2017.12.11 生保各社の17年度第2四半期決算、営業業績 想定通りの水準

生保各社がこのほど発表した2017年度第2四半期決算によると、4月の保険料改定の影響等を受けたものの、第三分野商品や外貨建て商品の販売に戦略的にシフトした効果で営業業績は想定通りの水準となっている。基礎利益は効果的な資産配分や、利息及び配当金等収入の増加などにより、堅調に推移している。

 かんぽ生命は中間純利益が前年同期比20.6%増の512億円で、通期業績予想比で59.6%と順調な進捗(しんちょく)となった。個人保険の新契約年換算保険料は4月の保険料改定の影響等により2089億円と同734億円減少したものの、保障を重視した営業の取り組みで、第三分野の新契約年換算保険料は同7.4%増の279億円と中間期としては過去最高を記録した。個人保険の保有契約年換算保険料は、4兆9244億円とやや減少したが、第三分野の保有契約年換算保険料は7363億円と前期末の水準を維持した。
 日本生命の連結業績は増収増益だった。保険料等収入は、日本生命の法人向け新商品「ニッセイ傷害保障重点期間設定型長期定期保険“プラチナフェニックス”」の販売増や三井生命の増収、MLC Limited(MLC)の連結反映等を主因に増収した。基礎利益は日本生命での利差益の改善に加え、三井生命の増益、MLCの連結反映等によって増益となった。国内の個人保険・個人年金保険は、新契約業績が件数、保障額等は減少したものの、年換算保険料は増加した。保有契約業績は保障額等は減少したが、件数、年換算保険料は増加した。
 明治安田生命は16年3月に子会社化したスタンコープ社の業績貢献等により、グループベースで増収増益を達成した。明治安田生命単体の基礎利益は効果的な資産配分に加え、対前年で為替が円安に推移したこと等による利息及び配当金等収入の増加が利差益拡大に貢献し、大幅増益。これにより、グループ・単体共に上半期ベースで明治安田生命発足以来の最高益となった。
 第一生命ホールディングスの連結経常収益は増収となった。第一フロンティア生命の外貨建て貯蓄性商品の販売が好調だったことや、第一生命で円貨建て貯蓄性一時払商品の販売を戦略的に抑制し減収となったものの、16年度から進めてきた保障性商品へのシフトが進んだこと、海外生保事業が堅調に推移したことによる。連結純利益は増益となった。第一生命の利息配当金等収入の増加、第一フロンティア生命の利益改善、ジャナス・ヘンダーソン合併に伴う株式交換益の計上などもあり、業績予想の通り順調に進捗した。グループ基礎利益も増益を確保した。
 住友生命の連結保険料等収入は前年同期比21.7%減の1兆3501億円で減収となった。グループ基礎利益は同23%増の1683億円で増益を確保した。グループの新契約年換算保険料は同13.8%減の1234億円で、保有契約年換算保険料は前年度末比0.8%増の2兆7626億円だった。住友生命単体の新契約年換算保険料は貯蓄性商品の前年の販売実績が高水準であった影響等によって、前年同期比40.7%減の679億円となった。15年9月に発売した就労不能保障「1UP」は累計販売件数75万件を突破。「1UP」の好調もあり、第三分野の新契約年換算保険料については同10.2%増の226億円と2桁の伸びを示した。
 ジブラルタ生命は個人保険と個人年金保険の合計(個人保険)の新契約高が前年同期比2.8%減の1兆8385億円となった。個人保険新契約年換算保険料は362億円で同13.1%減少した。個人保険の保有契約高は前年度末比1.1%増の36兆3629億円、個人保険保有契約年換算保険料は同0.9%増の9462億円となった。総資産は11兆5919億円で同1.9%増加した。保険料等収入は再保険取引による保険料が減少したこと等により、前年同期比11%減の5449億円となった。また、為替変動の影響等により、利息及び配当金等収入が増加したこと等に伴い、基礎利益は同31.4%増の722億円となった。中間純利益は同6.5%増の415億円だった。
 アフラックは医療保険の販売は増加したものの、がん保険と第一分野商品の販売が減少したため、個人保険分野全体での新契約件数は前年同期比4.2%減の78万件となった。新契約年換算保険料は第三分野が同3.4%増加したが、全体では同7.8%減の432億円と前年同期実績を下回った。保有契約件数は前年度末比0.7%増の2436万件と順調に推移した。保有契約年換算保険料は同0.5%増の1兆4135億円で、このうち第三分野は1兆627億円となった。保険料等収入は前年同期比0.1%減少したものの、資産運用収益が同0.9%増加したこと等によって、経常収益は同0.2%増の8659億円となった。経常利益は経常費用が同2.8%減少し、経常収益が増加したため、同21%増の1292億円となった。当期純利益も同23%増の911億円と大幅な伸びを示した。基礎利益は基礎収益は減少したものの、責任準備金等繰入額の減少に伴い、基礎費用が減少したため、同15.8%増の1425億円と2桁の伸びとなった。
 メットライフ生命の新契約年換算保険料は前年同期比3.4%減の482億円となった。15年から戦略的に円建ての死亡保障および年金商品の販売を抑制し、販売の重点を外貨建ての商品へシフト。医療保険では、新終身医療保険の「Flexi S(フレキシィ エス)」と終身医療保険(引受基準緩和型)「Flexi Gold S(フレキシィ ゴールド エス)」の販売が好調だった。保有契約件数は前年度末比1%増の889万件、保有契約年換算保険料は同1%増の1兆492億円だった。保険料等収入は前年同期比8.5%増の8421億円と堅調に推移した。基礎利益は438億円で、同140.2%の大幅増となった。主力商品の販売が順調に伸び、資産運用や事業費管理が効果的に行われた他、リスク管理を徹底したことによる。
 ソニー生命は新契約年換算保険料が前年同期比16.4%減の323億円で、このうち第三分野は同26%減の59億円だった。保有契約年換算保険料は前年度末比1.5%増の8335億円、第三分野は同1.1%増の1896億円となった。保険料等収入は前年同期比0.6%増の4804億円、中間純利益は同25.6%減の169億円、基礎利益は同43.1%増の438億円だった。
 T&D保険グループの連結経常収益は9210億円で、前年同期比3.6%減の減収だった。貯蓄性商品の販売停止・抑制により、保険料等収入が6902億円と同5.8%減少したことが主因となった。連結経常利益は同7.9%減の835億円、中核生保3社合算の基礎利益は同12.7%増の825億円だった(前年同期の基礎利益を当期基準で算出した数値との比較)。親会社株主に帰属する中間純利益は金融派生商品費用の増加等による経常利益の減少等を要因として、同8.5%減の441億円だったが、連結主要収支はおおむね通期業績予想に沿った進捗となっている。
 フコク生命グループの2社合算の基礎利益は前年同期比17.1%増の493億円と01年の開示以来最高を確保した。予定利率引き下げによる貯蓄性商品の販売減で新契約高・新契約年換算保険料は減少したものの、富国生命の主力「未来のとびら」「医療大臣プレミアエイト」が堅調に推移。第三分野については、保有契約年換算保険料も増加傾向にある。
 朝日生命は個人年金保険の販売停止を主因に、新契約業績は前年同期比78.1%と前年を下回ったものの、同社が注力する第三分野の保有契約年換算保険料は前年度末比102.2%と引き続き増加基調を維持。また、個人マーケット向け代理店チャネルにおいては、保障性商品の新契約が前年同期比118.3%、保有契約年換算保険料が前年度末比120.5%と共に前年実績を上回った。