2019.08.20 かんぽ生命 19年度第1四半期決算 四半期純利益通期業績予想比36.3%
かんぽ生命は8月9日、2019年度第1四半期決算を発表した。四半期純利益は前年同期比0.9%減の337億円で減益となったものの、通期業績予想比は36.3%と順調に進捗(しんちょく)している。個人保険の新契約年換算保険料は同1.1%減の935億円、第三分野の新契約年換算保険料は同2.2%減の166億円だった。個人保険の保有契約年換算保険料は4兆6471億円で前期末比0.6%減となったが、第三分野の保有契約年換算保険料は7557億円と同0.4%の増加。収益追求資産(外国証券等)への投資は同0.3%減の10兆1874億円で、総資産に占める割合は13.9%に拡大した。19年6月末のエンベディッド・バリュー(EV)については、7月31日の「日本郵政グループにおけるご契約調査及び改善に向けた取組」等の影響を現時点で反映できないことから、公表を控えるとした。
個人保険の新契約件数は前年同期比5.3%減の42万件だった。商品別の占率を見ると、保障ニーズを捉えた営業推進に加えて、19年4月から販売を開始した引受基準緩和型商品の売れ行きが好調であったことから、保障性の高い特別養老保険が8万件で19.0%(前年同期実績10万件)、普通終身保険(倍型)が7万件で17.9%(同10万件)、普通養老保険(引受基準緩和型)が2万件で5.7%、普通終身保険(引受基準緩和型)が5万件で12.0%。保障性商品の占率が全体の約5割を上回り、増加傾向が継続している。普通養老保険は10万件(占率24.5%、前年同期実績12万件)、普通終身保険(定額型)は4万件(占率10.8%、前年同期実績6万件)、特別終身保険は1万件(占率4.2%、前年同期実績2万件)、学資保険は2万件(占率5.7%、前年同期実績3万件)だった。
個人保険の保有契約件数は、新旧区分合算で前期末比0.9%減の2889万件だった。商品別に見ると、養老保険は1146万件(占率39.7%、前期末実績1165万件)、終身保険は1304万件(占率45.2%、前期末実績1301万件)、学資保険は424万件(占率14.7%、前期末実績434万件)、その他は13万件(占率0.5%、前期末実績13万件)となっている。
連結経常収益は前年同期比1597億円減の1兆8189億円で、通期業績予想(7兆1800億円)に対する進捗率は25.3%。このうち、保険料等収入は同789億円減の9358億円、資産運用収益は同306億円減の2769億円、責任準備金戻入額は同526億円減の5687億円だった。
経常費用は同1404億円減の1兆7629億円で、このうち、保険金等支払金は同1383億円減の1兆5766億円、資産運用費用は同37億円減の311億円、事業費は同29億円増の1280億円。事業費のうち約7割を日本郵便へ支払う委託手数料と郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構に支払う拠出金が占めている。本年度から拠出金制度が導入されたことに伴い、委託手数料体系の見直しを実施した結果、第1四半期の委託手数料は、新契約の減少や拠出金制度の導入等により、前年同期比140億円減の742億円。委託手数料のうち、新契約手数料は同50億円減の336億円、維持・集金手数料は同90億円減の406億円だった。拠出金を含めた総額は886億円と、前年同期の委託手数料とほぼ同水準となった。
経常利益は、キャピタル損および事業費が増加したことを主因に同192億円減の560億円となり、通期業績予想(1900億円)に対する進捗率は29.5%。親会社株主に帰属する四半期純利益は、キャピタル損の増加を価格変動準備金の戻入益で相殺し、同3億円減の337億円、通期業績予想(930億円)に対する進捗率は36.3%となった。総資産は前期末比0.6%減の73兆4557億円、純資産は同2.2%減の2兆876億円。
資産運用については、昨今の超低金利環境の継続を受け、運用資産の多様化を進めてきた結果、株式・外国債券など収益追求資産の残高は10兆1874億円となり、総資産比で13.9%まで拡大した。平均予定利率は、予定利率引き下げの効果が表れ、前年同期から0.02ポイント低下し1.69%、利子利回りは横ばいの1.77%で、125億円の順ざやを確保。金銭の信託を通じて保有している国内株式の減損や、為替変動リスクのヘッジに伴う金融派生商品費用が増加したことにより、キャピタル損益は316億円の損失となった。
満期保有目的と責任準備金対応で保有する債券の含み益の合計は8兆4071億円、その他有価証券の含み益は7233億円で前期末から増加。その結果、有価証券全体の含み益は9兆1305億円となった。
健全性の状況については、経営環境の変化に伴うリスクに備え、将来にわたり健全で安定的な経営を確保するため、危険準備金1兆9214億円、価格変動準備金8818億円を積み立てている。追加責任準備金は5兆8684億円。連結ソルベンシー・マージン比率は、1198.5%で前期末比8.7ポイント増加し、引き続き高い健全性を維持している。
20年3月期の連結業績予想については、「日本郵政グループにおけるご契約調査及び改善に向けた取組」による影響から、新契約の減少や追加的な費用の発生等が予想されるものの、販売費用の減少が見込まれることに加えて、資産運用実績が良好であることから、現時点では19年5月15日に公表した業績予想に修正はないとしている。