2020.04.22 ■新型コロナウイルス感染症 生保で災害割増適用に変更[2020年]

 4月15日にかんぽ生命、明治安田生命、16日に日本生命、第一生命が相次いで新型コロナウイルス感染症で被保険者が死亡した場合、死亡保険金の支払いに加え、災害割増の取り扱いを追加すると表明した。対象契約であればすでに死亡したケースも含めて対応する。従来は、「現時点では災害死亡保険金の支払い対象ではない」としていたものを変更したもので、金融庁が10日、「保険契約者等保護の観点から、前例にとらわれることなく、柔軟な保険約款の解釈・適用や商品上の必要な措置を検討」するように要請したことを受けての対応。

 かんぽ生命では4月15日、新型コロナウイルス感染症によって死亡した場合、被保険者が不慮の事故などにより突発的に死亡したときに死亡保険金に加えて約款に定めた保険金額を支払う「保険金の倍額支払」の対象として、保険金を支払うと表明した。
 契約日から1年6カ月経過後、支払要件に該当したときに支払うもので、かんぽ生命の保険契約および簡易生命保険契約の契約関係者が対象となる。今回の表明以前に、被保険者が新型コロナウイルス感染症で死亡していた場合でも、支払い対象とする。
 明治安田生命では4月15日、新型コロナウイルス感染症拡大を踏まえ、さらなる「お客さま志向」の取り組みを推進する観点から、追加対応として、新型コロナウイルス感染症を原因として死亡もしくは高度障害状態となった場合に、災害死亡保険金、災害高度障害保険金を支払うと表明した。災害死亡保険金等を支払う保険商品・特約は、保障付積立保険をはじめ33商品となる。現在加入中の契約にも適用し、同感染症を原因としてこれまでに死亡していた場合でも、支払い対象とする。
 日本生命では4月16日、新型コロナウイルス感染症に罹患した顧客への災害死亡保険金等の支払いについて、同感染症を直接の原因として死亡した場合などにも、「災害割増特約」「(新)傷害特約」等(以下、災害割増特約等) の支払い対象として取り扱うこと、併せて、特別条件のうち保険金削減支払法等で同感染症によって支払事由に該当した場合にも、保険金削減等を行わない取り扱いに変更する、と表明した。これまでに支払事由に該当した場合も含めて、同日以降の適用となる。
 災害死亡保険金、災害高度障がい保険金等の災害に関する保障がある個別保険について、対象期間中に「新型コロナウイルス感染症」を直接の原因として死亡・高度障がい状態に該当した場合(医師の診断を必要とする)には、災害死亡保険金・災害高度障がい保険金等の支払い対象とする。
 また、特別条件のうち、保険金削減支払法および特定部位不担保法がある個別保険について、対象期間中に「新型コロナウイルス感染症」によって保険金・給付金の支払事由に該当した場合(医師の診断を必要とする)には、保険金削減・給付金不支払を行わない取り扱いに変更する。
 今回の取り扱いの変更について日本生命では、「当社では、不慮の事故を直接の原因として死亡した場合などに死亡保険金等を割り増しして支払う災害割増特約等を取り扱っており、これらの商品では 「不慮の事故」と同様、急激かつ偶発的な外来の事故を保障するといった災害保障の概念に合致する「約款所定の感染症」を支払い対象としている。一方、「新型コロナウイルス感染症」は約款所定の感染症に該当しないため、災害割増特約等における災害死亡保険金等の支払い対象ではなかったが、今般、政令で「新型コロナウイルス感染症」が指定感染症に定められたこと、改正新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づき、4月7日に緊急事態宣言が発令されたことなどから、「新型コロナウイルス感染症」は約款所定の感染症と同様に、災害保障の概念に合致すると考え、当社の保有契約全体に与える影響を勘案の上、「新型コロナウイルス感染症」を直接の原因として死亡した場合などにも、災害死亡保険金等を支払うことにした」と説明している。
 第一生命は4月16日、新型コロナウイルス感染症の拡大状況を踏まえ、当局認可を前提として追加対応を実施するとして、災害割増保険金等に規定する「感染症」の範囲を拡大し、「新型コロナウイルス感染症」を原因として、死亡および高度障害状態になった場合に災害割増保険金等を支払うと表明した。これまでに支払事由に該当した場合も支払う。