2020.07.31 ■生保協会 21年度税制改正要望、重点項目に保険料控除制度拡充[2020年7月17日]

 生保協会は7月17日、「令和3年度税制改正要望項目」を発表した。重点要望項目は1項目のみで、生命保険料控除制度について社会保障制度の見直しに応じて現行制度を拡充することを引き続き挙げた。その他の項目は10項目で、企業年金保険関係で新たに2項目を取り上げた。

 生保協会は2021年度税制改正に関する要望で、「人生100年時代を迎え、少子高齢化の急速な進展や働き方・ライフスタイルの多様化など社会環境が変化する中、持続可能な社会保障制度の確立と国民生活の安定に資するために、国民の自助・自立のための環境を整備する観点から、生命保険料控除制度については、社会保障制度の見直しに応じて、現行制度を拡充すること」を重点要望項目とした。「所得税法上および地方税法上の生命・介護医療・個人年金の各保険料控除の最高限度額を少なくとも5万円および3・5万円とすること、また、所得税法上の保険料控除の合計適用限度額を少なくとも15万円とすること(所得税法第76条、地方税法第34条・同法第314条の2)」がその内容で、昨年度までと同様。
 要望理由では、「国民が安心して生命保険に加入し継続できるよう、生命保険料控除制度が恒久的に継続されることが不可欠。また、国民の自助・自立のための環境整備等の観点から、社会保障制度の見直しに応じて、生命保険料控除制度が拡充されることを要望する」としており、①国民生活の安定に資する生命保険の役割②社会保障制度改革における自助努力の重要性と自助努力支援の必要性③多様化する生活保障ニーズに対応した自助努力支援制度の必要性④必要となる所得控除限度額の水準⑤国・地方両面からの自助努力支援の必要性―を指摘した。
 その他の要望項目は次の10項目。
 1.企業年金保険関係
 ▽公的年金制度を補完する企業年金制度(確定給付企業年金制度、厚生年金基金制度)および確定拠出年金制度等の積立金に係る特別法人税を撤廃すること
 ▽確定給付企業年金制度における過去勤務債務等に対する事業主掛金等について、早期の年金財政の健全化に資する柔軟な取扱いを可能とすること
 ▽企業型確定拠出年金制度における退職時の脱退一時金(中途引出し)について支給要件を緩和すること
 ▽確定給付企業年金制度における退職時の脱退一時金(中途引出し)の在り方の検討にあたって、現行のとおり中途引出しを認めること
 ▽確定給付企業年金制度・確定拠出年金制度等を合算した拠出限度額の設定について、確定給付企業年金制度はその対象としないことを含めて慎重に検討すること
 2.生命保険契約関係
 ▽遺族の生活資金確保のため、相互扶助の原理に基づいて支払われる死亡保険金の相続税非課税限度額について、現行限度額(「法定相続人数×500万円」)に「配偶者分500万円+未成年の被扶養法定相続人数×500万円」を加算すること
 3.資産運用関係
 ▽不動産関連税制の総合的見直しを図ること
 4.その他
 ▽生命保険業の法人事業税について、現行の課税方式を維持すること
 ▽破綻保険会社等から協定銀行が土地等を取得した場合の不動産取得税の非課税措置を恒久化すること、少なくとも措置期間を延長すること
 ▽過大支払利子税制について、生命保険事業の実態を踏まえた所要の措置を講じること
 企業年金関係で、「確定給付企業年金制度における退職時の脱退一時金(中途引出し)の在り方の検討にあたって、現行のとおり中途引出しを認めること」は、昨年12月25日に示された社会保障審議会企業年金・個人年金部会における議論の整理で引き続き丁寧に検討を継続していく必要があるとされているところから、「確定給付企業年金制度は、高齢期の所得確保のみならず、退職給付制度として広く活用されているため、中途引出し(中途退職時の給付)は、企業の退職給付制度の設計上必要不可欠」「従業員にとっても中途退職時の所得確保として重要な役割を担っている」「それを制限すると、企業が確定給付企業年金制度を退職一時金制度に移行するなどにより、結果的に従業員の受給権保護が後退する可能性があるものと考えられる」「中途退職時の所得確保の観点および受給権保護の観点から、確定給付企業年金制度においては現行のとおり中途引出しを認めることを要望する」としている。
 また、「確定給付企業年金制度・確定拠出年金制度等を合算した拠出限度額の設定について、確定給付企業年金制度はその対象としないことを含めて慎重に検討すること」については、同じく社会保障審議会企業年金・個人年金部会における議論の整理で引き続き丁寧に検討を継続していく必要があるとされているところから、「確定給付企業年金制度は、現在、拠出限度額が設けられておらず、労使合意を前提に退職給付制度として広く活用されており、自由な制度設計を妨げないことが制度の普及・推進および高齢期の所得確保にもつながるものと考える」「拠出限度額の対象とする場合、個人単位の拠出額を明確化する必要があるところ、確定給付企業年金制度は、受取時までその受給権や受給額が確定しないため、拠出時に受給額に見合う拠出額を換算することが困難と考えられる。仮に拠出額が換算でき、拠出限度額の対象に含めた場合、拠出限度額を超えて拠出している加入者は、拠出が抑制され、それに伴い給付水準が減少することが懸念される」「制度ごとの拠出額を合算して管理するために新たに社会全体でコストが発生することにも留意が必要」「確定給付企業年金制度・確定拠出年金制度等を合算した拠出限度額の設定について、確定給付企業年金制度はその対象としないことを含めて、慎重に検討することを要望する」としている。