2019.12.26 ■共栄火災 20年1月に自動車保険改定、ALSOK現場急行サービス新設[2019年]

 共栄火災は2020年1月から自動車保険を改定する。ALSOKの対応員が事故現場に駆け付ける「ALSOK現場急行サービス」を新設し、ロードサービス「助っ人くん」を拡充するなど、事故時の顧客の不安を解消するためのサービスが大幅に充実する。一方、商品面では賠償責任保険における被保険者・対象事故を拡大する他、車両保険に「車両保険の無過失事故に関する特約」、対物賠償責任保険に「対物超過修理費用補償特約」を自動セットする。
 「ALSOK現場急行サービス」では、24時間365日、ALSOKの対応員が事故現場の顧客の元に駆け付け、救急車の手配や警察連絡の助言・サポート、ロードサービスの出動要請、事故現場や顧客の自動車などの写真撮影、事故解決までの流れの説明など、さまざまなサポートを行う。
 対象となる契約は、「KAPくるまる」の契約で「車両保険」および「代車費用補償特約」「車内携行品補償特約」をセットした「KAPくるまる・ワイド」。契約の自動車を運転中に発生した相手方のいる事故で、顧客が事故現場から同社のスマートフォンアプリ「くるまるNAVI」または専用ダイヤル「あんしんほっとライン」で連絡し、同サービスを希望した場合に利用することができる(原則、対応員の出動拠点から事故現場まで30分程度で到着できることが条件)。
 ロードサービス「助っ人くん」の拡充では、「緊急時移動費用サービス」と「宿泊費用サービス」の提供条件を緩和する。現行では事故や故障のトラブル発生場所が自宅や事業所などから直線距離で20キロ以上遠方の場合が条件だったが、この距離制限をなくす。また、同サービスの拡充に合わせ、「くるまるNAVI」に同アプリからロードサービスを要請すると顧客の位置情報が自動送信される機能を追加し、迅速・的確なサービス提供につなげる。
 一方、商品面では賠償責任保険における被保険者・対象事故を拡大する。認知症の高齢者など、責任無能力者による過失事故の場合、その監督義務者が責任を問われる可能性があるため、被保険者が無責任能力者である場合の監督義務者などを対人賠償責任保険・対物賠償責任保険における被保険者に追加する。また、契約の自動車の所有・使用などに起因して、財物の損壊を伴わず電車などの軌道上を走行する陸上の乗用具が運行不能になった場合(踏切内で自動車が立ち往生してしまい電車の運転が見合わせとなった場合など)も対物賠償責任保険の補償対象とする。
 加えて、「車両保険の無過失事故に関する特約」を改定する。相手方が確認できる自動車対自動車の事故で、顧客に過失がない場合はノーカウント事故として取り扱う。自動運転技術の進展などにより、サイバー攻撃に対する備えの必要性が高まっていることから、ノーカウント事故として取り扱う事故の対象に、契約の自動車の欠陥や不正アクセスなどにより本来の仕様とは異なる事象や動作が生じたことで発生した、運転者などに過失がない車両事故も含める。また、もらい事故の際、相手方が保険に未加入で賠償に応じてもらえない場合などでも、等級ダウンを気にせず顧客に安心して車両保険を利用してもらえるよう、車両保険に同特約を自動セットする(事業用では任意付帯)。
 さらに、対物賠償責任保険における「対象超過修理費用補償特約」も自動セットする。同特約は任意付帯で提供してきたが、自動車の平均使用年数が長期化しており、事故時に相手方の自動車の修理費が時価額を超えるケースが増加することが予想されるため、自動セットすることで、自動車保険に契約する全ての顧客が50万円を限度に時価額を超える修理費も補償されるようになる(事業用では任意付帯)。
 今回の改定ではこの他、20年4月1日の民法改正により、法定利率が5%から3%に変更されることから、20年4月以降に発生した事故から人身傷害保険における損害額基準を改定する。また、ギプスなどの定義を明確化する他「自転車傷害補償特約」「日常生活個人賠償責任補償特約」「他車運転危険補償特約」の対象契約なども改定する。
 同社では、今回の改定に当たって新たな商品パンフレットや各種提案ツールを作成しており、これらを通じて代理店の販売をサポートしていくとしている。
 営業統括部企画開発室の髙元亮平課長代理は「お客さま目線に立ったサービスの拡充を行い、これが他社商品・サービスとの差別化につながると考えている。今後も代理店と一体になってお客さまによりよい商品・サービスを提供していきたい」と語る。
 また、商品開発部自動車企画グループの引野恵主任は「当社は“商品の分かりやすさ”をコンセプトに商品開発を行っている。少しでもお客さまの不安を解消できるよう、社会環境やお客さまニーズの変化を踏まえながら、“分かりやすさ”の観点から商品内容を充実させていきたい」と話す。