2019.07.19 かんぽ生命 8月まで商品提案を自粛 契約者への対応を最優先 今後の取組公表で信頼回復へ

 日本郵政、日本郵便、かんぽ生命の3社は7月14日、顧客からの信頼の回復に向け、当面の間(7~8月)は問い合わせや訪問依頼に最優先で対応し、郵便局・かんぽ生命支店からの積極的なかんぽ商品の提案は控えることを発表した。問い合わせ等のない顧客に対しても、今後、通知等を通じて契約内容の確認等を行うとともに、信頼の回復に全力で取り組むとしている。なお、全国の郵便局・かんぽ生命支店は通常通り業務を行い、郵便局においては、郵便・貯金だけでなく保険についても保険金の支払いや各種手続きなどは行う。

 かんぽ生命では6月27日、2019年4月以降に判明した、乗換後契約の申し込みが引受謝絶となる場合や、乗換後契約で告知義務違反によって契約が解除となり保険金が支払謝絶となる場合、乗換後契約の保障開始前にかかった病気のため保険金が支払謝絶となる場合等について、同社の調査スタッフが訪問等を行った上で、顧客の意向や不利益事項の認識等を再確認し、順次、確認した結果に基づき、乗換前の契約の復元や、復元後の契約からの保険金支払い等の対応を行うことを明らかにしていた。
 7月10日には、かんぽ生命と日本郵便が、契約乗換により顧客に不利益が生じたことについて、次の通り取り組むことを発表した。
 【6月27日発表の「契約乗換に際し引受謝絶となる事例等」約2万4000件に係る契約復元等の手続きをお願いする取り組み】
 ▽7月から顧客への連絡を開始
 ▽意向確認の訪問は、顧客の都合に合わせて実施
 ▽この間に生じた入院・手術等に対して、保険金を支払う
 【その他の事例に係る契約復元等の手続きをお願いする取り組み】
 ▽6月27日発表の事例の他、以下のような同種の事例についても意向確認等を実施
 ―契約日の前3カ月から後6カ月の契約乗換の判定期間の外で申し込んだ新契約が引受謝絶等になっている事例
 ―契約乗換の判定期間の後に既存の契約が解約された事例
 ―契約乗換によって予定利率が下がるなど保障内容・保険料額が顧客の意向に沿っているか再確認する事例
 ▽これらの件数等については現在調査中であり、別途報告
 【疑問や不明の点がある契約に係る取り組み】
 ▽顧客から申し出てもらい、必要な対応を取る旨を全契約者にお知らせ
 ▽専用の問い合わせ窓口をホームページ等でお知らせ
 【体制・報告】
 ▽迅速かつ丁寧に顧客対応を進めるため、かんぽ生命本社にトップ主導の「お客さま本位の募集態勢推進本部」を設置(本部長:代表執行役社長)
 ▽約40人体制のかんぽ生命本社専門部署、全国約400人の調査スタッフ、かんぽ生命支店・サービスセンターの社員を含めた全社を挙げての体制を構築
 ▽お客さま対応の進捗(しんちょく)状況について年内に経過報告

 また、かんぽ生命と日本郵便の両社における改善の取り組みとして、顧客の視点に立った営業をさらに徹底するため、主な改善策として以下を実施するとしている。
 ▽契約乗換の勧奨を行わない:19年7月
 ▽営業目標と販売実績計上の見直し:19年8月以降
 ▽募集事前チェック機能(新規申し込みの際、システム上の手続きをロックし、郵便局の管理者またはかんぽ生命が顧客の意向を確認し、承認した場合のみ、その後の手続きを再開する機能)の強化:19年10月
 ▽条件付解約制度(乗換を契機に無保険となってしまうことを防止する観点から、新規契約申し込みの承諾可否に応じて既契約の解約等の効力を発生させる制度)の導入:20年4月
 ▽契約転換制度の導入:21年4月以降
 ▽現在実施している契約乗換判定期間の外の調査の強化
 さらに今後、両社は連携・協力して、営業目標の水準や配分のあり方を見直し、営業マネジメントの改善を進めること、同取り組みによる検証・改善のプロセスを通じて顧客本位の考え方をさらに徹底し、全社員にしっかり根付かせること、日本郵政・かんぽ生命・日本郵便の3社による独立した第三者委員会の設置を検討すること―を改善の取り組みとして挙げている。
 なお、7~8月は契約者への対応を優先し、積極的な商品提案は控えるものの、契約加入の申し出があった場合には、商品内容を丁寧に説明した上で、意向に沿ったかんぽ商品の申し込みを受けるとしている。