2018.07.26 あいおいニッセイ同和損保 損調に「視界共有システム」、大阪北部地震・西日本豪雨で導入
あいおいニッセイ同和損保は、6月から7月にかけて発生し、各地に大きな災害をもたらした大阪府北部を震源とする地震と平成30年7月豪雨(西日本豪雨)の損害調査で、スマートフォンを活用した「視界共有システム」を導入し、迅速・適切な保険金支払いにつながっている。同社では、自動車の損害調査の他、家屋の損害に関してもニーズがあり、有効としている(写真は冠水車両の損害調査での活用例)。
これまで、地震保険の建物損害の損害調査は鑑定人が、豪雨災害での水没車両の損害調査はアジャスターがそれぞれ立会調査を実施してきた。被災物件が多量にある場合は、高い専門知識を持った鑑定人、アジャスターだけでは要員が不足することから、支援社員を全国から派遣して対応している。
しかし、派遣された支援社員の場合、鑑定人・アジャスターに比べ判断に時間がかかる他、調査報告書を現場災害対策本部から保険金支払い処理を行うバックアップセンター(注)に回送するのに時間を要するケースもあり、迅速な保険金支払いには課題があった。
スマホを活用した「視界共有システム」は、主として自動車事故の新たな損害調査手法として導入されたもの。高品質な動画映像により、アジャスターが修理工場を訪問しなくても、リアルタイムで損害を確認し、修理内容を打ち合わせることが可能。迅速な修理着工・納車や保険金支払いにつながる仕組みとして、同社では、2016年から一部整備工場とトライアル利用を開始し、今年6月からは全国に展開している。
今回、大阪北部地震と西日本豪雨災害で、「視界共有システム」を活用し、支援社員が被災現場からバックアップセンターにいる鑑定人・アジャスターに動画を送信する損害調査を実施。支援社員が立会調査を行う際、専門知識を必要とする損傷があった場合でも、バックアップセンターの鑑定人やアジャスターが遠隔地から判定することで、支援社員が現場で適切な損害調査を完結できたという。従来は、再度鑑定人を派遣する必要が生じるケースがあった。
また、これまで支援社員は、調査を終えて事務所に戻った後に調査報告書を作成し、バックアップセンターに郵送する必要があったが、「視界共有システム」の活用により、鑑定人・アジャスターが損害調査報告書を作成することができるようになり、迅速な保険金支払処理が可能となった。調査実施当日に保険金支払い決裁が完結する事例もあり、大幅な保険金支払日数の短縮につながったとしている。
あいおいニッセイ同和損保では、引き続き、システムの活用により、大規模災害で被災した顧客への速やかな保険金支払いを実施するなど、これまで以上に迅速な対応で顧客を全力でサポートしていきたい考えだ。
(注)保険金支払手続きなど、後方事務処理全般を実施する拠点。