2018.09.14 三井住友海上/あいおいニッセイ同和損保 自動車保険で被害者救済の新特約 心神喪失等の事故補償

三井住友海上とあいおいニッセイ同和損保は9月5日、業界初となる自動車保険「心神喪失等による事故の被害者救済費用特約」を開発したと発表した。認知症等の運転者による交通事故被害者の迅速な救済が目的で、来年1月から提供開始する。また、認知症患者の増加や同性間パートナーを婚姻関係に認める自治体の動きなど、社会環境の変化に伴う新たなニーズに対応するため、「責任無能力者の監督義務者」の対象追加や「配偶者」定義の見直しなど補償内容の拡充も行う。

 同特約では、運転者が責任無能力者のため損害賠償責任を負わず、かつ、その責任無能力者の監督義務者が不在または監督義務者の責任が認められない場合に、被害者を被保険者として、その運転者が支払うべき損害賠償金を、対人賠償保険金額・対物賠償保険金額を限度に支払う。運転者の責任能力の有無やその家族の監督責任等の事実確認の調査を待たずに、迅速な被害者救済を図ることが可能となる。
 ドライバー保険と24時間単位型自動車運転者保険を除く全ての自動車保険契約に、追加保険料なしで自動セットする。ただし、対人賠償保険または対物賠償保険をセットした契約に限る。
 現行では、運転者と別居している場合等、監督義務者が運転者の自動車保険の被保険者に含まれない場合は補償対象外のため、被害者救済を果たせないという課題があった。また、賠償責任の有無を確認するための調査に一定の時間を要するため、被害者の精神的な負担の増加にもつながっていた。
 改定に伴い、同特約の新設と合わせ、対人賠償保険と対物賠償保険の被保険者の範囲に「責任無能力者の監督義務者」を追加する。
 今回、財物損壊を伴わない電車等の運行不能による損害の補償の充実化も図った。契約車の所有・使用または管理に起因し、財物損壊を伴わない、電車の運行不能等により、被保険者に生じる損害賠償責任を業界で初めて補償する。これにより、契約車が踏切内で立ち往生して電車を止めてしまい、財物損壊を伴わない場合にも、電車の振替輸送等の費用を補償することが可能となる。また、自動車保険「日常生活賠償特約」に「電車等運行不能賠償補償」を追加。財物損壊を伴わない、電車等の運行不能によって、被保険者に生じる賠償責任を補償する。
 両社は昨年1月、一部の火災保険で、財物損壊を伴わない電車等の運行不能による損害賠償責任を補償する業界初の特約を提供開始。ニーズの高まりを受け、「日常生活賠償特約」にも同様の補償を追加することとした。
 その他、「配偶者」定義の見直しも実施。LGBTに関する社会的関心が高まる中、事実上婚姻関係と同様の同性パートナーも配偶者に含める。戸籍上の性別が同一だが、婚姻関係と異ならない程度の実質を備えている状態にある人が対象となる。