2019.11.20 生保協会 定例会見、気候変動対応ハンドブック作成

生保協会の清水博協会長は11月15日に行われた日銀記者クラブの定例会見で、同協会のSDGsの取り組みの一環として、「はじめての気候変動対応ハンドブック」を作成したことを報告した。同協会では4月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言への賛同を表明し、会員各社のTCFD提言に沿った取り組みの後押しを標ぼうしている。このハンドブックは、こうした動きを受けて会員各社の実務担当者向けに作成したもので、気候変動の重要性といった基本的な内容から先進的なTCFDの開示事例まで幅広く整理されている。この他、会見では10月中をめどに公表予定としていた「顧客本位の業務運営に関する会員各社のアンケート」の公表時期が延期されたことを報告した。

会見の冒頭、清水協会長は、台風19号等の被害によって亡くなった人々に哀悼の意を表すとともに、被災者へのお見舞いの言葉を述べた。その上で、生保各社では災害救助法が適用された地域の顧客の契約について、保険料の払い込み猶予期間の延長や、必要書類を一部省略するといった簡易迅速な支払いなどの特別措置を講じていることを紹介した。同協会によると、保険料の払い込み猶予期間の延長に関しては、11月5日時点で839件の申し出があったという。
さらに、10月30日に長野県、11月1日福島県の被災地を訪問したことを明かし、「被災現場を確認し、被災者の声を聞いてきた。想像を絶する状況に大変心が痛んだ」と述懐。引き続き顧客に寄り添った丁寧な対応を業界を挙げて推進していくと決意を語った。
続いて、前回の会見で、10月中をめどに公表したいと話していた「顧客本位の業務運営に関する会員各社のアンケート」については、回答結果の分析やとりまとめに時間を要しているため、公表時期を延期すると報告した。
最後に、同協会のSDGsの取り組みの一環として作成した「はじめての気候変動対応ハンドブック」について紹介した。気候変動が世界的に重要な課題となる中、同協会では今年4月にTCFD提言に賛同。生保業界全体の気候変動対応の底上げを図るべく、会員各社の気候変動担当者向けに同ハンドブックを作成したと説明した。
生命保険業界にとって気候変動への取り組みがなぜ重要なのかという基本的な説明から、実務担当者として考えるべきポイントまで幅広く整理したもので、今後は会員各社へ活用を促すとともに協会ホームページでの公表や関係団体への冊子の配布なども行い、さまざまなステークホルダーに届くよう取り組んでいく考えを示した。
この他、外貨建て保険の販売資格の試験導入に関する記者からの質問には、現在、全国銀行協会等の関係者と連携を図りながら議論を進めていると述べた他、試験以外にも募集人のリテラシー向上に向けたあるべき教育体系や内容等について幅広く意見を集めているところだと説明。「新たな試験の導入時期については具体的なことは何も決まっていない」とした。