2019.04.08 国土交通省 自転車活用推進本部 第2回自転車の損害賠償保障制度検討会 地方公共団体の条例制定サポート 情報提供を強化し加入促進図る

 国土交通省は3月29日、第2回「自転車の運行による損害賠償保障制度のあり方等に関する検討会」を開催した。2017年5月に施行された自転車活用推進法では、被害者救済の観点から、自転車の運行による損害賠償を保障する制度について、政府が検討した上で必要な措置を講じることが規定されている。これを受けて同省は、自転車の運行による損害賠償保障制度に関して、専門的な見地から意見を聴取するため、1月に同検討会を設置した。今回は自転車損害賠償責任保険などへの加入促進に関する標準条例について報告した他、加入が望まれる保険(共済)の補償内容や自転車版自賠責制度の創設の必要性などについて検討した。当面は全国の各地方公共団体による条例制定をサポートする他、国としても情報提供を強化することなどにより、自転車損害賠償責任保険などへの加入促進を図っていくこととした。

 検討会で報告された自転車損害賠償責任保険などへの加入促進に関する標準条例は、①加入の義務付け②加入の確認など③保険などに関する情報提供―の3項目から構成されているとして、それぞれ具体的に説明。①に関しては、自転車利用者に加え、未成年者による利用は保護者を、事業活動による利用は事業者を、自転車借受人による利用は自転車貸付事業者を対象とする。②では、自転車小売事業者は自転車購入者に対して、事業者は通勤手段として自転車を活用する従業者に対して確認することを義務付けるとともに、自転車貸付事業者は自転車借受人に対して、自転車損害賠償責任保険などに関する情報提供を行うことを求める。③では、都道府県は関係団体と連携して住民に、学校設置者は児童やその保護者に対し、保険加入の必要性などについて周知することを求める。
 標準条例は通達という形で、既に2月に都道府県や政令市に対して周知するとともに、担当者会議において説明することにより、条例などによる保険などへの加入義務付けを要請している。
 保険(共済)の加入の必要性などに関する情報提供のあり方については、地方公共団体、保険会社など、事業者・自転車小売等業者それぞれによる情報発信の取り組み内容と手段・方法を検討した。保険会社などの取り組み内容としては、加入の必要性についての情報提供の他、保険商品の内容を分かりやすく説明することが必要だとの考えが示された。その手段・方法は、チラシやポスターなどによる広報に加え、自転車損害賠償責任保険などへの加入の有無が容易に確認できるよう、保険商品などの重要事項説明書やパンフレットに、自転車運転中の事故を例示することなどが求められるとして、損保協会のパンフレットを活用した広報事例と、保険会社などの重要事項説明書やパンフレットへの記載例が紹介された。今後保険会社などに対し、これらの取り組みを要請していくとしている。
 加入が望まれる保険(共済)の補償内容に関しては、自転車関連事故は年々減少しているものの、「自転車対歩行者」事故は横ばいであることや、自転車事故でも相手が死亡したり、後遺障害を負うような事故では、加害者は1億円近い賠償が求められていることなどを指摘。利用者がどの商品に加入するかの選択は自由ではあるが、これらの状況を考慮すると、対人賠償(死亡・けがなど)を含む補償内容であること、支払限度額(保険金額)は1億円以上であることが望ましいとされた。
 なお、自転車が他の物体(バス、乗用車、店舗など)と衝突しても相手に与えるダメージは限定的なため、対物賠償は補償内容の対象外としているが、ほとんどの自転車損害賠償責任保険などは、対物賠償も補償されている。この補償内容は、同検討会の検討結果として、地方公共団体に対して提案していく。
 自転車版自賠責制度の創設の必要性については、車検制度のない原動機付自転車の保有台数に対する自賠責保険の加入台数割合は80%程度(注)で、自転車に同様の制度を創設した場合は同程度の効果が想定されると説明した。一方、自治体の条例による自転車損害賠償責任保険などの加入促進効果は約60~70%で、原動機付自転車の自賠責保険の加入台数割合に迫る状況にあることから、自転車版自賠責制度創設の効果は限定的であるとの見解が示された。
 自転車版自賠責制度の具体案として、「自転車利用者が個人で契約」「市区町村が契約者となり団体で契約」の2案を例示して検討。その結果、自転車を市区町村に登録する事務負担が増える、自転車税の導入が必要になる可能性がある、多種多様な保険商品などが市場に供給されなくなる恐れがあるといったさまざまな課題があることから、これらの課題を直ちに解決し、自転車版自賠責制度を構築することは非常に困難であるとされた。
 また、自賠責制度を構築したとしても、加入率は80%程度にとどまる可能性がある他、自転車活用推進法の本来の目的である「自転車利用の促進」を阻害してしまう可能性も高いことなどから、当面は全国の各地方公共団体による条例制定をサポートする他、国としても情報提供を強化することなどにより、自転車損害賠償責任保険などへの加入促進を図っていくと結論付けた。

 (注)自賠責保険未加入の原動機付自転車の中には事実上、運行の用に供されなくなったものも相当数含まれていると考えられ、実際に国土交通省が実施している駅前駐輪場などでの軽二輪車および原動機付自転車の監視活動では、無保険車の割合は2~3%程度。