2018.04.03 官民連携「防災経済コンソーシアム」 保険業界諸団体がメンバー 事業者の災害備え推進
事業者の災害への備えを官民一体で促進するための業界団体によるネットワークとして、内閣府との連携により、「防災経済コンソーシアム」が3月23日に設立された。取引先・金融機関・税理士・経済団体等の事業者の事業運営に関係する者が、共通の理念の下に、面的かつ継続的に働き掛けることを目指す取り組み。メンバーには、日本経済団体連合会の他、損保協会や外国損保協会、日本代協、日本保険仲立人協会など保険業界諸団体が名を連ねる。併せて、コンソーシアムメンバーが尊重すべき共通の理念として、「防災経済行動原則」が策定された。2018年度から具体的な活動を開始し、「行動原則」の考え方を事業者に普及・啓発していくとともに、メンバーの活動状況の共有等を通じて、普及・啓発やその他の課題等について、検討を進めていく。
コンソーシアムは、「近年の災害の激甚化や想定される大規模災害を踏まえれば、公助には一定の限界があるとともに、自助の促進が極めて重要」との認識を前提に、事業者が自然災害に対して災害リスクマネジメントを実施して事前の備えを充実させることを促進し、結果として社会全体の災害リスクマネジメント力向上により防災力が高まることを目的とする。
主な活動内容は、メンバーの情報伝達ルートを使った「行動原則」の普及・啓発、自助促進の活動などメンバーの活動状況の共有、その他勉強会等(行政や有識者からの情報提供)など。
コンソーシアムの活動・運営に当たり、各メンバーは、「行動原則」を可能な限り各メンバーの構成員等に普及・啓発することで、面的・継続的なアプローチや、事業者による理解が進むよう努力するとともに、コンソーシアムは、各メンバーの活動に資する取り組みを行う。例えば、「事務部会等における各メンバーの活動状況の報告を通じて、行動原則の普及・啓発や自助促進に当たっての好事例等を共有」し、「普及・啓発等における課題等について検討を行う」といった活動が想定されている。
年4回の事務部会(実務的な議論・共有)と年1回の総会(取組状況の共有や意思決定)を予定。総会でまとめた内容等を情報発信していく。メンバーの代表である幹事と内閣府が連携して事務局となり、初年度幹事は損保協会が務めることになった。
基本理念となる「行動原則」では、事業者に求められる自助・共助による事前の備えとして、①自らの災害リスクを適切に認識・把握する②認識・把握した自らの災害リスクに応じて、リスクコントロール(耐震補強、BCP対策等)とリスクファイナンス(保険加入、融資、現金保有等)の組み合わせによる効果的な災害リスクマネジメントによって、防災対策を実施する③自らが主体的に行動するため、自らの役職員への防災教育の充実により意識を向上させる④自らの事業経営に不可欠な取引先、金融機関、事業者団体等の関係機関等と連携・コミュニケーションを図り、自助・共助の防災対策を実施する―の4点を列挙。コンソーシアムのメンバーは、これらを実現するために必要な推進を図り、知見の共有による社会全体の災害リスクマネジメント力向上の推進や、業界の特性に応じた創意工夫により事業者の災害リスクマネジメント力向上のための普及・啓発を図る、としている。
メンバー構成は次の通り(五十音順)。
▽外国損保協会▽経済同友会▽全国銀行協会▽全国商工会連合会▽全国信用金庫協会▽全国信用組合中央協会▽全国中小企業団体中央会▽日本経済団体連合会▽日本商工会議所▽日本税理士会連合会▽損保協会▽日本代協▽日本保険仲立人協会