2019.01.24 東京海上HD・東京海上日動 トップ交代で記者会見、HD新社長に小宮氏、東京海上日動は広瀬氏に

 東京海上ホールディングスと東京海上日動は1月21日、東京都千代田区の本社ビルで記者会見を開き、ホールディングスの新社長に小宮暁専務、東京海上日動の新社長に広瀬伸一ホールディングス専務が内定したことを発表した。ホールディングス取締役会の諮問機関である東京海上グループ指名委員会の答申を受け、同日開催の取締役会で決定したもので、広瀬新社長は4月1日付、小宮新社長は6月下旬の定時株主総会日付で就任する予定。永野毅ホールディングス社長は会長に、東京海上日動の北沢利文社長は副会長にそれぞれ就任する。小宮専務はグループCEO、東京海上日動会長も兼務する。

 会見には、永野社長、北沢社長、小宮専務、広瀬専務が登壇し、永野社長が交代の背景を紹介。現在の体制が軌道に乗ってきたことに加え、国内外で自然災害が頻発する中、より一体となってグループ各社を強化する必要性や、新しいテクノロジーをフル活用して顧客の多様なニーズにきめ細かく対応できる組織に自己改革していくことが求められていることなどから、若い経営陣へのスイッチを決定したと説明した。永野社長は、「新しい経営陣にはこれからも、当社グループが常に大切する『お客さまや地域社会のいざという時を支えて、お役に立つ存在でありたい』というコア・アイデンティティーを一層強固なものにしながら、変えるべきことは変えて、そして自らを変革しながらますます力強く当社グループを前に進めていってほしい」と述べた。
 小宮専務は、新社長の抱負として、環境変化が激しく、スピーディーな現在にあって、同社グループの国内、海外の社員の熱意や英知を集約、一体化させることで、グループの企業価値を高めて力強く成長していくしなやかでたくましい会社を目指すとし、「一意専心、全力で取り組んでいきたい」と述べた。また、広瀬専務は、「小宮新CEOと共に、生損保一体となってお客さまに安心と安全を提供できる“グッドカンパニー”を目指していきたい」と述べた。
 永野社長は、小宮専務について、新しいことにチャレンジすることを恐れず、その都度、社員の力を結集して結果を出してきたとし、「いつも誠実で社内での信頼があつく、何事においても目指すゴールを実現するまで粘り強く取り組む人物」と評した。また、北沢社長は、東京海上日動あんしん生命の時と同様に、自身から社長を引き継ぐことになった広瀬専務について、明るく前向きな人柄でチャレンジ精神にあふれた性格だとし、「これからの変化の激しい時代にしっかりと国内損害保険事業の変革をリードし、さらなる成長を実現してくれる」と期待を示した。
 4人のあいさつに続いて、記者との間で質疑応答があった。ホールディングスと東京海上日動のトップが同時に交代することについて問われた永野社長は、「グループ一体経営を二人で分担して推進してきた同世代の北沢社長と、『7~8歳若返って新しい世代に同時に交代するタイミングに来ているのではないか』と話して決まった」と述べた。
 また、これからの成長領域について質問された小宮専務は、経営のグローバル化、イノベーション分野での新しい商品・サービスの開発などと共に海外事業に触れ、「ビジネスリスクを大きく分散して経営の安定性を高めるとともに、新しい成長機会を取り込んでいくという観点から、チャンスがあれば積極的に挑戦していき、事業領域をさらに広げていきたい」と答えた。

 【小宮暁(こみや・さとる)新社長の略歴】神奈川県出身。1983年3月東京大学工学部卒業。同年4月東京海上火災保険㈱入社、2009年6月東京海上日動火災保険㈱営業開発部長、12年6月日新火災海上保険㈱取締役常務執行役員、15年3月取締役常務執行役員退任、同年4月東京海上ホールディングス㈱執行役員経営企画部長、16年4月常務執行役員、17年4月常務執行役員海外事業副総括、18年4月専務執行役員海外事業総括、東京海上日動専務取締役(現職)、同年6月東京海上ホールディングス専務取締役海外事業総括(現職)。
 【広瀬伸一(ひろせ・しんいち)新社長の略歴】愛知県出身。1982年3月名古屋大学経済学部卒業。同年4月東京海上火災保険㈱入社、2008年10月東京海上日動火災保険㈱高松支店長、12年7月理事高松支店長、13年6月東京海上日動あんしん生命保険㈱常務取締役、14年4月取締役社長、同年6月東京海上ホールディングス㈱取締役、17年3月東京海上日動あんしん生命取締役社長退任、同年4月東京海上ホールディングス常務取締役、同年6月常務執行役員、18年4月専務執行役員(現職)。