2017.12.08 MS&ADインシュアランスグループ 自動運転化向け新商品

三井住友海上とあいおいニッセイ同和損保の2社は来年1月、自動車保険の新特約「不正アクセス・車両の欠陥等による事故の被害者救済費用特約」を発売する。第三者による不正アクセスや契約車の欠陥等で人身または物損事故が発生し、被保険者に損害賠償責任がない場合に、被害者に生じた損害で被保険者が負担した費用を補償する。独自に実施した意識調査から、消費者の多くが自動運転車による事故も確実に補償される制度・仕組み等を求めていることが判明。こうした消費者ニーズに応えることが、自動運転システムの社会的受容性を向上させ、普及に貢献すると判断した。来年1月1日以降始期契約を対象とし、MS&ADインシュアランスグループの全ての自動車保険契約(注)に追加保険料なしで自動セットする。

 両社にインターリスク総研を加えたMS&ADインシュアランスグループでは、今年6月、自動運転車に対する消費者の意識や社会的受容性を把握し、商品・サービスの高度化と新たな開発に生かすことを目的に、「自動運転車および公道実証実験に関する消費者の意識調査」を実施(調査結果の詳細は2面に掲載)。その結果、交通事故の減少等、自動運転技術の実用化に期待する声が高く、公道実証実験の実施に賛成する人も増加している一方、自動運転技術・性能・セキュリティーに起因する事故等を不安視する声が多いことも分かった。
 「不正アクセス・車両の欠陥等による事故の被害者救済費用特約」は、第三者による不正アクセスや契約車に存在した欠陥等により人身事故または物損事故が発生した場合で、運転者等の被保険者に法律上の損害賠償責任がなかったことが確定(法令・判例等に照らして被保険者に法律上の損害賠償責任がなかったと同社が認めた場合を含む)したときに、被害者に生じた損害(被害者自身の過失により生じた損害額を控除した額)について被保険者が負担した費用を補償するもの。車両の欠陥等については、リコール、警察の捜査等の客観的な事実により確認できる場合に限り、補償する。
 契約車への不正アクセスや車両の欠陥等による事故が発生した場合の保険金支払い対応としては、被保険者の損害賠償責任がない場合、現行の対人賠償保険と対物賠償保険では、保険金支払いに向けた対応ができないが、同特約の新設後は、保険金支払いに向けた対応ができるようになる。
 また、被保険者の損害賠償責任の有無が不明の場合も、現行では、保険金支払いに向けた対応ができないが、同特約の新設後は、被保険者の法律上の賠償責任の有無が不明であっても、保険金支払いに向けた対応が可能となる。その後、被保険者に損害賠償責任がないことが確定した場合は、事故原因がリコールや裁判等の客観的な事実により確認できる場合に限り、同特約により保険金を支払う対応を進める。
 被保険者の損害賠償責任がある場合に関しては、現行と同様に、保険金支払いに向けた対応が可能。
 なお、同特約の発売に当たって、来年1月1日以降始期契約を対象に、「車両保険無過失事故特約」の改定も実施。「不正アクセス・車両の欠陥等による事故の被害者救済費用特約」と同様の事由で他物と衝突・接触等が発生した場合についても、車両保険無過失事故特約を適用し、ノーカウント事故とする。
 自動運転システム等が発展する中、そのシステムの欠陥やハッキング等による契約車への不正アクセスに起因して自動車事故が発生した場合、運転者や被害者など従来の事故当事者に加え、製造業者やソフトウエア事業者など賠償義務者が多岐にわたるケースが生じ得る。
 この場合、責任関係が複雑化し、事故原因の究明や各関係者の責任の有無や過失割合の確定等に一定の時間を要するという懸念がある。
 MS&ADインシュアランスグループでは、自動運転技術の導入が期待される最近の社会環境変化を踏まえ、将来発生し得る契約車への不正アクセスや車両の欠陥等に起因する事故についても、迅速な被害者救済を図ることを目的に開発したとしている。
 (注)対人賠償保険または対物賠償保険をセッ卜した契約に限る。また、三井住友海上の自動車保険「1DAY保険」「GKクルマの保険・ドライバー保険」、あいおいニッセイ同和損保の自動車保険「ワンデーサボーター」「ドライバー保険」を除く。