2018.11.06 東京海上日動 トヨタ自動車、TRI―ADと業務提携 高度な自動運転の実現へ 事故対応ノウハウやデータ活用

 東京海上日動は10月30日、トヨタ自動車(以下「トヨタ」)およびToyota Research Institute―Advanced Development,Inc.(以下「TRI―AD」)の3社間で、高度な自動運転の実現に向けた業務提携に合意したことを発表した。同業務提携により3社は、自動運転技術開発の高度化に向け、東京海上日動が事故対応や各種サービスを通じて得たノウハウやデータを用いて、共に自動運転システムの安全性向上に取り組み、「交通死傷者ゼロ社会」を目指す。

 今回の業務提携による具体的な取り組みとしては、東京海上日動が分析した実際の交通事故の状況や事故が発生しやすい危険な状況を、トヨタとTRI―ADが自動運転のシミュレーション環境に再現。これにより、現実の世界により近い状況下でのシミュレーションと検証が可能となり、自動運転システムの安全性向上を図る。
 ビッグデータ分析とアルゴリズム開発領域では、データサイエンスカンパニーである㈱ALBERT(アルベルト)が技術支援を行う。
 東京海上日動は、将来に向けて、自動運転車から取得する各種データを活用した損害サービスの高度化や、迅速に保険金を支払うための仕組み等の新たなサービスを検討する。
 これらの取り組みを通じて、東京海上日動、トヨタ、TRI―ADの3社は、「全ての人に移動の自由を提供」「交通死傷者ゼロ社会」の実現に向け、スピード感を持って技術開発を進めていくとしている。
 トヨタが目指す高度な自動運転を実現するためには、AIの進化やシミュレーションの精度向上が必須であり、そのためにはデータや、交通事故原因の究明ノウハウが非常に重要な役割を担っている。
 東京海上日動は、年間200万件を超える交通事故対応の実績と、交通事故による損害発生の予防・軽減に関するノウハウに加え、事故ごとの発生状況や発生原因などに関するデータを保持している。また、それらのノウハウやデータを生かして、自動運転の実証実験への参画や、責任関係が明白でない事故でも迅速な被害者救済を実現するための「被害者救済費用等補償特約」を損保業界で初めて開発するなど、高度な自動運転社会への貢献に取り組んできた。
 3社は、自動運転技術開発の高度化には業界の垣根を越えた“仲間づくり”が重要だとして、今後もAIをはじめ先端の技術を活用し、安全なモビリティ社会を実現するために、常にオープンな姿勢でさらなる提携を進めていくとしている。