2018.02.19 東京海上HD 17年度第3四半期決算、国内損保堅調で増収

東京海上ホールディングスは2月14日、2017年度第3四半期決算を発表した。連結経常収益は前年同期比7.4%増の4兆941億円だった。このうち正味収入保険料は、同7.0%増の2兆7157億円で、国内損保事業と海外保険会社での引き受け拡大、海外での円安進行の影響等により増収となった。生命保険料は、東京海上日動あんしん生命の保有契約の拡大や海外での円安進行の影響などを要因に、同6.8%増の6764億円と好調に推移した。一方、国内外での自然災害に係る発生保険金の増加や東京海上日動での大口事故等を主因に、連結経常利益は同24.9%減益して2372億円。親会社株主に帰属する四半期純利益も同30.2%減の1593億円だった。同様に、異常危険準備金の繰入やのれん・無形固定資産の償却負担等の影響を控除した修正純利益も同25.5%減少して、2384億円となった。

 国内損保事業では東京海上日動の保険引受利益が同588億円減の408億円となった。正味収入保険料で自動車保険の契約件数増加を主因とする増収や、超ビジネス保険の販売拡大等によるその他種目の増収があった一方、自然災害に係る発生保険金の増加、大口事故等の影響の他、正味収入保険料の増収に伴う発生保険金や代理店手数料の増加が主な要因となり、減益となった。
 正味収入保険料は、火災が家計・企業分野共に増収し、同3.4%増の2051億円となった。傷害は、その他種目への一部種目移行により同3.3%減の1316億円と減収した。自動車は、契約件数増加を主因として、同1.3%増の7972億円、自賠責も同じく同3.4%増の2162億円と共に増収した。その他は、同5.4%増の2196億円。保証保険での解約の影響があったものの、傷害保険からの一部種目移行に加え、超ビジネス保険の販売拡大等により、増収した。海上は同0.3%減の432億円だった。正味収入保険料の合計は、同2.0%増の1兆6130億円で前年同期実績を上回った。
 発生保険金(損害調査費含む)は同835億円増加し、8733億円となった。E/I損害率は自然災害に係る発生保険金が増加したことに加え、大口事故等の影響により、同4.7ポイント上昇の62.5%となった。事業費率は正味収入保険料の増収が主な要因となり、同0.2ポイント低下の32.0%。コンバインド・レシオ(民保E/Iベース)は同4.5ポイント上昇して94.4%となった。
 資産運用等損益は、外国株式配当金(海外子会社からの配当金収入)の増加を主因に同627億円増益の2092億円となった。
 経常利益は同61億円増の2510億円、四半期純利益は同85億円増益の2015億円、単体ソルベンシー・マージン比率は前年度末比6.5ポイント上昇し867.4%となった。
 日新火災の保険引受利益は前年同期比24億円減益の27億円だった。火災保険に係る新商品の販売拡大による増収や自動車保険に係る発生保険金の減少等があったものの、自然災害や傷害・新種保険に係る発生保険金が増加したことから、前年同期実績を下回った。
 資産運用等損益は、有価証券売却益や償還益の増加等により、15億円と同8億円増益した。
 経常利益は同17億円減の37億円、四半期純利益は同11億円減益の26億円、単体ソルベンシー・マージン比率は前年度末比79.6ポイント上昇し1405.1%となった。
 東京海上日動あんしん生命の新契約年換算保険料は、長期貯蓄性商品の販売休止等の影響で、前年同期比8.7%減収し、699億円だった。長期貯蓄性商品を除いたベースでは、第三分野の新商品効果の反動があるものの、家計保障定期保険等の販売が好調に推移し、同0.8%の増収だった。
 保有契約年換算保険料は、同3.8%増の8430億円。変額商品の運用期間満了に伴う一括支払いがあったものの、新契約の積み上がりにより、増収を確保した。
 四半期純利益は、標準利率改定への対応で責任準備金の積み増し負担が減少した一方、危険準備金の積み増し負担の増加や前年同期に計上した有価証券売却益の反動等により、同3億円減益の114億円となった。基礎利益は、同2億円減益の238億円だった。
 海外保険事業の正味収入保険料は各事業の成長施策の進展や円安進行の影響等によって、同18%増収し、1兆3321億円となった。北米はフィラデルフィア、デルファイ、TMHCCにおける更新契約の料率引き上げや引き受け拡大等で同16%増の8060億円だった。欧州はTokio Marine Kilnでの引き受け拡大等によって同32%増の1226億円。中南米はブラジルの自動車保険引き受け拡大を主因として増収し、同36%増の1137億円だった。アジア(中東含む)はインドの出資比率引き上げや各拠点の成長施策の進展等によって同36%増収し、1072億円となった。
 事業別利益は、各事業での成長施策の進展や円安進行の影響等があったものの、北米ハリケーン等の大口自然災害や為替換算損益の悪化等により減益し、同34%減の794億円となった。
 このうち北米は、フィラデルフィアが北米ハリケーン等の大口自然災害や大口事故の影響等により、TMHCCが同じく大口自然災害や為替換算損益の悪化等によりそれぞれ減益したものの、デルファイは前年同期の投資実現損の反動や運用資産増加等に伴う資産運用収益が増加したことで同3.0%の増益となり、912億円となった。
 欧州は北米ハリケーン等の大口自然災害や為替換算損益の悪化等により大幅に減益し、同303%減の▲222億円となった。中南米はブラジルの自動車保険の収益改善を主因に増益を確保し、同66%増の41億円、アジア(中東含む)はインドの出資比率引き上げ、リザーブ取り崩しや各拠点での収益改善等によって同102%増の116億円だった。