2018.01.18 ぜんち共済が商品改定を実施 東京海上日動と提携、個人賠償責任補償を大幅拡充

少額短期保険会社のぜんち共済が、東京海上日動と提携して、「ぜんちのあんしん保険」「ぜんちのこども傷害保険」に支払限度額5億円(国外事故は1億円)の個人賠償責任補償をセットすることで、高額な賠償事案にも対応することを可能とする商品改定を行った。東京海上日動の個人賠償責任補償は示談交渉サービスを付帯している。1月1日から提供している。同時に、顧客の利便性向上に向けた取り組みとして、高齢者プランの新設や、インターネットによる加入申し込みの導入、保険料払込方法の充実も行った。

 「ぜんちのあんしん保険」は、障がいのある人に真に役立つ保障として開発されたもので、医療保障、個人賠償責任補償、死亡保障に加えて、トラブルなどに巻き込まれたときの弁護士費用を補償する権利擁護費用補償を備える。「ぜんちのこども傷害保険」は、特別支援教育が必要な子どもが対象で、子ども自身のリスクと保護者や学校の経済的負担リスクに備える個人賠償責任補償、権利擁護費用補償、傷害死亡・入院・通院保障をセットで提供する。
 両商品共に、少額短期保険業の規制によって、個人賠償責任補償の支払限度額は最高1000万円までとなるため、損害賠償額が1000万円を超える高額な賠償事案には対応できなかった。
 自転車事故などで加害者側に高額な賠償を命じる判決が相次いで報道される中、契約者から、両商品の個人賠償責任補償の支払限度額では不安との声が寄せられるようになったことから、今回、東京海上日動と提携し、個人賠償責任補償の大幅な拡充を図った。これによって、高額賠償事案にも対応が可能となり、併せて示談交渉サービスも付帯された。示談交渉サービスについては、損害賠償事故の場合、加害者・被害者双方の感情が複雑に絡み、当事者同士で示談交渉することが困難なケースが多く、大変な労力と精神的な負担がかかるため、障がいのある人の家族や障がい者福祉に携わる人から、長年にわたり要望のあったサービスで、今回、その提供を実現した。
 ぜんち共済と東京海上日動の個人賠償責任補償共通の補償内容は、被保険者本人が日本国内で他人にけがなどをさせたり、他人の財物を壊して法律上の損害賠償責任を負った場合に保険金を支払うこと(示談交渉サービス付き)。東京海上日動の個人賠償責任補償では、被保険者本人に加え、本人の配偶者、本人またはその配偶者の同居の親族等の事故を補償する他、日本国内の事故だけでなく、日本国外の事故(1億円限度)も補償する(示談交渉サービス付き〈国内の事故に限る〉)。両社の商品で対象となる事故の場合、支払限度額は5億1000万円となる。
 榎本重秋社長は「個人賠償責任補償の支払限度額は当社の大きな課題だったが、東京海上日動の多大な協力によって、それを大幅に引き上げることができ、顧客も非常に喜んでいる。保険料は引き上げとなったものの、2018年1月の既契約者の更新率は約95%と見込んでおり、高い評価をいただいている」と説明する。
 高齢者向けプランについては、これまで「ぜんちのあんしん保険」に加入できる年齢を満5歳~満74歳までとしていたが、障がいのある人々の高齢化に伴い、同プランを求める顧客の声が増えてきたことに対応して新設した。更新時75歳の契約満了となった顧客は高齢者向けプランに移行することで、84歳まで継続加入が可能となる。
 また、最近はホームページからの資料請求が増加していたことから、インターネットによる加入申し込みを導入。同社ホームページから加入手続きの全てをインターネット上で完結することを可能にした。
 保険料払込方法の充実に関しては、保険料の月払い、クレジットカード払いができるようにした。障がいのある人は、限られた年金や収入の中から保険料を年払いで支払うことが難しいため、月払いの導入を要望する声が多かったことに対応した。さらに、キャッシュレス化の推進による顧客の利便性向上を図るため、クレジットカード払いの取り扱いも開始した。
 同社は、16年に設立10周年を迎えたのを機に、約1年をかけて、これまでに蓄積してきた同社の保険金支払いに関連するデータなどを分析して、被保険者の健康状態の変化が国民統計のそれとどの程度乖離(かいり)があるのかなどについてまとめた「ぜんち白書」を作成した。
 榎本社長は「障がいのある人に関する公式なデータが社会にない中、同白書は重要な資料となる。このデータに基づいて、今後の商品やサービス向上に結び付けていきたい」と話す。
 加えて、「今回の商品改定は、東京海上日動が障がい者保険の分野に参入し、大手保険会社に障がい者保険に真剣に向き合ってもらえる時代が来たという点で非常に大きな意味があることと捉えている。今後も、当社の専門性を発揮して、障がいのある人が幸せに暮らすことができる商品・サービスを提供できるように保険会社との連携を強めていきたい」と意欲を示す。