2019.08.05 JA共済連 18年度決算 自然災害多発で基礎利益減 推進目標 8年連続で達成

 JA共済連は7月25日、東京都港区のANAインターコンチネンタルホテル東京で通常総代会を開催し、2018年度決算を承認した。18年度は、自然災害の多発により危険差収支が前年度から大幅に減少したことなどから、基礎利益は前年度から2902億円減少の4561億円となった。ソルベンシー・マージン比率は、再保険担保額増加の取り組みなどにより巨大災害リスクが減少したことなどから、同39.9ポイント増加の1082.9%。実質純資産額は、責任準備金対応債券などの有価証券等の評価差額が増加したことなどから、同9728億円増加の18兆7736億円となった。

 新契約高は、生命総合共済(生命・医療系・介護・生活障害・年金共済合計)の新契約件数が前年度比30.9%増の118万5000件、保障共済金額が同12.0%増の2兆8811億円だった。建物更生共済は同9.4%減の147万2000件、保障共済金額が同17.7%減の24兆2668億円。その結果、生命総合共済と建物更生共済の合計は、保障共済金額27兆1480億円で、前年度から15.3%減少した。自動車共済は同1.5%減の821万件、連合会が収納した共済掛金は同6.4%減の2665億円だった。
 生命総合共済・建物更生共済合計の保有契約高(保障共済金額)は同2.8%減の252兆6607億円で、解約・失効率は、生命共済が同0.05ポイント増の2.68%、建物更生共済が同0.34ポイント減の3.11%となった。
 共済金の支払いについては、事故共済金が同28.7%増の1兆1529億円、満期共済金が同42.0%増の3兆3953億円だった。特に、自然災害にかかる共済金の支払総額は、東日本大震災に係る支払いが多かった11年度に次ぐ規模となった。その結果、総額で4兆5483億円(同38.4%増)を支払い、組合員・利用者の生活保障の一助となった。
 総資産は、前年度末比0.2%減の58兆992億円で、運用資産は同0.1%減の55兆9953億円。また、責任準備金は同0.2%減の51兆3158億円となった。
 損益の状況は、直接事業収益が前年度比16.5%増の5兆3286億円、財産運用収益が同1.1%減の1兆768億円。一方、直接事業費用は同23.0%増の6兆956億円だった。財産運用費用は1265億円で、正味運用益は9503億円を確保している。この結果、経常利益は同30.2%減の1530億円で、当期剰余金は同24.1%減の872億円となった。
 なお、基礎利益中の利差損益は、低金利の継続などに伴い減少したものの、これまで実施した責任準備金の特別積み立ての効果などにより順ざやを確保した。こうした状況の中で、これまで積み立ててきた準備金の活用や将来に向けた新規の積み立てを行うことで、経営の健全性を確保している。
 自然災害の多発により事故共済金が前年度から大幅に増加したため、建物更生共済の共済リスクに備える異常危険準備金について取り崩しを実施するとともに、将来の支払い担保力を確保するため、新規に積み立てを実施。これにより、建物更生共済の支払い担保力は、前年度水準を確保した。
 生命総合共済は利差損となっていることから、利差収支の改善に向け、責任準備金の特別積み立てを実施した。なお、必要な財源として、予定利率リスクに備える異常危険準備金を取り崩して活用した。
 また、低金利の継続などにより、利差収支はマイナスで推移することが見込まれることから、今後も責任準備金の特別積み立てを継続的に実施するため、予定利率リスクに備える異常危険準備金を新規に積み立てた。
 契約者割り戻しについては、利差割戻率は公社債等利回りの低下を踏まえ引き下げ、生命総合共済の危険差割戻率(死亡保障)は死亡率が改善していることから引き上げ、建物更生共済の危険差割戻率は危険差収支の状況を踏まえ引き下げとした。
 18年度は、16年度から18年度までの「JA共済3か年計画」の最終年度として、3カ年計画の基本方針を踏まえて策定した18年度事業計画に基づき、①磐石な事業基盤の確保に向けた取り組みの強化②共済事業としての自己改革の着実な実践③永続的な健全性・信頼性の確保―に取り組んだ。
 Lablet,s(ラブレッツ)を活用した3Q訪問活動・あんしんチェックの実践に取り組んだ結果、3Q訪問実施世帯数は594万8845世帯(前年度比8.6%増)、16~18年度の累計では1690万5545世帯となった。ニューパートナー獲得実績は36万6947人(同11.4%増)、累計では120万48人。この他、「ひと・いえ・くるまの総合保障」の実現に向けた取り組みやJA指導・サポート機能の強化に向けた取り組みを実施。また、18年度は日本各地で自然災害が多発する中、ラブレッツの災害対応機能を活用した損害調査を展開するとともに、広域支援体制の構築や外部鑑定人の活用の拡大、JA調査員による損害調査の実施によって、系統一丸となって、54万件を超える共済金支払いについて迅速に取り組んだ。
 これらの取り組みの結果、推進総合実績(注)は73億5299万ポイントとなり、8年連続で全国目標を達成(目標達成率105.6%)した。

 (注)保障内容の異なるすべての共済契約実績を共通の基準で評価する「推進ポイント方式」(保障金額×所定の換算率)により算出。