2019.08.16 東京海上HD 19年度第1四半期決算 四半期純利益 10.8%増

 東京海上ホールディングスが8月9日に発表した2019年度第1四半期決算によると、連結経常収益は前年同期比0.2%減の1兆3941億円となった。正味収入保険料は、再保険子会社売却の影響により9054億円と同1.7%の減収となったものの、国内において火災・新種保険を中心に全種目で増収(同3.2%増)、海外についても再保険子会社売却の影響を除くと北米・アジアを中心に増収(同6.7%増)となっており、基調は順調。生命保険料は、国内での法人向け商品の一部販売休止の影響から、2396億円と同1.7%の増収にとどまった。連結経常利益は同8.7%増の1500億円。親会社株主に帰属する四半期純利益は、異常危険準備金の繰入率引き上げに伴うテクニカルな減益を除けば自然災害の減少等により好調で、同10.8%増の1127億円となった。海外も北米・南米・アジアを中心に好調を継続。結果として、年初計画に対する進捗(しんちょく)率は35%となった。

 東京海上日動の保険引受利益は、前年同期比で28億円増加し287億円だった。大口・中規模事故の増加や、増収に伴う発生保険金および代理店手数料の増加、税制改正を踏まえた火災グループの繰入率引き上げに伴う異常危険準備金積増額の増加があったものの、全ての種目で増収したことに加え、自然災害に係る発生保険金の減少や円高進行に伴う外貨建支払備金の積増負担が減少したことを主な要因に増益となった。
 正味収入保険料は、同3.2%増の5689億円と前年同期実績を上回った。種目別では、火災は補償拡充や件数増加を主因に同10.7%増の719億円、海上は同3.9%増の167億円、傷害は加入者数の増加を主因に同2.7%増の591億円、自動車は19年1月の商品改定(特約付帯)によって同0.7%増収し2724億円、自賠責は満期到来台数の増加を主因に同6.1%増の646億円、その他は超ビジネス保険の販売拡大等により同3.7%増の839億円だった。家計地震・自賠責を除いた民保合計では5039億円。
 発生保険金(民保ベース、損害調査費含む)は、同57億円減少し2579億円。E/I損害率は、自然災害に係る発生保険金の減少や円高進行に伴う外貨建支払備金の積増負担の減少により、同1.7ポイント低下の54.7%。事業費率は、人件費の減少、正味収入保険料の増収を主因に同0.6ポイント低下の31.3%。コンバインド・レシオ(民保E/Iベース)は同2.3ポイント低下の86.0%となった。
 資産運用等損益は、円高進行に伴うドル預金等の為替差損を主因に同43億円減益の697億円。このうち、ネット利息及び配当金収入は、海外子会社からの配当金収入や内国保有株式の配当金の増加から、同37億円増益の454億円となった。
 経常利益は同9億円減の1005億円、四半期純利益は同16億円増の791億円、単体ソルベンシー・マージン比率は前年度末比38.2ポイント上昇し863.6%となった。
 日新火災の保険引受利益は、前年同期比で21億円減益の16億円だった。火災・新種保険の販売拡大による増収があったものの、火災・新種保険における大口事故の増加や、W/P損害率低下に伴う異常危険準備金取崩額の減少から、前年同期の実績を下回った。
 資産運用等損益は、金融派生商品費用の増加等により、同1億円減益の1億円。
 経常利益は同25億円減の11億円、四半期純利益は同20億円減の8億円、単体ソルベンシー・マージン比率は前年度末比1.5ポイント上昇し1221.4%となった。
 東京海上日動あんしん生命の新契約年換算保険料は、法人向け商品の一部販売休止を主因に、前年同期比58.7%減収の84億円となった。この影響を除くと、同10.1%の増収となっている。保有契約年換算保険料は、法人向け商品の一部販売休止に伴い、新契約による増加が解約等による減少を下回ったことから、同0.2%減収し8497億円となった。
 四半期純利益は、法人向け商品の販売休止に伴う代理店手数料や責任準備金の積増負担の減少があるものの、デルファイへの運用委託残高の増加に伴う為替ヘッジコストの増加(運用収益は第2四半期以降に計上)やシステム開発費の増加等により、同8億円減益の37億円。経常利益は、四半期純利益から契約者配当準備金戻入の増加の影響等を控除するため、同27億円減益の40億円となった。基礎利益は、経常利益から為替ヘッジコストの影響等を控除した結果、同14億円減益の76億円となった。単体ソルベンシー・マージン比率は、前年度末比45.0ポイント低下したが、2018.6%と引き続き高い水準を維持している。
 海外保険事業の正味収入保険料は、再保険子会社売却の影響から前年同期比2.6%減の4395億円となったものの、各事業の基調は良好で、再保険子会社売却の影響を除くと同10.4%の増収となっている。
 北米は、フィラデルフィアでの更新契約のレートアップや新規契約の拡大等、デルファイの損保の新規契約拡大等、TMHCCの北米損保や米国外マーケットにおけるレートアップ等を主因に増収し、同8.6%増の2821億円となった。欧州・中東・アフリカは、欧州では収益性を重視した引受により減収したものの、Hollardの新規貢献(+99億円)等より、同5.1%増の429億円。中南米は、ブラジルにおける自動車保険の引受拡大等によって現地通貨ベースでは増収したものの、レアル安進行の影響により同8.5%減の342億円となった。アジア・オセアニアは、タイ、シンガポール、インドネシアにおける増収とセイフティの新規連結(+71億円)等により同24.5%増の471億円だった。
 事業別利益は、北米を中心に全事業ドメインで増益し、海外保険事業全体で同46.8%増の550億円。再保険子会社売却の影響を除くと、同52.0%の増益となり、結果として年初予想(1770億円)に対する進捗率は31.1%となった。
 このうち北米は、フィラデルフィアとデルファイは増収効果や保険引受利益の改善に加え、資産運用収益の増加等により増益。TMHCCは増収効果に加えて、為替換算損益の改善や資産運用収益の増加等により増益し、北米全体では同30.8%増の446億円となった。
 欧州・中東・アフリカは、資産運用収益の増加に加えて、為替換算損益の改善等により増益し、同628.5%増の17億円。中南米は、ブラジルにおける自動車保険の収益改善等により増益して同36.6%増の34億円。アジア・オセアニアは、セイフティの新規連結に加え、マレーシアや中国における収益改善等により同52.8%増の39億円だった。