2019.11.19 JA共済連 自動車共済の仕組改訂、農業者向けに保障を拡充

JA共済連では、2020年1月1日から、組合員・利用者のニーズに即した保障提供を実現するため、自動車共済の仕組改訂等を実施する。①借用農地内等の農業施設への対物事故の保障対象化②車両諸費用保障特約における積載動産損害共済金額の拡充③季節農業用自動車保障特約における自賠責下積み保障の追加④車両新価保障特約の新設⑤被害者救済費用保障特則の新設・車両無過失事故に関する取扱いの改訂⑥対物賠償責任条項における費用保障の拡充⑦試験使用中事故免責の緩和⑧車両諸費用保障特約における帰宅等費用共済金の範囲拡充⑨弁護士費用保障特約における引受制限の廃止⑩同性パートナー対応―などで、その他に共済掛金率の変更も行う。

自動車共済の仕組改訂は、①農業者向け保障拡充②ニーズが高い保障の新設・万が一に備えた保障拡充―に大別される。
農業者向け保障拡充は、農業・自動車分野を取り巻く環境が急速に変化している状況を踏まえて実施するもの。
まず、借用農地内等の農業施設への対物事故を保障対象化する。借用した農地や道具で営農が行われている実態を踏まえ、破損等した財物が、被共済者等の使用または管理(借用)する農業用動産・不動産に該当する場合は「対物賠償責任条項」の保障対象とする。農業の用途に使用される動産・不動産であれば、トラクター等の自動車から手持ちの草刈機(刈払機)まで種類の制限なく保障する。
その他にも農業者向けに以下の仕組改訂を行う。
①車両諸費用保障特約における積載動産損害共済金額を現行の30万円から200万円に拡大:農業法人の増加や農業の6次産業化の進展によって、多量かつ高価な農産物や加工品の運搬が契約の自動車でなされた場合に、十分な保障提供を図るため。
②季節農業用自動車保障特約における自賠責下積み保障の追加:記名被共済者等が所有する対象農業用自動車が対人事故を起こし、その対象農業用自動車が自賠責共済等に未加入であった場合、自賠責共済等で支払われるべき金額を含めて、対人賠償共済金を支払う。
また、組合員・利用者のニーズが高い保障への対応として、以下の特約を新設する。
①車両新価保障特約の新設:被共済自動車に生じた車両損害について、現行は車両条項で時価額を基準とした保障提供を原則としているが、新車買替えニーズへの対応を図るため、車両新価保障特約を新設する。
②被害者救済費用保障特則の新設:自動運転技術等の普及により新たに発生するリスクに対応するため、契約自動車の欠陥・第三者による不正アクセス等により人身事故や物損事故が発生した場合で、運転者等の被共済者に法律上の損害賠償責任がなかったことが確定したときに、被害者等を救済するために支出した費用について共済金を支払う被害者救済費用保障特則を新設する。
その他、万が一に備えた保障拡充として、以下の仕組改訂を行う。
①対物賠償責任条項における費用保障の拡充:▽契約自動車から落下した積載動産を道路等から取り片づけるために支出した費用について「落下物取片づけ費用」として保障▽車両火災により道路等に損害を与えた場合で、失火責任法により被共済者に法律上の損害賠償責任が生じないときであって、道路管理者等から 原因者負担金を請求された際に負担する費用について「原因者負担費用」として保障。
②試験使用中事故免責の緩和:農業用自動車の自動走行システムの開発が進展する環境下において、農業用自動車の試験走行や走行実験に対応可能となるよう改訂する。
③車両諸費用保障特約における帰宅等費用共済金の範囲拡充:自然災害の発生等による公共交通機関の運休等、正当な理由がある場合には、車両損害の発生から24時間を超える場合であっても帰宅等費用共済金を支払う。
④弁護士費用保障特約における引受等級範囲の拡充:弁護士費用保障特約について、すべての等級で引受可能とする。
⑤同性パートナー対応:昨今の社会情勢を踏まえ、自動車共済約款における配偶者の定義を変更し、同性パートナーを内縁の配偶者と同様に取り扱う。
なお、レッカー・ロードサービスについても、「同性パートナー対応」の仕組改訂に合わせ同様の取り扱いとする。同じく「試験使用中事故免責の緩和」の仕組改訂に合わせ、サービスの対象外となる場合の条件を見直し、公道試験や農家所有の農地等で試験使用していた場合に発生したトラブル(事故・故障)でもサービス提供を可能となるようにする。
共済掛金率の変更では、①自家用軽乗用車の型式別掛金クラスの導入②自家用軽乗用車のASV割引の適用条件変更③自家用普通・小型乗用車の型式別掛金クラスを現行の9クラスから17クラスへ細分化―を実施する他、以下の変更を行う。
▽新車割引の拡大:新車割引が適用できる期間を、共済期間の初日が初度登録後49カ月以内に拡大する(現行は13カ月以内)。
▽その他:①新規契約に適用する等級(6、7等級新規)の割増・割引率について、運転者年齢条件区分を廃止する②車両共済金額別共済掛金率の見直しを行う。