2019.10.16 三井住友海上・あいおいニッセイ同和損保 団体傷害保険の補償拡充 特約2種類も新設

 MS&ADインシュアランスグループの三井住友海上とあいおいニッセイ同和損保は、10月から企業等団体向け傷害保険の特約を新設したほか、補償内容の拡充を図った。社会環境の変化に伴う新たな顧客ニーズに対応するためで、従業員の仕事と治療の両立をはじめとする多様で柔軟な働き方の推進に取り組む企業をサポートし、今後も、CSV(Creating Shared Value)取り組みを通じて「元気で長生き」を支える社会の実現に貢献していく、としている。

 新設した特約は、①抗がん剤治療特約②傷害/疾病による集中治療室等利用時一時保険金補償特約―の二つ。①はがんを発病し、抗がん剤治療を開始した場合に保険金を支払う特約で、②は傷害または疾病により、集中治療室等を利用した場合に保険金を支払う特約。
 多様化するがん治療や医療技術の高度化に伴い、治療の選択肢が増える一方、高額な治療費負担が課題となっていることから、新たに従業員の仕事と治療の両立を支援する企業における福利厚生制度の充実化や従業員の高額な医療費の備えとして新設したもの。
 一方、補償内容の拡充としては、①傷害や疾病の通院補償にオンライン診療による診察を追加②社会環境変化に応じた補償内容の拡充―の2点が行われた。
 ①は、ICT技術の飛躍的な進展により、遠方の病院で治療を受ける患者等が、情報通信機器を用いた診療を受けることができるようになり、今後このような診療形態がますます増加していくことが予想されることから、遠隔診療のうち、オンライン診療(公的医療保険制度における医科診療報酬点数表のオンライン診療料の算定対象となる診療行為)を受けた場合でも傷害(疾病)通院保険金を支払う(月1回のみ)というもの。損保業界で初めてとなる(両社調べによる)。
 ②は、同グループで販売する自動車保険や火災保険と同様に、傷害保険でも補償を拡大するもので、日常生活賠償特約における補償範囲の拡大として、認知症患者が誤って線路に立ち入るなどして電車を止めてしまい、多額の損害賠償請求を受けるケースに備え、身体障害・財物損壊を伴わない電車等の運行不能についての賠償責任を補償対象にする。また、同性間パートナーを婚姻関係に準ずるものとして認める自治体の動きなどLGBTに関する社会的関心が高まっていることから、傷害保険の「配偶者」の定義を見直し、事実上婚姻関係と同様の同性パートナーも配偶者に含めるようにした。
 近年、「少子高齢化社会の進展」「デジタル技術の向上」など、社会環境が大きく変化する中、国内企業では健康経営が注目され、健康寿命の延伸や治療の多様化に対応した魅力ある福利厚生制度を整えたいというニーズが高まっている。こうした中、両社では従業員の仕事と治療の両立をはじめとする多様で柔軟な働き方の推進に取り組む企業をサポートするため、特約の新設・補償内容の拡充を図ったもの。