2020.05.20 ■かんぽ生命 20年3月期決算、当期純利益25.1%増加[2020年5月15日]

 かんぽ生命は5月15日、2020年3月期決算を発表した。当期純利益は新契約の減少に伴う事業費等の減少や資産運用における順ざやの確保により、前期比25・1%増の1506億円となった。新契約年換算保険料は、19年7月の営業活動の自粛や20年1月の業務停止等の影響によって、個人保険が同58・2%減の1469億円、第三分野が同64・1%減の221億円となった。保有契約年換算保険料は、個人保険が前期末比7・7%減の4兆3186億円、第三分野が同5・0%減の7155億円だった。収益追求資産(外国証券等)への投資残高は、前期末比で2・7%減の9兆9386億円で、総資産に占める割合は13・9%に拡大した。連結ソルベンシー・マージン比率は含み益が減少したことから、同118・9ポイント減の1070・9%となったものの、引き続き高い健全性を維持した。

 連結主要業績は、経常収益が前期比7052億円減の7兆2114億円となり、通期業績予想に対する進捗率は100・4%となった。このうち保険料等収入が保有契約の減少と営業活動の自粛等の影響により、同7143億円減の3兆2455億円、資産運用収益が同666億円減の1兆1377億円、責任準備金戻入額は同506億円増の2兆7673億円だった。
 経常費用は前期比7269億円減の6兆9248億円で、このうち保険金等支払金が満期保険金等の減少により、同6775億円減の6兆1913億円、資産運用費用が同220億円減の1240億円、事業費等が新契約の減少に伴い同274億円減の6094億円となった。このうち日本郵政に支払う委託手数料は、1094億円減の2487億円。
 以上の結果、経常利益は新契約の減少に伴う事業費の減少と資産運用における順ざやの確保により同217億円増の2866億円となり、通期業績予想(2700億円)に対する進捗率は106・1%となった。親会社株主に帰属する当期純利益は同302億円増の1506億円で、通期業績予想(1340億円)に対する進捗率は112・5%となった。
 総資産は前期比3・0%減の71兆6647億円、純資産が有価証券の含み益の減少により、同9・7%減の1兆9283億円で、そのうち株主資本が同0・8%減の1兆6612億円。
 個人保険の新契約件数は前期比62・3%減の64万件で全体的に減少した。商品別では、養老保険が34万件(占率53・5%、前期実績84万件)、終身保険が25万件(占率39・3%、前期実績73万件)、学資保険が4万件(占率3・9%、前期実績12万件)だった。
 個人保険の保有契約件数は、新旧区分合算で前期比7・1%減の2707万件だった。商品別に見ると、養老保険が1041万件(占率:38・5%、前期実績1165万件)、終身保険が1259万件(占率:46・5%、前期実績1301万件)、学資保険が393万件(占率:14・5%、前期実績434万件)だった。
 資産運用は、昨今の超低金利環境の継続を受け、運用資産の多様化を進め、収益追求資産の残高は9兆9386億円となり、総資産比で13・9%まで拡大した。順ざやの状況は、平均予定利率が前期比0・01ポイント低下し1・69%となった一方で、利子利回りが0・03ポイント増加の1・82%で、804億円を確保した。また、キャピタル損益は新型コロナウイルス関係の市場が変動したことから、1024億円の損失となった。
 有価証券全体の含み損益合計は、7兆5916億円で、このうちその他有価証券が株式の価格減少により、3701億円となった。また、健全性の状況については、危険準備金1兆7973億円、価格変動準備金8583億円、追加責任準備金5兆8303億円の積立状況となっている。
 21年3月期の連結業績予想は、保有契約の減少や市場環境の悪化等に伴い減少傾向だとし、経常収益が6兆8500億円、経常利益が2000億円、当期純利益が1240億円と見込む。
 20年3月期の株主還元等では、普通配当は、1株につき8円増額して76円とした他、中間配当・期末配当の年2回の剰余金の配当を実施した。21年3月期は、普通配当を1株当たり76円の予定とした。この他、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を慎重に見極める必要があることから中間配当は行わず、期末配当のみにするとした。