2019.01.29 第一生命 ヘルスケアデータプラットフォーム構築へ 地域の健康課題改善で実証実験 保険の役割「保障」から「予防」へ

 第一生命は1月15日、InsTechの取り組みの一つとして、沖縄県宮古島市で「地域の健康課題改善」に関する実現性・実用性を検証する実証実験を行うことを発表した。同実証実験では、ブロックチェーン技術を活用し、宮古島市の地域社会・住民のヘルスケアデータを収集したプラットフォームを構築する。将来的には、「保障(プロテクション)」から「予防(プリベンション)」へ、保険の役割をさらに拡大できるような新たな商品・サービスの提供と、顧客のさらなる利便性向上を目指す。

 同実証実験では、宮古島市の地域企業(約20社)とその従業員(約200人)を対象に、スマートフォンで利用できる「宮古島健康増進アプリ(名称:パニパニ宮古島、注)」を提供。同アプリで、毎日の歩数・体重・睡眠時間などの運動指標・健康関連指標を「見える化」し、それらの指標がどのように健康増進につながるかを検証する。
 また、宮古島市の地場企業から、アプリ利用者の「健康食品購入/店舗訪問」などの健康増進につながる行動や歩数に応じて、利用者に対してお得なクーポンを発行。これにより、地域の企業・住民が一体となった健康増進取り組みの効果を検証する。
 同実証実験は、新たな価値創造・顧客体験による市場創造・需要開拓や生産性向上に向けた体制強化を目的に、第一生命によって2018年4月に新設された組織「Dai―ichi Life Innovation Lab」のヘルスケアに関する知見を活用した取り組み。また、ブロックチェーン技術の活用として、将来的な保険金支払い業務の高度化やセキュリティー確保の可能性についても検証する。
 実証実験に当たっては、企画・運営推進でデロイトトーマツコンサルティングに、プラットフォームの構築で富士通㈱に協力を得ている。
 デロイトトーマツコンサルティングは、金融機関における先端ITを活用したイノベーション実現において豊富な実績を有しており、特にブロックチェーンについては、本人確認(KYC)高度化プラットフォーム構築実証実験など、金融業界の発展に寄与する取り組みに積極的に参画している。今回の実証実験では、企画・運営推進でサポートを行う。
 富士通は、同社が持つブロックチェーンサービスおよびモバイルアプリケーション実行基盤「FUJITSU Cloud Service MobileSUITE?」を用いて、同実証実験のICT基盤であるヘルスケアデータプラットフォームを構築するとともに、スマートフォンアプリ「宮古島健康増進アプリ」を開発し、ICTの運用サポートをトータルに実施する。
 第一生命では、引き続きInsTechの加速によるイノベーション創出を目指し、社会的な課題である健康寿命の延伸やQOL向上につながる先端テクノロジーやビジネスモデルの活用に積極的に取り組んでいくとしている。
 (注)「パニパニ」は「元気」を表す宮古島の方言。