2019.04.01 損保協会定例会見 19年度事業計画を発表 損保の普及啓発等7事業実施 第8次中計の重点施策最優先に

 損保協会は3月25日、業界紙向けの定例記者会見を行い、2019年度の事業計画を発表した。同協会では、損害保険業の健全な発展および信頼性の向上を通じて「安心・安全な社会づくり」に貢献していくため、第8次中期基本計画(18~20年度)に定めた方向性に従い、その重点施策を最優先に、損害保険の普及啓発・理解促進に資する事業や損害保険契約者などからの相談対応、苦情・紛争の解決に資する事業など7事業を実施する。

 19年度の事業計画は、①損害保険の普及啓発・理解促進②損害保険契約者などからの相談対応、苦情・紛争の解決③損害保険業の業務品質向上④損害保険業の基盤整備⑤事故、災害、犯罪の防止・軽減⑥損害保険業に関する研修、試験・認定などの事業⑦その他、同協会の目的達成上必要と認めた事業―の7事業について、本部・支部で実施する。
 具体的には、損害保険の普及啓発・理解促進に資する事業では、地震保険や自賠責保険の広報活動、ディスクロージャー基準の策定、ファクトブックやホームページ、マス媒体などによる情報提供、行政機関などへの情報提供と情報収集などを行う。
 損害保険契約者などからの相談対応、苦情・紛争の解決に資する事業では、損害保険相談・紛争解決サポートセンター(そんぽADRセンター)の運営、損害保険業の業務品質向上に資する事業では、業界ベースの業務品質の向上、お客さまの声・有識者諮問会議の運営、ガイドラインの作成・改訂、業界コンプライアンス(コンプライアンス・プログラム)の推進などを実施する。
 損害保険業の基盤整備に資する事業では、損害調査業務基盤の整備や自動車情報交換制度の運営、新技術を活用した業務の共通化・標準化、効率化の推進の他、自動運転への対応やサイバーリスクに関する調査・研究などに取り組む。
 また、事故、災害、犯罪の防止・軽減に資する事業では、不正請求対策や高齢者交通事故に関する諸施策の検討・実施、自動車盗難防止対策などを行う。
 損害保険業に関する研修や試験・認定などの事業では、損保代理店試験や損害保険大学課程、アジャスター試験・制度の運営などに取り組む。
 その他、同協会の目的達成上必要と認めた事業では、持続可能な社会の実現に向けた貢献活動や損保総研への寄付、軽消防自動車などの寄贈などを実施する。
 会見では、「お父さんのための地震ドリル」体験結果と役員の選任についても説明した。
 同ドリルは、地震や防災、地震保険について気軽に学べるウェブコンテンツで、各質問に回答することで「頼れるお父さん度」を判定するもの。18年8月24日から地震保険特設サイトで展開している。
 体験結果については、2月28日までの体験者数は延べ7万7431人で、年代は35~44歳が最も多かったこと、設問20問(1問5点で100点満点)を全て回答した延べ2万8214人の平均点数は54.26点だったこと、都道府県別の平均点は宮城県が1位で、近年、自然災害や大きな地震が発生した地域、南海トラフ地震などが想定される地域での点数が高い傾向にあったことなどを報告した。
 一方、平均点数54.26点は、点数に応じた5パターンの「あなたの頼れるお父さん度」の「足りないんだぁ!お父さん」に該当し、回答者の62%がこれに該当することから、防災や地震保険に関する知識が足りない人が多い傾向にあると指摘した。また、同ドリルは「地震と防災」「経済的被害・生活再建にかかる費用」「地震保険」に関する問題が設けられているが、これらの正解率を算出したところ、「地震保険」に関する問題の平均正解率が最も低かったとして、引き続き地震保険の普及・啓発に取り組む必要性を強調した。
 役員の選任については、3月31日付でau損保の遠藤隆興氏、東京海上日動の北沢利文氏、日立キャピタル損保の三浦一也氏、三井ダイレクト損保の船木隆平氏が理事を辞任し、4月1日付で新たにau損保の山田隆章氏、東京海上日動の広瀬伸一氏、日立キャピタル損保の淀圭二郎氏、三井ダイレクト損保の宮本晃雄氏を選任することを説明した。
 会見ではこの他、「サイバー保険に関する調査2018」の調査結果や第8回定時社員総会の開催などを報告した