2018.05.31 住友生命 18年3月期決算、連結基礎利益 増益確保

住友生命が5月25日に発表した2018年3月期決算によると、連結保険料等収入は貯蓄性商品の販売減少等により、前年度実績を下回った。連結基礎利益は外国債券の積み増しや国内株式の増配等による利息収入の増加の他、事業費支出の減少、海外事業の着実な貢献等によって増益を確保した。同社は18年7月に本年度最大の成長戦略と位置付ける健康増進型保険「Vitality」の販売を開始する予定で、日本保険市場に新風を巻き起こしたい考え。

 住友生命グループの新契約年換算保険料は国内事業において、貯蓄性商品の前年の販売実績が高水準であった影響等により、前年比32%減の2150億円となった。住友生命単体は同48.1%減の1313億円、メディケア生命は同23.7%増の77億円だった。海外事業(シメトラ)は同32.8%増の759億円で、グループ全体の約35%を占め、国内事業の減少分を補う形となった。
 保有契約年換算保険料は、国内・海外事業共に増加し、前年度末比1.6%増の2兆7832億円となった。住友生命単体は同0.2%増の2兆3299億円、メディケア生命は同24%増の335億円、海外事業(シメトラ)は同8.4%増の4197億円だった。
 保険料等収入は、貯蓄性商品の販売減少等により、前年比22.3%減の2兆6887億円となった。住友生命は同24.3%減の2兆5085億円、メディケア生命は同22%増の293億円、海外事業(シメトラ)は同26.3%増の1510億円だった。
 基礎利益は、外国債券の積み増しや国内株式の増配等による利息収入の増加の他、事業費支出の減少等により、同9.2%増の3636億円と堅調に推移した。住友生命は同4.4%増の3525億円、メディケア生命は▲114億円、海外事業(シメトラ他)は同16.4%増の307億円だった。海外事業は前年比で2桁の伸びを示しており、着実にグループへの貢献度を増してきている。
 住友生命単体の利息及び配当金等収入は、外国債券の積み増しや国内株式の増配等により、同4.2%増の6134億円となった。順ざやは同75億円増の642億円だった。ソルベンシー・マージン比率は、価格変動準備金等の積み増しや、劣後債の発行などにより、前年度末比68.5ポイント上昇し、881.7%と引き続き十分な水準を維持している。
 18年3月期決算案に基づく社員配当金は、個人保険・個人年金保険で増配、団体保険で据置とする。団体年金保険は所定の算出方法に基づき配当を割り当て、「確定給付企業年金保険(02)等、新企業年金保険」で予定利率1.25%(解約控除あり)、0.75%共に責任準備金に対して0.1%を配当、「拠出型企業年金保険(02)」で予定利率1.25%の責任準備金に対して0.14%を配当する。
 住友生命は主力の営業職員チャネルにおいて、11年度からブランド戦略を基軸に営業職員体制の強化に取り組み、進化を続けるコンサルティングやサービスを土台に、多様化する顧客ニーズに対応した商品を開発・提供。15年9月に発売した就労不能保障「1UP」は販売累計95万件を突破した。「1UP」は30歳未満の若年層への販売が好調で全体の業績を押し上げている。
 17年度の若年層に対する保障性新規契約件数は12.3万件で前年比29.9%増加した。また、17年度の新規契約件数に占める若年層の割合も41.7%と前年比4.5ポイント上昇しており、若年層へのアプローチの効果が表れてきている。
 営業職員チャネルの保険契約の継続率は、13月目保険契約継続率が96.5%、25月目保険契約継続率が92.7%とブランド戦略などの効果で向上を続けている。
 金融機関等代理店については、低金利により、金融機関窓販での円建てマーケットが縮小する中、住友生命は一時払い、平準払い両方の円建て商品を継続して販売し、マーケットでの存在感を発揮しているという。一方、17年4月に投入した外貨建て一時払商品の販売が拡大。17年度の外貨建て一時払商品販売実績は、2408億円で窓販全体の4割超となった。取扱金融機関は95機関へ拡大している。
 メディケア生命は、商品ラインアップの拡充等を通じ、保有契約60万件を突破した。保険ショップは、90店舗へ拡大している。
 資産運用については、本年度も引き続き、資産運用の高度化・適切なリスクテイクによる収益向上を目指す。外国社債への投資などはシメトラ社とのシナジーが発揮できる分野であり、グループ全体で高度化に取り組む。
 海外事業については、高い成長性が期待できるアジア地域と、安定した収益力を持つ米国シメトラ社を加えたバランスの取れた海外事業ポートフォリオの中で、グループ全体の成長を目指していく。
 住友生命は健康増進型保険「Vitality」を18年7月に発売する予定。同商品は毎年変動する保険料と、提携企業による特典の二つの大きな特徴を備える。行動経済学を応用することで顧客に継続的な健康増進活動への取り組みを促すことができ、顧客の健康状態の向上と、健康長寿社会の実現に寄与する。
 同社は顧客、社会、企業、従業員が共通価値を創造するCSVの有効性は南アフリカの金融サービス会社ディスカバリー社の海外実績が証明しているとしており、同商品の提供を18年度最大の成長戦略と位置付けている。