2020.07.10 ■日本生命 第73回定時総代会開催 決算や課題への取組報告[2020年7月2日]

 日本生命は7月2日、大阪府大阪市のリーガロイヤルホテル(大阪)で第73回定時総代会を開催した。議長を務めた清水博社長が2019年度決算や経営課題への取り組みなどについて報告した他、決議事項では19年度剰余金処分案承認など全6議案の審議・採決が行われ、全て承認された。清水社長は、超低金利の継続や新型コロナウイルス感染拡大、グループ経営の拡大に伴う課題の顕在化など、20年度は厳しい環境下でスタートしたとし、「お客さま本位の業務運営を徹底し、あらゆる課題に真正面から向き合うことに全役職員が渾身の努力を傾け、中計最終年度を締めくくりたい」と決意を述べた。

 総代会の冒頭、清水社長が開会を宣言した後、出席総代数の確認が行われた。総代総数198人中、当日の出席が57人、委任状による出席が141人となり全員の出席が確認された。
 清水社長はまず、中期経営計画「全・進―next stage―」への取り組みについて、「長期にわたるナンバー1プレゼンスを確固たるものにし、人生100年時代をリードするグループになる」という経営方針の下、成長戦略の推進と経営基盤の構築に向けた取り組みを進めたことを説明した。
 次に、19年度の決算について報告。個別保険(新契約)では、19年4月発売の「NEW in 1(入院総合保険)」や年金など貯蓄性商品を積極的に販売促進した一方で、経営者向け保険「プラチナフェニックス」の一時販売停止や18年4月発売の特定重度疾病保障保険「だい杖ぶ」の販売量減少があった。その結果、年換算保険料は前年比19・5%減の2504億円となったものの、件数は同1・7%増の499万件、保障額等は同0・2%増の8兆4000億円と増加した。  保有契約では、年換算保険料が同0・4%増の3兆7600億円となり9年連続で増加。件数は同4・2%増の3320万件となり8年連続で増加となった。また、保障額については、同1・2%減の157兆3000億円と減少した。
 財務・収支の状況は、保険料等収入は同5・2%減の4兆5261億円で減収した。基礎利益は同4・5%減の6474億円となった。このうち資産運用収支(利差益)は、同130億円減の2209億円となり、順ざやを確保したものの、3年ぶりの減益となった。保険関係収支(費差益・危険差益)は、同176億円減少の4264億円となった。
 中期経営計画で掲げる数量目標の状況については、保有契約年換算保険料が4兆5200億円、顧客数が1448万人、自己資本が6兆6000億円となり、1年前倒しで達成した。また、ソルベンシーマージン比率も979・2%と向上している。一方で、グループ事業純利益はマイナス118億円となった。その要因として、ニッセイ・ウェルス生命での海外金利低下に伴う責任準備金の繰入増加や、はなさく生命の開業に伴う事業費の支出といった一時的な純損失の他、オーストラリアのMLC Limited(MLC)による所得補償保険の支払い増加を主因とした収支の悪化を挙げた。
 経営課題への取り組みについては、20年度の経営計画とMLCの収支悪化への対策などを説明した。まず新型コロナウイルス感染拡大について、20年度は保険販売・資産運用などが影響を受けるとし、状況を分析した上で適宜経営計画の見直しを図る考えを示した。
 20年度経営計画については、中計の目標達成に向けた取り組みの強化に加え、顕在化した課題の解決を通じたさらなる事業の発展を目指すとした。グループベースでは顧客本位の業務運営の強化とグループ経営の高度化に、単体では人生100年時代をリードする商品・サービスの提供、デジタル活用の推進に取り組む方針を示した。
 具体的には、顧客や社会からの経営に対する信頼獲得に向け、顧客本位の業務運営を経営計画の最上位概念に位置付け、従業員一人一人に対する顧客本位の意識付けと行動の実践をグループ一体で強化していくとした。
 また、MLCについては、収支改善に向け3カ年計画に基づき所得補償保険の改定や事業の効率化を推進してきた一方で、保険金支払いや解約が増加する懸念の高まりなどにより、さらなる業績下押しリスクへの対応が必要との考えを示した。その対策として、3カ年計画の補正・追加増資やMLC経営陣の執行力強化といったガバナンスの整備を実施、MLCの成長軌道への回復と中期的な収益拡大に向け、全社一丸で取り組むとした。
 人生100年時代をリードする商品・サービスの提供に向けては、「Gran Ageプロジェクト」の他、ヘルスケア事業を新規事業として推進する。
 デジタル活用の推進については、19年4月から「デジタル5カ年計画」を掲げ、既存保険サービスの高度化と新たな価値提供に向けイノべーション創出に向けた取り組みを進めている。
 また、20年4月から「Nippоn Life X」を立ち上げ、外部の企業との協業を進める体制を強化したとし、引き続き顧客の意識と行動の変化に注視して積極的にデジタル化の取り組みを加速していくとした。
 決議事項では、①19年度剰余金処分案承認②19年度決算に基づく社員配当金割当③取締役11人選任④監査役3人選任⑤取締役および監査役の報酬等の額改定⑥退任取締役および退任監査役に対する慰労金贈呈ならびに役員退任慰労金制度廃止に伴う打ち切り支給―の全6議案について説明があった後、採決が行われ全て承認された。