2019.07.17 日立キャピタル損保 上乗せ・延長プランで介護離職防止 GLTDに介護休業補償特約

 日立キャピタル損保は7月4日、団体長期障害所得補償保険(GLTD)において、介護休業取得時の所得喪失部分を補償する特約を開発し、7月から販売を開始したことを発表した。同商品では、従業員の家族が要介護状態となり、従業員が介護を行うために就業規則に定める介護休業制度を利用した際の所得喪失分(給料の減少額)を補償する。企業を保険契約者(保険料負担者)とし、従業員を被保険者とする全員加入型の契約で、契約時の告知は企業による一括告知方式となるため、現在の介護休業取得者を申告するだけで加入が可能。会社が保険料を負担し、従業員の介護休業の所得喪失分を補償する保険は業界初(同社調べ)となる。

 健康経営を目指す会社を中心にGLTDに対するニーズが高まる中、これまで従業員が家族の介護のために休業した場合は補償の対象外となっていた。
 同社では、持続可能な社会の実現に向け、SDGsに掲げられている課題に対する取り組みを強化しており、2018年7月から「がん治療と就業の両立を支援する企業向けがん保険」を販売するなど、同社の強みを生かして社会問題の解決に向けて取り組んでいる。今回発売する商品も、持続可能な社会保障制度の構築(関連SDGs:目標3、8)に向け、公的補償を民間の保険で補完する商品となっており、社会問題となっている介護離職防止に貢献するとしている。
 同商品では、企業が就業規則に定める介護休業制度に合わせ、「上乗せプラン」「延長プラン」、両プランを組み合わせた「上乗せ+延長プラン」の3種類のプランから選択できる。
 「上乗せプラン」は、雇用保険の介護休業給付支給期間の所得喪失分を補償するプランで、介護休業制度を法定通り(最大93日、3分割)で設けている企業向け。「延長プラン」は、雇用保険の介護休業給付支給期間終了後の所得喪失分を雇用保険の給付と同水準で補償するプランで、法定を超えて介護休業制度を設けている企業向けとなっている。
 また、介護離職問題の解決には、企業や従業員の意識改革など、さまざまな取り組みが必要となることから、同社では損保ジャパン日本興亜の関係企業と連携し、▽介護なんでも相談室(人事担当者・従業員向けの介護相談サービス)▽施設利用優待制度(介護施設紹介サービス)▽従業員実態調査サービス(従業員対象の実態把握アンケート)▽介護離職防止に関するセミナーの講師派遣(専門講師による従業員向けセミナーの講師派遣)▽仕事と介護両立支援のための相談サービス(会社制度に応じた相談対応)―等、各種サービスを提供している。
 近年、高齢者人口の増加に伴い、介護保険制度上の要支援・要介護認定者数が増えている。その介護者となるのは企業の中核を担う従業員であることが多く、介護は育児と異なり突発的に発生することや、介護を行う期間・方法も多種多様であることから、仕事と介護の両立が困難になるケースが増えている。
 育児・介護休業法(育児休業、介護休業等育児または家族介護を行う労働者の福祉に関する法律)による介護休業制度が設けられ、各企業には同制度の導入が義務付けられている一方で、各企業の介護休業制度では、93日(通算分割3回まで)は雇用保険から休業開始時賃金の67%の支給があるものの、支給額が不十分であったり、94日目以降については無給である場合が多い。日立キャピタル損保では今回、この所得喪失部分を補償する特約を開発した。