2018.12.26 東京海上日動 マンション管理業協会と連携協定締結 「災害対策出動保険」開発 大規模災害発生時の負担費用補償

 東京海上日動は12月12日、一般社団法人マンション管理業協会と、マンション管理業を取り巻く社会問題の解決を通じた居住者への価値提供を目的に、幅広く連携・協力を行う連携協定を締結した。同協定に基づく取り組みの第1弾として、近年増加傾向にある大規模災害発生時に、マンション管理会社が負担する費用を補償する「災害対策出動保険」を新たに開発。また、第2弾では、マンション管理業界やその会員会社が行っている事業リスクの分析に基づく新たな保険や、居住者の高齢化に伴うリスクに対する保険の開発等を検討する。

 今回開発した「災害対策出動保険」では、▽内閣府による緊急災害対策本部または非常災害対策本部が設置され、避難勧告または避難警報が発令される▽激甚災害に指定される―のいずれかに当てはまる大規模災害の場合に、①居住者への説明や説明会等に関する費用②罹災(りさい)証明や公的制度への申請に要する費用③応援人員の宿泊費や交通手段等の調達費用④仮設トイレ等のライフラインの調達費用⑤災害によって発生した(超過)給与等に関わる費用⑥災害時に給付した備蓄品の再調達費用―等のマンション管理会社が負担する費用を補償する。
 大規模災害発生時、マンション管理会社では、居住者への説明会実施や応援人員の派遣、行政対応等を行うため、多くの費用が発生する。これらの費用はマンション管理組合に対して請求することになるが、災害時には管理組合が機能していない可能性が高く、管理会社にとって緊急対応費用の負担のあり方が課題となる場合がある。また、各マンション管理会社はこのような金銭的リスクを抱えているために災害対応を十分に行えない場合も想定され、災害後の復旧・復興に支障が生じる恐れがある。
 両者では、同保険の開発によって、全国のマンション居住者に対してより確実な対応が可能になるとともに、マンション管理会社が災害時の重要なインフラとして機能することで、マンション管理業の社会的評価の向上に資することが可能となるとしている。
 また、今回締結した連携協定の内容は次の通り。
 ▽建物・設備の保全に関する事項
 ▽居住者の生命・安全に関わる各種制度の組成
 ▽保険の活用による生活総合サービス・コミュニティ形成支援に関する事項
 ▽マンション管理業の成長発展・社会的評価の向上に向けた保険の組成
 ▽その他、マンション管理業協会及び東京海上日動の協議により別途合意した事項
 日本における分譲マンションは2017年末現在、644万戸以上、推定で約1530万人が居住しており、既に都市を中心に一般的な居住形態となっている。また、全国の分譲マンションの9割以上がマンション管理業者に管理を委託しており、マンション管理業界とその従事者が果たすべき社会的役割・責任は増大している。一方で、急速に進む日本社会の少子高齢化・人口減少、大規模災害の増大、建物と居住者の「二つの高齢化」、業界の決定的な人手不足等の大きな環境変化により、マンションを取り巻く課題が社会問題化しつつある。
 マンション管理業協会の会員会社は361社あり、日本全国のマンションの約92%を管理している。これまでも、警視庁と連携したマンション居住者への「振込み詐欺被害防止活動」や大阪市における地域コミュニティと連携した「地震・津波避難所開設訓練」等に取り組んできた。
 東京海上日動では、マンション管理に関し、火災保険や地震保険の販売とともに、マンション居住者向けサービスの提供などを行ってきた。
 今回、両者は、マンション管理業を取り巻く社会問題の解決とマンション管理業の社会的役割をより効果的に高めることを目的として連携協定を締結。連携・協力を行うことで、全国のマンション管理会社とマンション管理組合が抱える課題の解決に資する取り組みを進めるとともに、管理会社と居住者の実態やニーズに即した保険商品、サービス等の開発・普及に努め、マンション管理業界の社会的評価向上およびマンション居住者の安全・安心に資する活動に協同して取り組んでいくとしている。