2018.11.27 MS&ADHD 19年3月期第2四半期決算 グループ経常収益増加 自然災害で国内損保減益

 MS&ADインシュアランスグループホールディングス(MS&ADHD)が11月19日に発表した2019年3月期第2四半期決算によると、連結経常収益は前年同期比2.5%増の2兆9628億円となった。正味収入保険料は国内損保2社が同105億円の減収となったものの、海外保険子会社で、MS First Capitalの新規連結(111億円)と為替影響などで同238億円の増収となったことから、同0.6%増の1兆8760億円と、増収を確保した。生保では、生命保険料が同28.6%増の6571億円で、グロス収入保険料は同11.7%増の8105億円だった。国内自然災害を主因に、連結の経常利益は同42.7%減の753億円、中間純利益は同38.9%減の463億円と大きく減益となり、年間純利益年初予想2000億円に対する進捗(しんちょく)率は、23.2%にとどまった。

 国内損保主要2社の業績で、保険引受利益は三井住友海上が前年同期比650億円減益の▲163億円、あいおいニッセイ同和損保が同488億円減益の▲504億円となり、2社合計では同1139億円減益の▲667億円だった。ただし、自然災害を年初計画並みとすると、保険引受利益はおおむね計画通りの進捗となっている。
 正味収入保険料は、2社合計で同105億円減の1兆4012億円となったが、自賠責保険の減収(183億円減)と再保険に係る復元追徴保険料(161億円減)を除くと同240億円の増収となっている。三井住友海上は同42億円減の7774億円、あいおいニッセイ同和損保は同62億円減の6238億円だった。
 三井住友海上の正味収入保険料を種目別に見ると、海上が同3.8%増の321億円、傷害が同2.4%増の794億円、その他が同6.3%増の1439億円と前年同期比を上回ったが、火災は同3.2%減の1019億円、自動車は同0.9%減の3314億円、自賠責は同9.6%減の885億円となり、合計は同0.5%減の7774億円となった。除く家計地震・自賠責ベースでは、同0.8%増の6886億円。
 正味支払保険金は同9.8%増の4190億円、家計地震・自賠責を除いたEI損害率は同11.7ポイント上昇し、67.8%、正味事業費率は同0.9ポイント上昇し、30.7%となった。コンバインド・レシオは同6.0ポイント上昇して90.2%だった。
 あいおいニッセイ同和損保の正味収入保険料の種目別では、傷害が同3.3%増の333億円、その他が同4.0%増の695億円と前年同期実績を上回った一方、火災は同0.2%減の907億円、海上は同2.2%減の44億円、自動車は同0.2%減の3462億円、自賠責は同10.1%減の795億円と前年同期比マイナスで推移し、合計は同1.0%減の6238億円となった。除く家計地震・自賠責ベースでは、同0.5%増の5442億円。
 正味支払保険金は同12.4%増加して3426億円、家計地震・自賠責を除いたEI損害率は同13.1ポイント上昇して73.9%、正味事業費率は同0.4ポイント上昇の32.9%、コンバインド・レシオは同7.2ポイント上昇して92.9%となった。
 国内損保主要2社の資産運用・その他収支は、有価証券売却損益が同134億円増加したことから、120億円増益の1186億円だった。三井住友海上は同130億円増益の956億円、あいおいニッセイ同和損保は同10億円減益の229億円だった。
 2社合計の経常利益は同1019億円減益の518億円で、三井住友海上は同520億円減益の793億円、あいおいニッセイ同和損保は同498億円減益の▲274億円となった。2社合計の中間純利益は、資産運用損益が増益となったものの、保険引受利益が大幅な減益となったことから同715億円減益の410億円。三井住友海上は同381億円減益の606億円、あいおいニッセイ同和損保は同334億円減益の▲196億円だった。ソルベンシー・マージン比率は三井住友海上が前年度末比7.4ポイント上昇して708.5%、あいおいニッセイ同和損保が同58.6ポイント低下して725.4%となった。
 国内生保事業で、三井住友海上あいおい生命の新契約高(個人合計)は、収入保障保険の販売が好調だったことを主因に前年同期比26.4%増収の1兆7872億円、新契約年換算保険料は同29.7%増の258億円で、このうち第三分野は新商品の販売が好調だったことなどから同26.2%増加し、86億円となった。保有契約高(個人合計)は期首比2.3%増の24兆3623億円。保有契約年換算保険料は同2.3%増の4220億円で、このうち第三分野は同5.6%増の1020億円。
 保険料(グロス収入保険料)は前年同期比2.0%増の2474億円。経常利益は同11.3%減の78億円、中間純利益は、有価証券売却損益の減少などにより同7.4%減益の38億円となった。
 三井住友海上プライマリー生命の新契約高(個人合計)は同18.6%増の5732億円、保有契約高(個人合計)は期首比7.7%増の6兆5282億円だった。保険料(グロス収入保険料)は、外貨建年金の販売好調を主因に定額商品が増収し、変額商品も増収となったことから前年同期比16.7%増の5630億円となった。経常利益は同39.9%減の219億円。中間純利益は、契約初年度の責任準備金や手数料の負担増加などから同32.2%減の120億円となったが、利ざや収入の増加などにより計画対比ではプラスで推移している。
 海外保険子会社業績は、MS Amlinが為替影響により同4.1%増収の3108億円となったこととMS First Capitalの新規連結が主因となり、正味収入保険料は同5.5%増収し、4546億円となった。中間純利益は同536億円増益の155億円だった。MS Amlinの自然災害のロスの減少による欧州の増益、MS First Capitalの新規連結とシンガポール、中国、オーストラリアの損害率低下によるアジアの増益が寄与した。
 自然災害の影響については、国内(三井住友海上・あいおいニッセイ同和損保)のインカードロスが同1522億円増の1770億円。海外(あいおいニッセイ同和損保・MS Amlin)のインカードロスは同872億円減の8億円。
 なお、18年度発生自然災害ロスで、平成30年7月豪雨(台風7号含む)、台風21・24号合計のグロス保険金見込額は4630億円に上るものの、再保険回収を2790億円見込むことから(再保険回収割合約60%)、正味インカードロスは1840億円にとどまるとする。また、異常危険準備金については、グロス取崩額が年初予想比1578億円増加し、本年度業績予想には期末に三井住友海上で350億円、あいおいニッセイ同和損保で100億円の追加繰入を織り込む。