2018.07.30 東京海上日動 「認知症あんしんプラン」、初の当事者・家族専用保険

東京海上日動は、業界初となる認知症の人とその家族のための専用保険「認知症あんしんプラン」を10月から販売開始する。公益社団法人「認知症の人と家族の会」(家族の会)と、高齢者の見守り支援に実績のある一般社団法人「セーフティネットリンケージ」(SNL)との連携で開発した商品。月払保険料1300円で、行方不明時の捜索費用、個人賠償責任、被害者死亡時の見舞費用、交通事故等によるけがなどを補償する他、捜索支援の付帯サービスを提供する。

 「認知症あんしんプラン」は40歳以上の認知症の人とその家族のための専用商品。医師から「認知症」の診断を受けた人、または認知機能・記憶機能の持続的な低下により「道に迷って家に帰ってこられなくなることがある」等の状態が見られる人が対象となる。
 認知症の人が行方不明となってから24時間経過しても発見されず、その親族が捜索のために費用を負担した場合、1事故につき30万円、保険期間を通じて100万円を限度に保険金を支払う。
 認知症の人やその家族が日常生活で他人にけがをさせたり、他人の財物を壊したり、線路への立ち入りで電車等を運行不能にさせてしまったこと等により、法律上の損害賠償責任を負う場合は、1事故につき保険金額(国内1億円・国外1億円)を限度に保険金を支払う。
 認知症の人が日常生活に起因する偶然な事故で他人にけがをさせ、けがをした人がその事故の直接の結果として死亡した場合は、賠償責任の有無を問わず、見舞費用保険金として15万円を支払う。
 認知症の人が交通事故等によるけがで死亡した場合には50万円、後遺障害が生じた場合には後遺障害の程度に応じて2万~50万円を支払う。
 また、付帯サービスとして認知症の人が行方不明になった場合の速やかな発見・保護を支援するために「緊急連絡ステッカー」を提供。SNLの協力を得て制作し、保険付帯サービスとしては業界初となる。行方不明になった後に発見・保護した人や緊急搬送先の医療関係者等が家族に連絡しやすくするために、フリーダイヤルを記載した「緊急連絡ステッカー」を認知症の人の財布、携帯電話等に貼り付けて使用する。ICTにより、発見・保護した人と家族が互いの連絡先を非表示の状態で直接家族と通話することができる。一方、併せてSNLが提供する「捜索協力支援アプリ(「みまもりあい」アプリ)」は、行方不明時の捜索に協力できる人(捜索協力者)のスマートフォンにあらかじめアプリをダウンロードしてもらって利用するサービス。認知症の人の家族が行方不明に気付いた際には、捜索協力者にアプリを通じて一斉に捜索依頼ができ、早期対応、早期発見を目指す。
 東京海上日動では、9月21日に京都で開催される「家族の会」主催の世界アルツハイマーデー第25回記念イベント「認知症メモリーウォーク・きょうと」に協賛・参加し、認知症の理解向上を図る予定。また、「捜索支援サービス」の効果を高めていくためにSNLによる「みまもりあいプロジェクト」の活動にも賛同し、「みまもりあい」アプリのダウンロードをしてくれる捜索協力者を増やしていく活動にも取り組む。
 2025年には高齢者の5人に1人が認知症患者になるとされ、認知症による行方不明者も増加している中、東京海上日動では、「家族の会」と共に、認知症当事者とその家族が抱える不安に関して実態調査を実施。行方不明時の捜索には、「認知症の人が運転した車を現地から自宅まで搬送する運転代行費用」として約6万円、「遠方で発見された場合の送迎タクシー費用」として約6万円などの費用が発生していることも判明している。