2020.04.27 ■東京海上日動 船舶管制アプリ開発会社と資本業務提携[2020年]
東京海上日動はこのほど、海運・港湾事業者向け船舶管制アプリを開発・運営するアイデア㈱(東京都渋谷区、下川部知洋社長)と資本業務提携を行った。自動運航船の実用化を見据えた新たな保険商品・サービスの開発を共同で進めていくことで、今後の国内海事産業のデジタル化による発展を後押しする考えだ。 アイデア社は、「船の安全と安心を、世界一快適に」をビジョンに掲げて2017年に創業したスタートアップ企業で、従業員数は15人。19年7月に、IoT、AI等を用いて船舶航行管理業務を効率化する船舶管制アプリ「Aisea(アイシア)」の提供を開始した。 アイシアは、「衝突防止」と「運航管理」を基本機能としており、スマートフォンやタブレット端末に表示する電子海図上に、自他船の運航情報(位置、進路、速度等)、航路予測・衝突情報を投影することで操船を支援する。海洋・港湾工事情報も視覚的に表示し、警戒を促す他、航行情報をタイムリーに把握できることから、船舶オーナーやオペレーターが陸上で行う現在地・航行実態の把握、配船業務などの運行管理に活用できる。 近年、海事分野でのデジタル化の取り組みが進んでおり、社会的課題を解決する技術的ソリューションとして自動運航船に対する関心が世界的に高まっている。国土交通省では、16年1月に交通政策審議会海事分科会に海事イノベーション部会を設置して、自動運航船を含めた海事産業のデジタル化についての議論を進めており、18年6月には同部会で報告書「海事産業の生産性革命の深化のために推進すべき取組について~平成28年6月3日答申のフォローアップ~」が取りまとめられ、自動運航船の実用化に向けたロードマップなどが示された。 こうした状況の下、東京海上日動は昨年からアイデア社と協業をスタートし、7月2日には海事産業のデジタル化を推進する第1回カンファレンスを共同で開催。その際、アイデア社主導で発足したコンソーシアム「MTIC(Maritime Technology Innovation Consortium)」にパートナー企業として参画した。両社はその後も、海洋システムのプラットフォーム化や自動運航における船舶の安全・安心確保をテーマに、船舶の快適な航行、船舶における保険事業、IoT技術の活用等、新たな取り組みについて検討してきたが、海事産業のデジタル化を推進する上では、従来の枠組みを超えた新たな保険商品・サービスの開発を具体的に進めていくことが不可欠と考え、今回の資本業務提携に至った。今後、両社はアイシアを組み込んだ新たな保険商品やサービスを共同開発するなど、25年度の自動運航船実用化を視野に入れ、海上プラットフォームの確立を加速させていくとしている。