2017.11.17 かんぽ生命 17年度第2四半期決算、中間純利益2割増加

かんぽ生命は11月14日、2017年度第2四半期決算を発表した。中間純利益は、前年同期比20.6%増の512億円で、通期業績予想比で59.6%と順調な進捗(しんちょく)となった。個人保険の新契約年換算保険料は、4月の保険料改定の影響等により2089億円と同734億円減少したものの、保障を重視した営業の取り組みで、第三分野の新契約年換算保険料は、同7.4%増の279億円と、中間期としては過去最高を記録した。個人保険の保有契約年換算保険料は、4兆9244億円とやや減少したが、第三分野の保有契約年換算保険料は、7363億円と前期末の水準を維持。低金利環境の継続を受け、ALMを重視しつつ、株式・外国債券などリスク性資産への投資を拡大した結果、リスク性資産の総資産に占める割合は11.5%まで拡大した。エンベディッド・バリュー(EV)は前期末から2429億円増加し3兆5986億円、新契約価値は前年同期から965億円増の1022億円となった。

 個人保険の新契約件数は、前年同期比40万件減の94万件となった。
 商品別では、保険料改定の影響により、貯蓄性の強い商品の占率が減少。普通養老保険は27万件(占率:29.6%、前年同期実績58万件)、特別終身は7万件(占率:7.8%、前年同期実績15万件)、学資保険は6万件(占率:7.3%、前年同期実績20万件)だった。一方、保障ニーズを捉えた営業推進により、特別養老保険は17万件(占率:18.4%、前年同期実績13万件)、普通終身(定額型)は16万件(占率:17.8%、前年同期実績14万件)、普通終身(倍型)は18万件(占率:19.1%、前年同期実績12万件)と占率が増加した。
 個人保険の保有契約件数は、新旧区分合算で、前期末から54万件減少し、3102万件となった。商品別の内訳は、養老保険が1298万件(占率:41.9%、前年度末実績1349万件)、終身保険が1294万件(占率:41.7%、前年度末実績1279万件)、学資保険が494万件(占率:15.9%、前年度末実績512万件)、その他が14万件(占率:0.5%、前年度末実績14万件)。終身保険が増加傾向にあることから、養老保険と終身保険の占率がほぼ同水準となった。
 連結の経常収益は前年同期比2790億円減の4兆548億円で進捗率は52.7%、保険料等収入は2兆2035億円で同6089億円の減少。資産運用収益は同373億円減の6409億円、責任準備金戻入額は同3789億円増の1兆1841億円だった。経常利益は同610億円増の1688億円で進捗率は67.5%、親会社株主に帰属する中間純利益は同87億円増の512億円で進捗率は59.6%だった。連結の経常収益はやや減少したものの、経常利益・中間純利益共に増益を確保し、通期業績予想に対して順調に進捗している。
 経常費用は同3400億円減少して3兆8859億円となった。保険金等支払金は3兆5257億円で同2674億円の減少、資産運用費用は同709億円減の343億円。事業費は同119億円減の2660億円で、このうち約7割を占める日本郵便へ支払う委託手数料は、新契約の減少により、同71億円減の1895億円。契約獲得実績に応じて支払う新契約手数料は同124億円減の839億円、保全・支払業務等に応じて支払う維持・集金手数料は同53億円増の1056億円だった。
 総資産は前年度末比2.1%減の78兆6393億円、純資産は同9.3%増の2兆255億円だった。
 資産運用については、近年の低金利環境を受け、運用資産の多様化を進めてきた結果、株式・外国債券などリスク性資産の残高は9兆円と、総資産比の11.5%まで拡大。同社では今後もマーケット環境を注視しつつ、リスク性資産への投資を継続する方針で、18年3月末の総資産比は12%程度を見込んでいる。負債の平均予定利率の低下が続く一方で、資産の利子利回りは前年同期と同水準を維持し、350億円の順ざやを確保した。また、キャピタル損益は24億円のマイナスとなったものの、マーケット変動の影響を受けた前年同期からは改善した。
 有価証券の時価及び含み損益は、総資産の減少等に伴い、満期保有目的や責任準備金対応で保有する債券の含み益は7兆538億円と前期末に比べてやや減少した。その他有価証券の含み益は、米国金利の低下、株式相場の上昇により、外国証券・金銭信託の含み益が増加したことから、前期末比で増加し6619億円。この結果、有価証券全体の含み益は、前期末とほぼ同水準の7兆7157億円となった。
 連結ソルベンシー・マージン比率は、リスク性資産への投資拡大等により1207.7%と、前年度末比82.9ポイント低下したが、引き続き高い健全性を維持している。