2018.11.29 日本生命 19年3月期第2四半期決算 商品相互供給の効果で増収 新規連結反映で増益幅拡大

 日本生命が11月22日に発表した2019年3月期第2四半期決算によると、グループの連結業績は前年同期比で増収・増益となった。保険料等収入は、マスミューチュアル生命の新規連結に加え、商品相互供給を通じた日本生命グループを挙げての保険販売により増加した。基礎利益は、利差益の増加を主因に増加したことに加え、マスミューチュアル生命の連結反映、MLC Limited(MLC)の増益により増益幅が拡大した。18年度は前倒しで策定した中期経営計画の2年目であり、目標達成への道筋をつけるべく、上半期にはマスミューチュアル生命との経営統合の完了、日本生命での新商品投入、日本生命から三井生命への「ニッセイ学資保険」と「ニッセイこどもの保険げ・ん・き」の供給開始などの取り組みを進めた。商品相互供給を通じたシナジー効果の発揮に加え、新規連結反映の効果や、株高等の市場環境の後押しもあり、おおむね順調な業績となった。

 連結保険料等収入は前年同期比1.7%増の2兆7781億円だった。団体年金については、厚生年金基金の解散等の減少に伴う受管資産が減少したことを主因に減収したものの、個人保険・個人年金保険については、商品相互供給を通じた日本生命グループを挙げた保険販売への取り組み、マスミューチュアル生命の連結反映を主因に増収を確保した。
 基礎利益の合計は同17.0%増の4037億円となった。利差益が国内株式の配当金や、外国株式を中心とした投信分配金の増加等を主因に同59.8%増の1272億円と大幅な伸びを示した。さらに、MLCの増益やマスミューチュアル生命の連結反映によって増加額が拡大した。
 連結経常収益は同4.4%増の4兆99億円で、保険料等収入は同1.7%増の2兆7781億円。資産運用収益は同11.3%増の1兆908億円だった。経常費用は同4.0%増の3兆7423億円で、保険金等支払金は同2.6%増の2兆1922億円、資産運用費用は同36.4%増の2480億円、事業費は同2.7%増の4021億円となった。この結果、経常利益は同9.3%増の2675億円、中間純剰余は同19.3%増の1414億円と前年同期比プラスで推移した。
 総資産はマスミューチュアル生命の新規連結を主因に、前年度末比5.5%増の78兆4885億円となった。責任準備金は同5.1%増の63兆2089億円だった。連結ソルベンシー・マージン比率は諸準備金等の積み増しや、劣後ローン調達を通じた自己資本積み増しにより、981.1%と同13.1ポイント上昇した。実質純資産は金利上昇に伴う債券の含み益の減少を主因に、同1.8%減の17兆8225億円となった。
 国内の保険料等収入は前年同期比1.7%増の2兆6607億円で、個人保険・個人年金保険が同7.1%増の1兆8405億円と堅調に推移したことを主因に増加。チャネル別では、日本生命における三井生命の一時払外貨建保険の販売が増加したことから、営業職員等チャネルが同2.8%増の1兆6425億円となった。銀行窓販チャネルは、マスミューチュアル生命の連結反映によって、同62.3%増の1979億円と大幅に伸びた。団体保険は同2.2%減の1508億円、団体年金保険は同10.4%減の6358億円だった。
 国内の個人保険・個人年金保険の新契約は、年換算保険料が同17.6%増の2104億円、件数が同35.8%増の263万件、保障額等が同21.5%増の4兆6588億円となった。経営者向け保険の販売減少による影響はあったものの、18年4月から販売開始した日本生命の新商品「ニッセイみらいのカタチ 特定重度疾病保障保険“だい杖ぶ”」が好調だったことに加え、マスミューチュアル生命の連結反映等を主因に増加した。
 営業職員等チャネルの新契約年換算保険料は同16.2%減の1398億円、件数は同36.2%増の259万件、保障額等は同19.7%増の4兆3744億円だった。銀行窓販チャネルの新契約年換算保険料は同483.1%増の705億円、件数は同12.8%増の3万件、保障額等は同59.9%増の2844億円となった。
 日本生命は、新契約年換算保険料が同22.2%減の1243億円、件数が同36.9%増の250万件、保障額等が同16.6%増の3兆9459億円。三井生命は、新契約年換算保険料が同20.5%増の228億円、件数が同8.0%増の11万件、保障額等が同18.0%増の5303億円だった。マスミューチュアル生命は、新契約年換算保険料が631億円、件数が1万件、保障額等が1826億円。
 国内の個人保険・個人年金保険の保有契約は、年換算保険料が前年度末比6.6%増の4兆4490億円、件数が同3.7%増の3386万件、保障額等が同0.8%増の183兆4016億円となった。
 日本生命は保障額等が同0.8%減の160兆3686億円と微減したものの、年換算保険料が同0.4%増の3兆6807億円、件数が同3.0%増の3097万件と前年度末実績を上回った。三井生命も保障額等が同1.4%減の19兆8562億円と微減したが、年換算保険料が同0.8%増の5108億円、件数が同0.3%増の257万件と前年度末実績を上回った。マスミューチュアル生命は年換算保険料が2574億円、件数が31万件、保障額等が3兆1767億円だった。
 団体保険の保有契約業績(保障額等)は国内計で同0.8%増の109兆6389億円。日本生命は同1.7%増の97兆1030億円、三井生命が同5.4%減の12兆5358億円となった。団体年金保険(受託資産等)は日本生命、三井生命、マスミューチュアル生命、ニッセイアセットマネジメントの投資顧問残高(2兆4217億円)、確定拠出年金の投資信託(日本生命販社分4356億円)の合計値が同2.2%増の16兆7458億円だった。
 19年3月期決算の見通しは、連結保険料等収入が、日本生命における団体年金の新規受管抑制等の減少要因もあるものの、新商品投入による販売増に加え、マスミューチュアル生命の連結反映等を主因に増収を見込む。連結基礎利益は、超低金利環境による利息減少が想定される一方、成長・新規領域への投融資等の利回り向上取り組みに加え、株式関連のインカム収益増加等を主因に増益を見込む。