2018.08.09 第209回航空保険プール委員会 17年度提供保険料108億円
日本航空保険プールは7月19日、トーア再保険で、第209回航空保険プール委員会を開催し、一般概況報告とともに2017年度プール運営費決算報告など各議題を審議・承認した。17会計年度のプール提供(グロス)保険料は、ほぼ前年同水準の前年比100.6%の約108億円だった。また、先ごろ実施した委員長・副委員長選挙の結果について報告され、昨年に続き、委員長に寺林努氏(東京海上日動常務執行役員)、副委員長に大知久一氏(三井住友海上取締役常務執行役員)を選出した他、水口敦志氏(損保ジャパン日本興亜常務執行役員)を副委員長に選出した。
国際マーケットの動向としては、次の報告が行われた。
2001年の米国同時多発テロの影響で急激にハード化したエアライン分野の機体・賠償責任保険の料率水準は、09年に発生したエールフランス機の大口事故直後の一時的なハード化という一部例外を除き、航空機の安全性向上も手伝い一貫してソフト化傾向が継続してきた。
17年に入ってからもしばらくソフト化の傾向が継続したが、第3四半期に発生した大西洋ハリケーン「ハービー」「イルマ」「マリア」やカリフォルニアでの記録的な山火事等、一連の大口自然災害事故により、再保険マーケット全体としてソフト化終焉(しゅうえん)の機運が高まった。この影響は航空保険マーケットにも及び、マーケットは反転には至らないものの安定化する局面に転じていった。
17年暦年ベースのジェット旅客機の全損事故件数は5件だったが、これらはいずれも死亡乗員・乗客を伴わない事故だった(いずれも旧ソ連地域で製造された機体によるものは除く。以下同じ)。
18年に入ってからのジェット旅客機の全損事故件数は4件(5月15日現在)となっている。
17年暦年ベースの人工衛星保険マーケットは、主要ロケットによる打ち上げ回数が前年の21回に比べ26回と増加したが、ソフト化の影響により収入保険料は前年と同水準となった。事故については、Chinasat9A、Viasat―2、Angosat―1などを含む9件の事故が発生したが、マーケット全体では黒字となった。
18年に入ってから、これまでのところ市場動向に変化は見られない。