2019.05.08 生保協会定例会見 外貨建保険への苦情対応説明 透明性高め、取り組み強化

 生保協会の稲垣精二協会長は4月19日に行われた日銀記者クラブの定例会見で、業界の課題となっている外貨建保険に関する苦情対応について報告し、今後は、苦情分析等を踏まえた対応に加え、さらなる改善に向けて、加入時・契約後の説明の充実やPDCA機能の強化を推進する意向を示した。同協会ではこれまでにもガイドラインの策定やValueUpアンケートを通じた各社取り組みのベストプラクティスの共有などさまざまな取り組みを実施してきたと述べた上で、「現状の苦情状況を真摯(しんし)に受け止め、苦情防止に向けて取り組みをさらに強化していく」と語った。

 外貨建保険・年金に係る苦情件数は近年増加傾向にあり、2012年に597件だった苦情は、17年には1888件と約3倍となっている。
 苦情原因の77%は「説明不十分」で、中でも「元本割れリスクについて適切な説明を受けていなかった」という声が多く寄せられた。また、70歳以上の契約者では、保有件数に対して苦情件数の割合が高く、特に80歳以上の契約者の場合は親族からの申し出が45%に上った。
 こうした状況を踏まえて、同協会では、説明の充実に向けた新契約時の対応として、募集補助資料の徹底と対象商品の拡大を推進する他、6月をめどにガイドラインを新規に作成する考えだ。
 また、高齢者の契約については、同協会の高齢者ガイドラインを改定し、親族の同席を原則とする対応を進めていく。契約後の対応としては、生保会社からのタイムリーなアフターフォローを実現するため、金融機関代理店への契約情報の連携基盤の整備を図る。
 それと同時に、PDCA機能の強化として、顧客説明の充実に向けた取り組み等の対応実効性を四半期ごとにモニタリングしていく。実施に当たっては、苦情発生のタイミングや申出人の属性などの項目を拡充し、よりきめ細かく苦情傾向の分析を可能とするよう対応していく方針だ。
 さらに、苦情に対する各社対応の好事例の共有を目的に、外貨建保険版のValueUpアンケートを新設する。同時に、各社に寄せられる苦情の状況についても四半期ごとに開示していくことで、透明性の向上を目指すという。
 会見ではこの他、『生命保険協会創立110周年記念報告書・提言書』を刊行したことや、創立110周年を記念して、『生命保険会社の資産運用を通じた「株式市場の活性化」と「持続可能な社会の実現」に向けた取組について』と題したレポートを発行したことを報告。
 同協会が「自助の日」として制定した5月28日には「人生100年時代に必要なリテラシーと金融業界の役割」と題したシンポジウムを、6月5日には「Insurance Forum Japan2019」を開催することを発表した。
 その後行われた質疑応答の中で、国税庁が「法人税基本通達の制定について」他1件の一部改正(案)(定期保険及び第三分野保険に係る保険料の取扱い)に関するパブリックコメントを実施すると公表した件について意見を求められた稲垣協会長は、パブリックコメントに付されている税務取り扱いでは、商品や保険期間、年齢等によらず、解約返戻率の高低で税務取り扱いが変わるとされていることについて、「この方法は、前払い保険料を多く有する商品は資産計上するという国税庁のこれまでの考え方をよりシャープに取り入れたものであり、われわれも合理的だと考えている。また、契約者が把握可能な解約返戻率をトリガーにしていることから、商品によらない公平なルールだと受け止めている」と回答。
 その上で、「今後については各社が知恵を絞っていくことになるが、合理性の高いルールで、ニーズの高い中小企業の事業保障、事業承継ニーズ、退職金・退職慰労金への備えに対してしっかりとしたコンサルティングを提供していきたい」と語った。