン」を開発、10月1日から提供を開始する。

 「手をつなぐ暮らしのおたすけプラン」は、GLTDに新たに開発した「葬祭費用等補償特約」をセットしたプラン。
 GLTDでは、障がい者とその家族、本人を支える支援者が病気やケガで働けなくなったとき(就業障害)に収入を補償する保険金を支払う。就業障害発生時から最長満65歳(65歳満了)までの長期の補償を可能にし、メンタル疾患による就業障害も補償の対象としている点(メンタル疾患での保険金の支払いは最長2年間)がプランの大きな特長となっている。
 また、葬祭費用等補償特約は、障がい者とその家族、本人を支える支援者が亡くなった場合に、残された家族を守るための葬祭費用や成年(未成年)後見人制度を利用するための各種手続費用等を通算300万円を限度に補償するもので、国内損保で初めて(リリース資料による)GLTD向け特約として開発した。
 同プランの対象者は、①全育連を構成する正会員(全国55の都道府県および政令指定都市を区域とする手をつなぐ育成会)に所属する個人会員や、家族のうち障がい者本人の生計を支える人(障がい者本人を含む)②育連事業所協議会所属事業所をはじめとする障害福祉サービス事業所の職員(支援者)のうち、賛助会員となっている人および特別賛助会員となっている事業所に所属する職員(支援者)―となる。「会員」とは、市区町村の手をつなぐ育成会・親の会に所属している人のことだが、市区町村の手をつなぐ育成会・親の会に加入が難しい場合は、全育連の賛助会員(機関誌「手をつなぐ」の購読申し込みをしている人)や、特別賛助会員となっている事業所に所属する職員(支援者)も「会員」の範囲に含まれる。
 引受保険会社は、日立キャピタル損保(幹事)と損保ジャパンの2社。全育連では今年4月に10月から保険期間をスタートする本プランの加入申し込みの受け付けを開始したが、新型コロナウイルス感染拡大を受け、6月に一時受け付けを休止していた。この8月25日から申込受付を再開している。
 知的障がい児者の生活実態は家族との同居が圧倒的に多数であり、生計についても、障がい児はもちろんのこと、成人期以降であっても障害基礎年金の金額が不十分なため、家族が支えるケースが多い状況にある。そのため、家族が病気やケガで働けなくなることは、知的障がい児者にとって大きなリスクとなる。また、育成会の賛助会員等になっていることも多い障害福祉サービス事業所等の職員(支援者)の病気やケガによる休業リスクを軽減し、不安なく働くことができる環境の整備も重要な課題だ。そこで、全育連は障害基礎年金の支給額引き上げの働き掛けと並行し、会員への福利厚生として所得補償保険の展開を検討してきた。
 日立キャピタル損保と損保ジャパンは、全育連と共に知的障がい児者と暮らす家族の不安や心配事に関して調査を実施、会員から寄せられた声の多くは「親の病気やケガによる就業不能による生活費不足」や「親亡き後の知的障がい児者の幸せな暮らしの確保」であることが判明した。そこで両社は、全国組織である全育連のスケールメリットを生かした団体制度を福利厚生制度として提案し、最大満65歳までの長期休業補償を実現するGLTDに、加入者が亡くなった場合の葬祭費用や成年(未成年)後見人制度を利用する際の各種費用や遺産分割に関する法律相談費用を補償できる「葬祭費用等補償特約」を提供することになったもの。