2020.03.04 ■損保ジャパン日本興亜 全国労務監査協会の労務監査に保険をセット、「雇用安心パッケージ」[2020年]

 損保ジャパン日本興亜と一般社団法人全国労務監査協会は、同協会が実施する労務監査に保険をセットした「雇用安心パッケージ」を4月1日から提供する。同協会が提供する労務監査を受けた企業等が自動的に保険に加入できる仕組みを構築することにより、企業の雇用・労務リスクに対する安心を促進する。損保ジャパン日本興亜によると、労務監査と雇用・労務リスクに対応する保険をセット化する仕組みは業界初。
 長時間労働、賃金未払い、各種ハラスメント等に関して企業が労働者から損害賠償請求を受けるケースが増えている一方で、企業は、働き方改革、労働人口の減少、ダイバーシティの推進などといった環境変化を踏まえ、労働基準法をはじめとした関係諸法令を順守し、雇用・労務リスクに備えることが喫緊の課題となっている。今年4月には「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」が施行されることになっており、非正規社員に対する企業の対応が厳格化されるなど、今後企業は雇用・労務管理を一層改善・強化することが求められている。
 全国労務監査協会は、労務のコンプライアンスをチェックし、法令違反を洗い出す「労務監査」を2017年4月から提供しているが、この4月から企業の健全な経営、成長を後押しし、労務監査の一層の普及を目的として、損保ジャパン日本興亜の保険とセット化した「雇用安心パッケージ」を会員等にサービス提供することにした。
 「雇用安心パッケージ」の補償対象者は、全国労務監査協会の労務監査を受けたことで同協会の会員となった企業または同協会による外国人助成金の申請代行サービスを利用した企業。
 主な補償内容は、補償対象者ならびにその役員および使用人等が、雇用上の差別、不当解雇、セクシャルハラスメント、パワーハラスメント、ケアハラスメント、マタニティハラスメント、モラルハラスメントを行ったことにより、法律上の賠償責任を負担することによって被る損害を補償する。補償対象期間は労務監査実施後1年間。
 補償の対象となる損害としては、法律上の損害賠償金、訴訟等に対応するための弁護士費用、トレーニング費用・信頼回復費用などがある。
 また、補償対象者は有事の際(保険金支払いの対象となる場合)、損保ジャパン日本興亜の「緊急時サポート総合サービス」を利用できる。本サービスでは、迅速かつ適切な緊急時対応を実現するサポートとして、①緊急時マスコミ対応支援機能②ネット炎上対応支援機能③コーディネーション機能④ファイナンス機能⑤エデュケーション機能―を提供する。
 具体的には、①では記者会見実施支援、報道発表資料のチェックや助言、信頼回復のための広報支援、想定Q&Aのレビュー、②では緊急ウェブモニタリング機能、ネット上の情報発信の助言、ネット上の論調調査、検索エンジン対応(評判悪化予防対応)、③では必要となる各種サポート機能の選定や条件設定を含む総合調整、④では事故受付&緊急時サポート総合サービス利用連絡、保険金の支払い、⑤では事故発生後の職場環境安全配慮義務の一環としてのハラスメント研修支援―などがある。
 なお、全国労務監査協会が実施する労務監査は、社会保険労務士の資格を持った労務監査士が、約190の項目(就業規則、賃金関係、36協定、社保・年金関係等)をチェックし、ヒアリング調査を行った上で、労務管理状況を評価し問題点を洗い出し、改善策のアドバイスを行うもの。労務監査を行い、労務リスクを発見することで、企業は労務環境を改善し、従業員の定着率の向上等を図ることができる。また、労務監査結果をスコアリングし、優良企業には「労務監査優良企業証明書」が発行されるため、企業はホワイト企業の証明として求人活動に活用することができる。
 全国労務監査協会と損保ジャパン日本興亜は、今後も連携し、雇用・労務リスクの改善、強化に取り組むことにより、産業の健全な発展に貢献していくとしている。