2018.03.07 生保各社の17年度第3四半期決算 保障性商品が順調に推移
生保各社がこのほど発表した2017年度第3四半期決算によると、第1、第2四半期に続き、4月の保険料改定の影響等を受けているものの、商品ポートフォリオを保障性にシフトする戦略によって、保障性主力商品の販売が順調に推移した。基礎利益は効果的な資産配分や、利息及び配当金等収入の増加などにより、引き続き堅調な伸びを示した。
かんぽ生命は四半期純利益が前年同期比10.3%増の750億円で、通期業績予想比で87.2%と順調な進捗(しんちょく)となった。個人保険の新契約年換算保険料は同23.2%減の2945億円だったものの、保障を重視した営業の取り組みや、17年10月の特約改定により、第三分野の新契約年換算保険料は同9.7%増の436億円と過去最高の水準にある。個人保険の保有契約年換算保険料は前期末比1.6%減の4兆8995億円となったが、第三分野の保有契約年換算保険料は同1.3%増の7454億円と前期末から増加し、増加基調へ転ずる兆しが見られる。
日本生命の連結業績は増収・増益だった。連結保険料等収入は前年同期比5%増の4兆596億円となった。日本生命は同2.5%減の3兆3803億円と前年同期実績を下回ったものの、三井生命は同33.8%増の5012億円と大幅な伸びを示した。MLCは1520億円だった。連結基礎利益は同8.3%増の4873億円。日本生命は同7.8%増の4490億円と堅調に推移した。三井生命は同20.9%増の367億円と2桁の伸びを示した。MLCは41億円となった。
明治安田生命はグループベース・明治安田生命単体ともに増収増益となった。グループ保険料(連結損益計算書上の保険料等収入)は、明治安田生命単体およびスタンコープ社の増収等により、前年同期比5.3%増の2兆2250億円となった。明治安田生命単体は、17年8月に発売した外貨建て一時払保険の貢献等で、1兆9984億円と同2%増加した。グループ基礎利益は、明治安田生命単体およびスタンコープ社の増益等により、同22.7%増の3934億円だった。明治安田生命単体の基礎利益は、外国公社債利息の増加や株式の増配等による利息及び配当金等収入が増加したこと等により、3619億円と同19.8%増加した。基礎利益はグループ・単体ともに過去最高益を達成した。
第一生命ホールディングスのグループ各社の業績を見ると、第一生命は保険料等収入が同10%減の1兆6986億円、資産運用収益が同9%増の8764億円だった。純利益は同15%増の1169億円。貯蓄性商品の販売を抑制した結果、保険料収入が減少したものの、相場環境改善を受けた利息配当金収入の増加等で運用収支が改善し、増益に転じた。第一フロンティア生命の保険料等収入は同49%増の1兆769億円、資産運用収益は同137%増の3383億円だった。純利益は同11%減の300億円。商品改定・新商品投入に加え、グループ内外で販売チャネルを拡充し、保険料収入の増収ペースが加速した。純利益は外貨建商品の販売増加に伴う危険準備金の繰入増加等から減益となったが、業績予想を上回る高い進捗となっている。
住友生命は連結保険料等収入が前年同期比28.7%減の2兆119億円で減収となったものの、グループ基礎利益は同13.9%増の2521億円と増益を確保した。グループの新契約年換算保険料は同27.2%減の1709億円で、保有契約年換算保険料は前年度末比1.3%増の2兆7753億円だった。住友生命単体の新契約年換算保険料(個人保険と個人年金保険)は、前年同期比47.7%減の1003億円となった。このうち、第三分野は同11.9%増の343億円と2桁の伸びを示した。保有契約年換算保険料(個人保険と個人年金保険)は、前年度末比0.2%増の2兆3309億円で、このうち第三分野は同2.1%増の5440億円となった。保険料等収入は同31%減の1兆8831億円、基礎利益は同12%増の2388億円だった。
ジブラルタ生命は個人保険と個人年金保険の合計(個人保険)の新契約高が前年同期比4.4%減の2兆7262億円、個人保険新契約年換算保険料は同13.5%減の531億円となった。個人保険の保有契約高は前年度末比1.5%増の36兆4769億円、個人保険保有契約年換算保険料は同1%増の9471億円、総資産は同2.1%増の11兆6152億円となった。保険料等収入は再保険取引による保険料が減少したこと等により、前年同期比7.5%減の7942億円となった。また、利息及び配当金等収入が増加したこと等に伴い、基礎利益は同23.2%増の1107億円と大幅な伸びを示した。四半期純利益は同5.1%増の663億円となった。
アフラックは個人保険分野の新契約件数が前年同期比4.6%減の113万7486件、新契約年換算保険料が同8.1%減の632億円となった。新契約年換算保険料のうち第三分野は同2.2%増の593億円だった。保有契約件数は前年度末比0.9%増の2441万8501件、保有契約年換算保険料は同0.7%増の1兆4158億円で、このうち第三分野は同1%増の1兆658億円だった。保険料等収入は前年同期比0.2%増の1兆843億円、四半期純利益は同17.6%増の1361億円、基礎利益は同11.9%増の2047億円となった。
メットライフ生命の新契約年換算保険料は前年同期比3.1%減の739億円となったものの、外貨建ての死亡保障および年金商品の新契約年換算保険料は、同35%超の伸びを示した。医療保険では、新終身医療保険の「Flexi S(フレキシィ エス)」と終身医療保険(引受基準緩和型)「FlexiGold S(フレキシィ ゴールド エス)」の販売が引き続き好調だった。保険料等収入は同31%減の1兆2754億円となった。基礎利益は同83.3%増の654億円。外貨建て商品や医療保険の販売が伸びるとともに、グローバルな規模を生かした資産運用力、事業費の効率化に向けた取り組みが利益を押し上げた。四半期純利益は同42.4%増の298億円だった。
ソニー生命は新契約年換算保険料が前年同期比4.1%減の519億円で、このうち第三分野は同16.8%減の93億円だった。保有契約年換算保険料は前年度末比2.6%増の8424億円で、このうち第三分野は同1.7%増の1907億円となった。保険料等収入は前年同期比8.1%増の7628億円、四半期純利益は同20.4%増の375億円、基礎利益は同7.3%増の706億円だった。
T&D保険グループの連結経常収益は前年同期比0.5%減の1兆4323億円。保険料等収入は1兆874億円で、同1%増加した。これは主に、T&Dフィナンシャル生命の一時払商品の販売増加等による。また、低金利下においても、利息及び配当金等収入は増加した。親会社株主に帰属する四半期純利益は581億円で、同11.7%減少した。主に、有価証券売却損益の減少等により経常利益が減少したこと等による。ただし、通期業績予想に対しては順調に進捗している。
フコク生命グループの保険料等収入は富国生命とフコクしんらい生命の合算で前年同期比9.8%減の4620億円となった。基礎利益は合算で同5.8%増の679億円だった。
朝日生命は保険料等収入が前年同期比0.9%減の2859億円となった。基礎利益は同73.3%増の209億円と大幅な伸びを示した。