2020.06.30 ■損保ジャパン、先進モビリティほか 自動運転車導入支援ソリューションを提供[2020年6月18日]

 先進モビリティ㈱(東京都目黒区、青木啓二代表取締役社長)、損保ジャパン、三菱オートリース㈱(東京都港区、東馬圭一代表取締役社長)の3社は6月18日、国内の自動運転技術の進展・普及を後押しするための「自動運転車の導入を支援するソリューション」を共同開発し販売を開始したと発表した。その中で損保ジャパンは、自動車保険の特約で業界初(同社調査による)となる「自動運転車両開発事業者等被保険者追加特約」を開発、提供した。  先進モビリティは、車両用自動運転システムの研究開発・事業化による社会貢献を目指す東京大学発のベンチャー企業。近年のドライバー不足に起因する課題が深刻化する中、同社は日本各地で実証実験を行い、自動運転レベル4以上を見据えた走行性・安全性を評価してきている。今回、先進モビリティが開発する自動運転バスについて、㈱ビコー(埼玉県入間郡、瀧澤時夫代表取締役)が国内で初めて本ソリューションを採用し、埼玉県で自動運転バスの運行実証実験を行った。この実証実験は埼玉県のスマートモビリティ実証事業の一つで、越生自動車学校(埼玉県入間郡)でビコーが先進モビリティが開発した自動運転バスの社会実装に向けた計画策定と実証試験を行った。従来、自動運転実証実験は短期的に各地で行われてきているが、ビコーは本事業を基に、地域に根差したビジネスモデルの構築と長期運用、社会実装を目指して準備を進めていくことになっている。  損保ジャパンの「自動運転車両開発事業者等被保険者追加特約」は、同社が数多くの自動運転の実証実験に参画する中で「事故が発生した場合、自動運転の技術を提供する事業者間で過失割合を協議することは、協力関係を阻害し、自動運転車の発展を停滞させる恐れがある」という事業者からの声が寄せられたため、その課題を解決するために開発したもの。本特約では、従来の自動車保険における対人・対物賠償の被保険者に含まれていない「被保険自動車に自動運転の技術を提供する車両開発事業者」などを被保険者に追加する。これによって、車両開発事業者間の過失割合の協議を不要とし、自動運転実施事業者が抱える課題の解消を図る。万が一事故が発生した場合には、各事業者と協力して調査を行い、事故原因究明および再発防止に取り組むことになっている。  また、三菱オートリースは自動運転車用リースの開発・提供を担当。通常のメンテナンスリースの仕組みをベースとし、自動運転システムの保守料や専用の自動車保険を含む自動運転車用のサービスを提供している。事業者にとっては実証実験車両の保有を前提とせず、管理業務の大幅削減、可変費用の平準化・一本化を実現するスキームで、拡大する実証実験事業を支援するものとなる。  自動運転技術の実用化は、そのことにより、過疎地における移動手段の確保やドライバー人材不足の解消、交通事故の削減などさまざな社会的課題の解決が期待されることから、産官学で早期実用化に向けた研究が進められている。一方で、自動運転車両の開発には、万が一不具合による事故が発生した場合に車両開発事業者などさまざまな事業者が製造物責任を負うリスクがあることや、車両本体の価格が高額で導入が困難なことなどの課題があった。先進モビリティでは、「本ソリューションは、事業者にとって安心して自動運転車の運行に専念できる、その先の新たなサービスの創出につながるスキームだ」としており、同社をはじめ損保ジャパン、三菱オートリース、ビコーは今後、本ソリューションを展開することにより、国内における自動運転技術の社会実装に貢献していくとしている。