2019.07.29 第216回航空保険プール委員会 18年度提供保険料96億円 前年度から12億円減少
日本航空保険プールは7月18日、トーア再保険において、第216回航空保険プール委員会を開催し、一般概況報告とともに2018年度プール運営費決算報告など各議題を審議・承認した。18会計年度のプール提供(グロス)保険料は、前年度の約108億円から約12億円減少し、約96億円(前年比89.0%)となった。また、先ごろ実施した委員長および副委員長選挙の結果について報告され、委員長に後藤浩之氏(東京海上日動常務執行役員)、副委員長に大知久一氏(三井住友海上取締役専務執行役員)を選出した。
国際マーケットの動向としては、次の報告が行われた。
2001年の米国同時多発テロの影響で急激にハード化したエアライン分野の機体・賠償責任保険の料率水準は、09年に発生したエールフランス機の大口事故直後の一時的なハード化という一部例外を除き、航空機の安全性向上も手伝い一貫してソフト化傾向が継続してきた。
この傾向は、17年第3四半期に発生した大西洋ハリケーン「ハービー」「イルマ」「マリア」をはじめとする一連の大口自然災害事故により、再保険マーケット全体の動きに合わせて徐々に反転していくことになった。
18年に入ると、航空保険から撤退するマーケットが出てきた。特にBritの撤退はマーケットに大きな影響を与え、18年10月に発生したライオン・エア610便墜落事故とも相まって、エアラインとGAを中心に保険料率がはっきりと上昇する局面に移っていった。
18年暦年ベースのジェット旅客機の全損事故件数は15件で、死亡乗員・乗客数は303人だった(いずれも旧ソ連地域で製造された機体によるものは除く。以下同じ)。
このうち、特に死亡者が多かった事故はクバーナ航空墜落事故(事故日:18年5月18日、112人死亡)とライオン・エア610便墜落事故(事故日:18年10月29日、189人死亡)だった。
19年に入ってからのジェット旅客機の全損事故件数は2件(5月末現在)となっている。
18年暦年ベースの宇宙保険マーケットは、主要ロケットによる打ち上げ回数が前年の26回に比べ21回と減少したことに加え、ソフト化の影響により収入保険料は前年対比で減少した。
事故は、Al Yah3、WorldView4、SoyuzMS―10等を含む計6件が発生し、マーケット全体の収支は収入保険料と支払保険金がほぼ同水準と見込まれている。