2018.06.07 生保各社の18年3月期決算、効果的資産配分で基礎利益堅調

生保各社がこのほど発表した2018年3月期決算によると、17年4月の保険料改定の影響等を受けた中、商品構成の保障性商品、外貨建て商品への戦略的シフト、グループ内での商品供給の活発化などで営業業績は想定通りの水準となった。基礎利益は効果的な資産配分や、利息及び配当金等収入の増加などにより、堅調に推移した。〈4~6面に生保協会会員各社の業績詳細を掲載〉

 かんぽ生命の当期純利益は前期比17.9%増の1044億円で増益となり、通期業績予想に対して121.5%を達成した。個人保険の新契約年換算保険料は保険料改定の影響等により、同25.9%減の3762億円となったものの、第三分野の新契約年換算保険料は同6.2%増の592億円で17年10月の特約改定の効果が現れ、過去最高の水準となった。個人保険の保有契約年換算保険料は前期末比2.4%減の4兆8595億円で、第三分野の保有契約年換算保険料は同2%増の7509億円だった。
 日本生命グループの連結保険料等収入は前期比3.6%増の5兆4220億円、連結基礎利益は同5.4%増の7227億円となった。日本生命と三井生命の業績を合算した国内保険成績は個人保険・個人年金保険の新契約業績が年換算保険料で同2%減の3708億円となった。三井生命から日本生命に供給を開始した外貨建て商品の販売などが好調で年換算保険料の減少は限定的となった。保有契約業績は国内計で年換算保険料が前期末比2.8%増の4兆1722億円だった。
 明治安田生命のグループ保険料(連結損益計算書上の保険料等収入)は前期比5.5%増の3兆243億円。グループ基礎利益は同17.9%増の5851億円と明治安田生命発足以来の過去最高益を更新した。明治安田生命単体の業績は、新契約年換算保険料が同28.9%減の1279億円だが、計画を上回る水準だった。第三分野は同17.2%増の428億円と大幅に伸展した。保有契約年換算保険料は前期末比横ばいの2兆2511億円だった。
 第一生命HDの連結保険料等収入は前期比9%増の4兆8845億円。第一生命は第一生命チャネルによる国内グループ会社の商品販売実績を加味すると、保険料等収入は横ばいを維持した。グループ基礎利益は同9%増の5738億円。新契約年換算保険料はグループ全体で同7.8%減の4064億円。第一生命は同43.3%減の1112億円となった。第三分野は同21.5%増の732億円で、商品性の改定や、営業職の評価基準の調整の効果が現れた。第一フロンティア生命は同11.1%増の1934億円。外貨建年金に係る商品改定や、第一生命の営業職による好調な販売を背景に2桁の伸びを示した。グループ全体の保有契約年換算保険料は前期末比1%増の3兆6711億円となった。
 住友生命グループの保険料等収入は前期比22.3%減の2兆6887億円となった。基礎利益は外国債券の積み増し等による利息収入の増加等で同9.2%増の3636億円だった。新契約年換算保険料は国内事業で、貯蓄性商品の前年の販売実績が高水準だった影響等により、同32%減の2150億円となった。住友生命は同48.1%減の1313億円、メディケア生命は同23.7%増の77億円だった。海外事業(シメトラ)は同32.8%増の759億円で、グループ全体の約35%を占め、国内事業の減少分を補った。グループの保有契約年換算保険料は、国内・海外事業共に増加し、前期末比1.6%増の2兆7832億円となった。
 ジブラルタ生命は個人保険と個人年金保険の合計(個人保険)の新契約高が前期比10.3%減の3兆5610億円、個人保険新契約年換算保険料が同15.9%減の716億円となった。個人保険の保有契約高は前期末比0.4%増の36兆836億円、個人保険保有契約年換算保険料は同1.1%減の9276億円、総資産は同0.5%増の11兆4255億円。保険料等収入は前期比1.6%減の1兆1179億円となった。また、保有契約の増加に伴い運用資産が増加したことを受け利息及び配当金等収入が増加したこと等により、基礎利益は同19%増の1487億円となった。当期純利益は同37.9%増の823億円だった。
 アフラックは医療保険の販売が同2.2%増加したものの、がん保険や第一分野の販売が減少したため、個人保険分野全体での新契約件数は同6.9%減の144万7040件となった。新契約年換算保険料も同9.3%減の809億円となった。保有契約件数は個人保険分野合計で前期末比0.9%増の2441万3567件とがん保険・医療保険共に順調に増加した。保有契約年換算保険料は同0.6%増の1兆4144億円、このうち第三分野は同1%増の1兆653億円だった。経常収益は保険料等収入が前期比0.3%増加したが、資産運用収益が同1.3%減少したことで前期と同水準の1兆7342億円となった。経常利益は経常費用が減少したため、同13.4%増の2585億円。当期純利益は同15%増の1817億円となった。基礎利益は同6.5%増の2753億円だった。
 メットライフ生命の新契約年換算保険料は同0.7%増の1053億円となった。販売の重点を外貨建ての商品へ移してきた戦略が着実に進展した。保険料は既存の保有契約や新契約の伸びに伴い、1兆6244億円と同12.3%増加した。保有契約件数は契約の継続率の向上と外貨建て商品や医療保険の販売増により前期末比2.2%増の900万件となった。基礎利益は前期比19.8%増の1324億円と2桁の伸びを示した。総資産は初めて10兆円を超えた。
 ソニー生命は新契約年換算保険料が同6.5%減の730億円だった。保有契約年換算保険料は前期末比3.4%増の8488億円となった。保険料等収入は前期比10.7%増の1兆592億円、当期純利益は同28.3%増の451億円、基礎利益は同2.9%減の813億円となった。
 T&D保険グループの連結経常収益は保険料等収入が減少したこと等で同2.4%減の1兆9283億円となった。親会社株主に帰属する当期純利益は利息及び配当金等収入の増加や価格変動準備金繰入額の減少等により、同3.2%増の775億円と通期予想を超過した。新契約年換算保険料は貯蓄性商品の販売停止・抑制で前期から減少。一方、太陽生命の認知症治療保険の堅調な推移に加え、大同生命の就業不能保障商品・介護保障商品等が大きく伸展し、第三分野の新契約年換算保険料は前期から大幅に増加した。T&Dフィナンシャル生命は主力商品の伸展で新契約年換算保険料が前期比で倍増した。
 アクサ生命の保険料等収入は同3.6%減の5966億円だった。これは主に「アクサの『外貨建て』の変額終身保険 アップサイドプラス」の販売が前年同期比で254億円減少したことによる。基礎利益は同50.5%増の537億円で主に資産運用収益および保険収支が増加した。純利益は同80.7%増の286億円となった。
 フコク生命グループの保険料等収入は富国生命の個人保険分野の一時払契約やフコクしんらい生命の減少で同7.9%減の5971億円となった。2社合算の基礎利益は2000年度の開示以来最高となる同7.6%増の984億円を達成し、5年連続で900億円台を確保した。
 朝日生命は保険料等収入が同0.3%増の3849億円、資産運用収益は同3.3%増の1665億円を計上。基礎利益は301億円と前期を80億円上回った。