2020.05.12 ■日本生命 新型コロナウイルス相談補助システム周知へ、顧客にメールやLINEで案内[2020年5月7日]

 日本生命は5月7日から、新型コロナウイルス感染拡大防止の取り組みとして、内閣府に設置されたSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)作成の「新型コロナウイルス相談補助システム」の案内を開始した。営業職員約5万人によって顧客を対象にメールやLINEを活用して案内する。

 「新型コロナウイルス相談補助システム」は3月18日から公開されており、体調に不安がある、また、新型コロナウイルスの症状を疑う状態になった際に活用してもらうツール。AIアバターが症状を詳細にヒアリングし、状況に合わせて次にとるべき対応を音声でアドバイスする。症状に応じて厚生労働省ホームページ内の相談センターのサイトを案内するため、病院に行かずに電話での確認ができる。
 内閣府に設置された内閣総理大臣および内閣を補佐する「総合科学技術・イノベーション会議」が運営するSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)が作成したもので、日本医師会(日医総研)によるアドバイスと協力の下、日立製作所とサンフランシスコ所在のスタートアップ「Sensely(注)」が共同開発した。SIPがSenselyの紹介で、1000万人の顧客基盤を持つ日本生命にツールの周知を依頼したところから、日本生命は、同システムを顧客に案内することで、より多くの人に周知を図り、新型コロナウイルス感染拡大防止に貢献していくことにした。日本生命のほかには、同プロジェクトに参画している日立製作所、NTTデータ、日本ユニシス等各社も告知活動を実施している。
 同システムを主導したSIPの中村祐輔ディレクターは「相手がAIだと気楽に応対でき、家族などよりも冷静に耳を傾けられるかもしれない。AIの助言に従い、感染の可能性が高いと判明した場合、適切な検査や治療を受けるとともに、医療機関などで高齢者らにうつさない行動をとってほしい」と述べている。
 同システムは、新型コロナウイルス感染を疑う患者が安易に医療機関を受診し、医療機関内での感染が拡大していることを背景に、受診による感染拡大を防止し、日本国内での感染者数を抑制することを目的とし、医療機関の受診を避けるため、新型コロナウイルスに関する不安や疑問にリアルタイムで答える。現在のような状態が続けば、生活習慣病の患者が受診を回避して、病状が悪化してしまうリスクが高まり、多くの国民の生活の質が低下する。高齢者が外出を控えていると運動機能が急激に低下するため、医療費は増え、要介護人口も急増する懸念がある。そのため日本生命では、このようなアプリを利用した健康管理は、アプリがどの程度利用され、医療機関の院内感染がどの程度減るかに依存するものの、医療費の増減に大きく影響するとしている。
 日本生命では、新型コロナウイルスの影響により4月14日から全国の営業職員を在宅勤務としており、昨年度リニューアルした携帯端末タスカルや、新たに今年導入したスマートフォンを使用して顧客に連絡している。案内活動は顧客の安否確認、契約貸付の利息0%の案内や、保険金・給付金の支払いなど保全活動を中心に行っている。同社では、営業職員チャネルとIT技術の融合により営業職員へのサポート力を高め、「顧客の利便性・サービスの向上」を目指し、チャネルのさらなる強化と先端IT活用を図っていくとしている。
 (注)創業当初は「AIアバター」を用いた「遠隔医療プラットフォーム事業」から開始した。現在は、当初の医療領域以外に保険領域への進出も始めており、米国のみならず、アジアや欧州でのサービス展開も進んでいる。日本生命との関係では、シリコンバレーオフィスが19年7月からPoCに着手、日本生命やはなさく生命・MLCと共同でPoCを行い、20年6月末に営業職員向け教育アプリへの組み込みが決定している。