20180613 ミャンマー保険市場の発展に 官民挙げて協力へ、包括的な支援計画を策定
「ミャンマー保険セクター支援計画の手交式および支援に関与する日本側関係者との意見交換会」が7日、金融庁で行われ、ミャンマーからはマウン・マウン・ウィン計画財務副大臣が、日本からは越智隆雄内閣府副大臣や同国への支援を続けてきた組織や保険業界の関係者らが参加した。同計画では成長が期待されるミャンマーで、保険セクターの健全な発展への貢献および両国の一層の関係強化のために、日本側は官民挙げてミャンマーの保険市場の抱える諸課題について集中的に議論し、包括的な支援計画を策定するとしている。
手交式・意見交換会の日本側出席者は金融庁、国際協力機構(JICA)、損保協会、損保料率機構、生保協会、国際保険振興会の他、現在ミャンマーに進出している損保ジャパン日本興亜、東京海上日動、三井住友海上、第一生命、太陽生命、日本生命の代表者。
越智副大臣はあいさつで、「この計画によりミャンマーの保険市場発展のための支援を加速化し、最終的には両国間でウィンウィン関係を構築していきたい」と述べた。
マウン・マウン・ウィン副大臣は、「今までの日本の保険会社の貢献については十分認識している。また、金融庁、JICA、その他の皆さんの支援には感謝している。日本のサポートを得てわが国の保険市場の発展を成し遂げたい」と述べた。
保険関係の機構、組織、会社から「ミャンマーの経済発展・保険の普及にしっかり貢献していきたい」との熱意が伝わる発言が多く出された。
同国の保険業界の課題としては「保険会社の財務の健全性の確保」があり、対応策として将来の保険金支払いに備える責任準備金積立のルールの整備および支払い余力を担保するためのソルベンシー規制整備への支援が必要だとしている。
「保険商品の適正化」の課題では、モータリゼーションの進展とともに、自動車保険市場が成長し、保険料率と保険約款が市場実態と乖離(かいり)しているのに対して、料率の検証に向けたデータの集約や約款の見直しへの支援、および生保関係では貯蓄性の高い養老保険等の保険商品の開発支援を対策として挙げている。
また、課題の「法制度整備」についての対応策は、1996年に制定された保険業法の現代化に向けた取り組みの支援や個別課題の検討状況に応じて法制度整備の支援を検討するとした。
「当局・業界の能力構築」では、金融庁、JICA、損保協会、損保料率機構、各社による研修、金融庁のグローバル金融連携センター(GLOPAC)での研修受け入れ、JICA専門家による研修、OJTなどで取り組むことを明らかにした。
同支援計画策定の背景として、ミャンマーの高い経済成長の可能性が挙げられる。近隣ASEAN諸国と比べて今後の保険市場成長のポテンシャルは大きく、一層の自由化、特に外資への開放を控え、計画的な市場インフラの整備が保険市場の一層の成長の鍵としてクローズアップされてきた。
90年代以来、20年にわたり、両国は協力関係を構築してきた。最近の日本の支援では、2017年8月より金融庁の職員を計画財務大臣顧問(JICA専門家)として派遣。また、包括的な支援の必要性を勘案し、18年4月に「ミャンマー保険セクター育成プロジェクト」(JICA技術協力プロジェクト)を立ち上げた。さらに、今秋をめどにJICA専門家2人(損保1人、生保アクチュアリー1人)を追加派遣する予定。
日本の保険会社は、損保会社が1990年代に駐在員事務所を開設し、草の根レベルのサポートや研修を実施してきた。外資は駐在員事務所という形で活動しているが、日本の損保会社3社、生保会社3社もその中に入る。損保3社はティラワ経済特区で営業が認められている。現段階で、生保は情報収集が主な活動内容だ。
ミャンマーでは国営の保険会社が独占を続けていたが、12年に国内の民間保険会社の設立が承認された。現在の会社数は11社。扱う分野は生保と損保区分けはなく、全分野を範囲としている会社もある。早ければ今年の夏に外資の参入が認められるのではないかといわれている。