2020.03.12 ■新型コロナウイルス対応㊦ 損保各社の業務体制[2020年]

 新型コロナウイルス感染症拡大に関して、損保各社の業務運営の対応状況についてまとめた。テレワークの活用、会議・研修・出張等の中止・延期、小中学校・高校等の臨時休校措置への対応、新卒採用関係の対応など。

 SOMPOホールディングスは、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、政府の「新型コロナウイルス感染症対策の基本方針」を踏まえ、感染リスクを極力低減させるために2月20日危機対策本部を設置し、新型コロナウイルスの感染症対策に取り組んでいる。
 2月27日に発表した新型コロナウイルス感染症対策では、社内外の感染拡大抑止と従業員の安全確保を最優先に、①テレワーク・時差通勤の積極実施②大規模会議・研修・各種会合等の原則中止③公共交通機関を使用した遠方への出張の原則中止④日本国内における感染防止および拡大防止対策の徹底⑤感染の疑い発覚時の対応―の各措置が講じられている。
 ①では、損保ジャパン日本興亜とSOMPOひまわり生命では、感染予防対策として、全国の社員約3万人を対象に「テレワーク・時差通勤」を積極的に実施。②では、人が多く集まる会議・研修・各種会合等は原則中止または延期とし、開催が真に必要な場合でも、テレビ会議で実施する等の代替策を実施する。
 また③では、国内グループ会社では公共交通機関を使用した遠方への出張を原則中止または延期とし、海外グループ会社でも不要・不急の出張の自粛などを原則とし、各国の状況や政府の指針などに沿った対応を実施するとしている。
 ④では、国内グループ会社全社で、外出時のマスク着用や手洗い・うがい・アルコール消毒の徹底、本人・同居人の感染疑い発覚時の対応の徹底、フリーアドレスの禁止等の感染防止および拡大防止対策を徹底、特に、介護事業では、SOMPOケアが、従来から実施している感染症発生・拡大予防に関する厳戒態勢を整備し、共有スペースの除菌作業の頻度増加、面会者の入館時の手洗い・うがいの徹底、体調不良の面会者による面会の自粛、社員の手洗い・除菌の徹底などの基本行動を確認している。
 なお、28日には、政府の全国の小中学校・高校等の臨時休校措置に伴い、出社が困難で、テレワークできない子育て中の社員に対して、特別休暇を付与することを決定している。
 東京海上日動では、新型コロナウイルス関連で3月2日時点、①柔軟な働き方の推奨②入社式・新人研修③会議・研修等の対応④国内外の出張―などについて対応策を講じている。
 ①では、▽テレワーク(公共交通機関での移動を避けるため、社員のテレワークを推奨。保育園、幼稚園、小学校の臨時休校により、家庭の都合で在宅を行う必要がある社員で、自宅にPCを保有していない社員にはPCの貸し出しを行う対策を実施)▽時差出勤(通勤時の混雑を回避するため、勤務時間帯を変更する時差出勤制度の活用を推奨)▽昼休み時間帯の柔軟化(昼食時の混雑回避のため、通常は正午~午後1時の昼休みを午前11時~午後2時の間で分散取得するよう推奨)―以上をすべての社員に強く推奨している。
 ②では、全新入社員を東京に集めて開催を予定していた入社式は中止し、CEO・社長他のメッセージVTRを放映し代替する。新人研修は予定していた期間を短縮して実施(3カ月を2カ月弱まで短縮する予定)。
 ③では、社内外の会議・研修等については、真に集合して開催しなければならないもの以外は中止もしくはTV会議等に変更し、集合して開催する場合も、参加人数や時間を極力絞り、感染予防策を講じる。全国各地で実施予定だった採用セミナーは原則中止とし、LIVE配信形式のウェブセミナーのみ実施する。
 ④については、新幹線や飛行機等を利用した長距離の国内出張は原則禁止とし、真に必要な国内出張については、感染予防策を徹底した上で実施する。国内からの海外出張に関しては、渡航先にかかわらず全ての海外出張を原則禁止とした。
 あいおいニッセイ同和損保では、3月3日時点で①不調者の出社禁止(発熱や風邪の症状がある社員に対して、自宅待機とする運営を実施。対象者には、年次有給休暇とは別に特別休暇(有給)を付与)②在宅勤務・時差出勤の推奨(職場の業務状況に応じて、全社員に在宅勤務や時差出勤を推奨)③集合会議・集合研修・イベント等の中止・延期(人が多く集まる集合会議・集合研修・イベント等の開催は中止・延期とし、非対面によるテレビ会議等で代替する)④出張の禁止(海外出張および飛行機や新幹線等公共交通機関を利用する国内出張は禁止)⑤感染拡大防止に向けた対応―をしている。
 さらに小中高臨時休校に伴う特例対応として、①出社して勤務を行う場合は、▽通勤時に子どもを預けるために両親宅に立ち寄ることや、勤務時間中に子どもの様子を見るために一時的に帰宅することを認める等、柔軟な勤務管理運営を可能とする▽子どもの面倒を見るスペースや要員が確保されていること、感染リスクが回避できること等を前提として、子どもを連れて出社・勤務することを可能とする(一部拠点に「キッズルーム」を開設し、子どもの様子を見ながら勤務できる環境を整えることを予定)といった対応を行う。②在宅で勤務を行う場合は、在宅で子どもの面倒を見ながら勤務が実施できるように、これまでの在宅勤務の適用要件を緩和し、自由に在宅勤務を可能とする。③業務を行わず、休暇を取得する場合については、子どもの面倒を見るために休暇を取得せざるを得ない日について、年次有給休暇とは別に、特別休暇(有給)を付与する。
 また、新卒採用対応では、①就職説明会に関する対応として、▽大規模セミナーはすべて中止し、ウェブ配信へ切替え済み▽全国部支店開催のセミナーは、2月26日に政府が発表した2週間のイベント自粛要請にのっとり、3月11日まで中止、②採用面接に関する対応として、6月以降の採用面接については、多くの学生と接触する1次面接について、ウェブ化または分散開催を検討中、としている。
 三井住友海上は、新型コロナウイルスに関する各種対応として、3月9日現在、社員の勤務体制では、在宅勤務およびシフト勤務制・フレックスタイム制による時差出勤を積極的に活用しており、規定上利用不可となっている社員区分(スタッフ社員等)の利用条件を緩和し、約2万人を対象とした運営としている。
 全国小中学校、高校等の臨時休校を受けた対応としては、臨時休校により会社に出社できない場合は、在宅勤務を検討の上、在宅勤務が不可の場合は、特別休暇(有給)を適用する。この場合、有給休暇の残余日数がある場合でも、有給休暇より優先して特別休暇の取得を可能とし、取得日数に限度を設けない(対象者は小学生以下の子を持ち、臨時休校により出社不能、かつ在宅勤務ができないスタッフ社員を含む全社員)としている。
 AIG損保も3月5日現在、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、同社社員および同社で働くパートナーを対象に、可能な限り在宅勤務、時差出勤、フレックスタイムの活用を実施、不急の社内外イベント・会議・研修の開催・参加は極力自粛、やむを得ず開催・参加をする場合、感染リスクを減らすために、参加者への手洗いの推奨、アルコール消毒薬の設置、風邪のような症状のある人への参加辞退依頼、電話会議システムやテレビ会議システムといった非対面方式での会議・研修等の実施の徹底といった対策を実施している。