2019.12.05 日本の生損保6社 ミャンマー当局から正式事業免許を一斉に取得

 日本の生保、損保6社が11月28日、ミャンマー当局からミャンマーにおける合弁事業等による保険営業についての正式免許を一斉に取得した。正式免許を取得したのは、損保ジャパン日本興亜、東京海上日動、三井住友海上、第一生命、太陽生命、日本生命の6社。ミャンマーは、今年1月に保険市場の外国会社への開放を公表、日本では官民挙げてミャンマーの保険セクターの健全な発展に対する支援を行ってきており、営業に向け6社が仮免許を取得していた。

損保ジャパン日本興亜
 SOMPOホールディングスは、子会社の損保ジャパン日本興亜とミャンマーの損害保険会社であるAYA Myanmar General Insurance(以下、AMGI社)が、11月28日に合弁会社設立の正式認可を現地当局から取得したと発表した。同時に、AMGI社はAYA SOMPO Insurance Company Limited(以下、AYA SOMPO社)へと社名変更した。
 SOMPOホールディングスは、ミャンマーにおいて子会社の損保ジャパン日本興亜を通じて1996年から国営保険会社Myanma Insuranceを介した保険サービスの提供を実施してきており、2015年には外国保険会社初となるティラワ経済特区における営業認可を取得し、同特区内で元受保険営業を行っている。また、18年12月には、Myanma Insuranceおよび農業従事者向け融資を行うMyanma Agricultural Development Bankと共に、ミャンマーの主要産業である農業従事者を対象とした「天候インデックス保険」のパイロットプロジェクトを開始するなど、同国の発展に資する活動を行ってきた。
 合弁会社設立のパートナーであるAMGI社の前身であるAYA Myanmar Insurance社とは、16年に業務協力覚書を締結し、人材交流や技術支援を通じて密接な関係を構築、19年1月、現地当局による同国損害保険事業の外資開放プロセスの開始を受けて、①AMGI社から当初15%の増資を引き受けるとともに複数の役員を選出・派遣するなど積極的に経営へ参画し、その後2年以内に35%まで出資割合を引き上げること②AMGI社と同一グループでありミャンマー第2位の規模の商業銀行であるAYA銀行のネットワークを通じた保険販売事業を主要事業の一つとすること―を軸とした合弁申請をAMGI社と共に当局に行い、このたび合弁会社設立の正式認可を取得した。
 今後については、現地当局の規制緩和の進展を踏まえつつ、ティラワ経済特区における元受保険サービス、同特区外での国営保険会社を介した保険サービスを、順次AYA SOMPO社による元受保険サービスに一本化し、顧客の利便性とサービスの一層の向上を図っていく。

東京海上日動
 東京海上ホールディングスは、子会社である東京海上日動が11月28日付でミャンマー当局から同国で損害保険合弁会社を設立することに関する承認を得たことにより、Grand Guardian Tokio Marine General Insurance Company Limited(以下、GGITM社)の営業を開始する運びとなったと発表した。
 東京海上ホールディングスは、GGITM社の親会社であるGrand Guardian Insurance Holding社と、現地当局に対して損害保険合弁会社設立に関する認可申請を行うことについて合意し申請していた。その後、子会社である東京海上日動を通じてGGITM社の株式15%を取得し現地当局が求める全ての条件を充足したことを受け、この11月28日付で、当局から損害保険合弁会社を設立することに関する承認が出されたもの。
 GGITM社へ取締役および専門人材を派遣し、急速に成長するミャンマー保険市場での事業拡大に努めていくとしている。

三井住友海上
 MS&ADインシュアランスグループの三井住友海上は、ミャンマーの大手民間損害保険会社であるKBZ MS General Insurance Company Limited(IKBZ Insurance社から社名変更した)への10%出資について、現地当局からの最終認可に必要な条件を充足し11月28日付で認可を取得したと発表した。
 今後、取締役および駐在員を派遣し、ミャンマーへ進出する日系企業に安定的かつ高品質な商品・サービスを提供するとともに、アジア地域の基盤を一層強化し、海外事業の持続的発展を目指す。出資比率については、今後の現地当局の承認を前提に、外資規制の上限である35%までの引き上げを目指すことを、KBZ MS General Insurance社と合意している。

第一生命
 第一生命は、同社の100%子会社であるDai-ichi Life Insurance Myanmar Ltd.(以下、第一生命ミャンマー)が、11月28日、ミャンマー計画財務省から正式に生命保険事業認可を取得したと発表した。同社では4月5日にミャンマー計画財務省からミャンマーにおける100%子会社形態での生命保険事業仮認可を取得し、5月に第一生命ミャンマーを設立していた。
 今後、第一生命ミャンマーは事業開始に向けた準備を進めていき、第一生命グループでは引き続き、日本、北米、アジア・パシフィックのグローバル三極体制での事業展開を進め、持続可能な価値創造を実現していくとしている。

太陽生命
 T&D保険グループの太陽生命は、同社の関連会社であるミャンマーのCapital Life Insurance Limited(以下、キャピタル・ライフ社)での合弁事業について、11月28日、ミャンマー政府から最終承認を取得したと発表した。また、社名をCapital Taiyo Life Insurance Limited(以下、キャピタル・タイヨウ・ライフ社)に変更した。
 太陽生命は、12年にヤンゴン駐在員事務所を設置して以来、ミャンマー保険業界の発展に資するさまざまな活動を行ってきた。本年1月にミャンマー計画財務省が保険事業の外国会社への開放を公表したことから、キャピタル・ライフ社は同社の出資を受け入れ合弁事業を行う申請をミャンマー計画財務省にしていたが、今回、最終承認を取得したもの。なお、同社は8月22日にキャピタル・ライフ社に出資し、同社の海外関連会社としている。
 キャピタル・タイヨウ・ライフ社は、ミャンマーにおいて100拠点、5000人の営業体制の構築を目指す。また、最新のITサービスを導入し、20年からペーパーレス手続き、キャッシュレス手続きをスタートさせ、ミャンマーで最も先進的なサービスの提供(タブレット端末による保険加入申し込み、スマートフォンによる保険料収納・契約内容変更・保険金支払いなどを予定)を目指すとしている。

日本生命
 日本生命は11月28日、6月21日付で公表したミャンマーのシュエタングループ傘下のグランド・ガーディアン・ライフ・インシュアランス社(以下、グランド・ガーディアン・ライフ)の株式35%の取得について、所定の手続きを経て、出資を完了するとともにミャンマー金融当局から生命保険合弁事業に係る認可を取得したと発表した。今回の出資に伴い、グランド・ガーディアン・ライフは「グランド・ガーディアン・ニッポンライフ・インシュアランス」(以下、グランド・ガーディアン・ニッポンライフ)に社名を変更した。
 ミャンマーの生命保険市場は、13年に民間保険会社の営業が開始されたばかりの黎明期にあるが、若年層を中心とした人口動態や堅調な経済発展等を背景に、今後、長期にわたって高い成長が期待できるマーケットとしており、同社ではグランド・ガーディアン・ニッポンライフに取締役を派遣し、取締役会を通じた経営に関する助言等を行うとともに、駐在員等を通じ、実務レベルでの経営サポートを推し進める方針。
 また、ミャンマー国内におけるシュエタングループのブランド力や強固な事業基盤をべースに、同社の幅広い領域における経験やノウハウを提供することで、グランド・ガーディアン・ニッポンライフの安定的かつ持続的な成長に貢献し、同社の収益向上、契約者利益の拡大を図っていくとしている。