2019.06.21 生保協会定例会見 外貨建保険の苦情対策課題に 好事例収集しPDCA高度化へ

 生保協会の稲垣精二協会長は6月14日、日銀記者クラブで協会長として最後の定例会見を行った。業界の課題として注目されている外貨建て保険に関する苦情対応について、前回の会見以降の取り組みを中心に報告した他、「SR報告書2019」の発行について紹介した。また、この1年の活動について振り返り、「外貨建て保険についてはガイドライン作成、法人保険についてもルール改正や業界内での販売自粛など、打てる手はしっかり打ってきたと自負している」とした上で、「外貨建て保険については苦情が増え続けてしまったという点において課題を残してしまった」と語った。

 会見で稲垣協会長はまず、「外貨建て保険に係る消費者の信頼向上に向けた協会取組み」と題した資料をもとに、これまでの同協会の取り組みを紹介した。
 同協会では、2018年6月のガイドラインの改正を皮切りに、マネープランガイドのひな型の提供や募集代理店共通点検表の改正などに取り組んできた。4月からは募集補助資料のひな型提供・実質的な利回りの表示を実施し、6月には募集補助資料に係るガイドラインを新規作成することとしている。
 その一方で、外貨建て保険に関する苦情分析にも注力。銀行等代理店を発生原因とする外貨建て保険・年金に係る苦情件数は増加傾向にあり、2018年度については12年度の597件に対して2543件と約4倍に拡大した(保有件数は約6倍)。その原因としては「説明不十分」が7割を占めている。
 外貨建て保険に関する苦情件数が増加傾向にあることを踏まえ、協会ではValue Upアンケートの「外貨建て保険版」を新設。各社の好事例を収集・共有し、PDCAを高度化させる方針だ。会見では6月に公表された第1回となるアンケートの結果についても一部を紹介した。適切な勧誘に関する項目では、為替リスクなどの説明充実が必要という声に対して、契約成立前に外部業者などにより理解状況を確認して、理解が確認できない場合には契約を不成立にするといった事例が掲載されていると説明した。
 また、SR報告書の発行についても紹介し、同報告書内で取り上げた直近の取り組みとして、「自助の日(5月28日)」に開催したシンポジウムと6月5日開催した「Insurance Forum Japan2019」を挙げ、それぞれのイベントのハイライトを振り返った。
 この他、質疑応答で、このほど金融庁から老後資金に2000万円が必要になると試算した報告書が提出されたという事案について意見を求められた稲垣協会長は、報告書についてのコメントは控えるとした上で、「少子化や長寿化が進み、働き方も多様化している今、自分自身の生き方を一人一人が描いていくことが重要になる」との考えを示し、「生保業界としては、お客さま一人一人がご自身の生き方に合った自分モデルを構築し、その実現に向けた適切な準備をしていくためのお役に立てるように取り組んでいきたい」と展望した。