2019.12.24 生保各社の19年度第2四半期決算 基礎利益は一定水準確保

 生保各社がこのほど発表した2019年度第2四半期(上半期)決算によると、法人向け経営者保険の販売停止などの影響を受け多くの会社で新契約年換算保険料が前年実績を下回った。基礎利益は一定の水準が保たれているが、低金利環境の下、キャピタル損益は一部の会社を除きマイナス計上が続く厳しい結果となっている。〈4~6面に生保協会会員各社の業績詳細を掲載〉
 かんぽ生命の19年度上半期末の保険料等収入は1兆8011億円で前年同期比2392億円減少した。新契約年換算保険料は個人保険・第三分野ともに前年同期比で大きく減少した。個人保険の新契約年換算保険料は、前年同期比28.7%減の1316億円。そのうち第三分野の新契約年換算保険料は、同36.1%減の211億円。保有契約年換算保険料も、個人保険・第三分野ともに前期末比で減少した。個人保険の保有契約年換算保険料は、前期末比2.6%減の4兆5558億円。第三分野の保有契約年換算保険料は、同1.2%減の7443億円。7月中旬以降の積極的な勧奨活動の停止等が影響し、新規・保有とも実績を下回ったが、親会社株主に帰属する当期純利益は前年同期比11.0%増の763億円となった。
 日本生命グループの連結保険料等収入は、前年同期比6.2%増の2兆9503億円だった。法人向け保険の販売停止による減少があったものの、日本生命での新商品や、年金保険をはじめとした貯蓄性商品の好調な販売に加え、銀行窓販商品の販売増加もあり、増収となった。一方、基礎利益は、保険関係損益の減少と利差益の減少を主因に減益となった。基礎利益の合計は、同11.9%減の3609億円。18年度に行った保険料率改定の影響により保険関係損益が減少したことに加え、円高によって外国債券等の利息が減少したことなどから減益となった。国内の個人保険・個人年金保険の新契約年換算保険料は同2.7%減の2046億円。同じく保有契約年換算保険料は前期末比0.2%減の4兆5247億円となった。
 明治安田生命のグループ保険料(連結損益計算書上の保険料等収入)は、前年同期比6.5%減収の1兆4584億円となった。うちスタンコープ社は同2.3%増の1451億円。グループ基礎利益は団体保険の保険料引き下げなどの影響により明治安田生命単体で減益したことに伴い、3123億円と同1.4%の減益となった。スタンコープ社は同34.7%増の244億円。グループ基礎利益に占める海外保険事業等の割合は10.8%。明治安田生命単体では、保険料等収入は米国金利低下の影響などによる外貨建一時払保険の販売減少により1兆3008億円と同7.5%の減収となった。新契約年換算保険料は同29.9%減の502億円。新契約年換算保険料のうち、第三分野は同31.9%減の194億円となった。保有契約年換算保険料は前期末比0.9%減の2兆2457億円。
 第一生命HDの連結保険料等収入は前年同期比5%減の2兆4588億円となった。このうち第一生命の保険料等収入は同4%の増加、海外事業も同10%の増加で、米国とオーストラリアでの買収効果などにより、円高環境の中でも円ベースでの保険料等収入増加に貢献した。一方、第一フロンティア生命では、同23%の減収となった。グループ基礎利益は同16%減の2591億円の減益。第一生命で利息配当金等収入が減少したことを主因とする。親会社株主に帰属する中間純利益(連結純利益)は同21%減の917億円となった。新契約年換算保険料はグループ全体で同40.2%減の1525億円、国内3社計では同46.3%減の1128億円となった。国内は、7月までの経営者保険の販売停止などにより大きく減少したが、経営者保険以外の第三分野商品は306億円を計上、同15%増だった。グループ全体の保有契約年換算保険料は前期末比0.2%減の3兆9489億円だった。
 住友生命グループの保険料等収入は、前年同期比2.5%減の1兆2526億円だった。国内事業が同3.3%減の1兆1631億円と一時払終身保険の販売減の影響が大きく減少した。このうち住友生命は同3.6%減の1兆1434億円だった。メディケア生命は同14.9%増の196億円と大幅な伸び。海外事業(シメトラ)は同9.9%増の895億円で、保険契約の保有増を主要因として増加した。グループ基礎利益は、同0.3%減の2026億円と前年並みの水準となった。国内事業は同0.6%増の1855億円。このうち住友生命は同0.2減の1894億円で、団体保険の料率改定などの減少要因があった一方で、外国債券の積み増しなどにより運用収支が増加した。海外事業は同12.4%減の176億円だった。グループ新契約年換算保険料は同3.5%増の1136億円となった。このうち国内事業は、同5.2%減の624億円。海外事業は、企業保険部門の販売増により同16.5%増の511億円と増加した。グループ保有契約年換算保険料は、前期末比0.3%増の2兆7895億円。
 メットライフ生命の保険料等収入は9646億円で前年同期比9.9%の減収。基礎利益は同66.1%増の751億円と前年同期を大幅に上回った。新契約年換算保険料は同22.6%減、521億円だった。このうち医療保障・生前給付保障等は同21.2%減の139億円。保有契約年換算保険料は、前期末比0.4%減の1兆840億円だった。このうち医療保障・生前給付保障等は同0.5%増の3835億円。
 アフラックの保険料等収入は7133億円で前年同期比0.8%減少したが、資産運用収益が同12.0%増加したことにより、経常収益は同1.4%増の8848億円となった。基礎利益は、利息及び配当金等収入が増加したことに加え、責任準備金等繰入額の減少に伴い基礎費用が減少したため、同11.3%増の1701億円となった。新契約年換算保険料は、同21.2%減の368億円で、このうち第三分野が22.1%減の342億円。保有契約年換算保険料は前期末比0.1%減の1兆4147億円、このうち第三分野が1兆706億円でほぼ前期末と同水準だった。
 プルデンシャルHDの連結経常収益は前年同期比23.6%減の1兆2798億円、連結保険料等収入は同7.0%減の1兆270億円。連結経常利益は同30.9%減の667億円だった。親会社株主に帰属する中間純利益は同35.5%減の402億円。生保3社(プルデンシャル生命、ジブラルタ生命、PGF生命)合算の基礎利益は、同5.6%減の1019億円だった。生保3社の新契約年換算保険料(個人保険+個人年金保険合計)は同18.7%減の657億円だった。同じく保有契約年換算保険料は前期末比1.0%減の1兆8268億円だった。
 ソニー生命の保険料等収入は6654億円で、前年同期比で22.8%増加した。基礎利益は同0.6%減少し575億円となった。中間純利益は同28.9%増の327億円と大幅増。個人保険・個人年金の新契約年換算保険料は前年同期比1.8%増の386億円。同じく保有契約年換算保険料は、前期末比4.5%増の9032億円。
 T&Dホールディングスは、グループ3社(太陽生命、大同生命、T&Dフィナンシャル生命)連結の経常収益は保険料等収入や利息及び配当金等収入の増加があったものの、有価証券売却益が減少したこと等により前年同期比1%減の1兆889億円だった。親会社株主に帰属する中間純利益は同20.4%減の362億円。3社合算の基礎利益は順ざやの増加等により同3.9%増の855億円だった。新契約年換算保険料は同37.2%減の481億円だった。
 アクサ生命の保険料等収入は、前年同期比5.5%増の3194億円となった。基礎利益は、同35.2%減の140億円で、中間純利益は、同111.2%増の162億円となった。
 フコク生命グループの合算保険料等収入は前年同期比19.2%増の3497億円となった。合算の基礎利益は、同18.4%減の384億円となった。グループ合算の新契約年換算保険料は同24.5%増の104億円となり2年連続の増加となった。同じく保有契約年換算保険料は前期末比1.0%減の5531億円だった。
 朝日生命の保険料等収入は前年同期比0.7%減の1955億円となった。新契約年換算保険料が同42.7%減。基礎利益は予定利息の減少等による逆ざや額の改善により145億円となり、前年同期に比べ15億円増加した。