2017.10.04 あいおいニッセイ同和損保 自動車損調に業界初のCDR導入、事故直前のEDRデータ解析

 あいおいニッセイ同和損害保険(株)は、損保業界で初めて自動車のブラックボックスといわれるEDR(イベント・データ・レコーダ、※)のデータを活用した自動車事故損害調査に10月から順次取り組むことを発表した。ボッシュ社の提供するEDRデータ読み取り解析機器(CDR)を導入し、事故直前の車両の挙動や運転状態を把握することで、より精度の高い調査を短時間で提供することが可能になるという。

 同社は自動車事故の調査会社であるあいおいニッセイ同和損害調査(株)(代表取締役社長:黒田昌浩氏)に委託し、EDRデータを活用した事故の原因調査を開始する。
 現在多くの自動車には、事故による衝撃を検知した際に車両状態に関わる多くの情報を時系列で記録するEDRという装置が搭載されている。EDRは一定以上の衝撃が加わった場合、そこからさかのぼり事故直前の車両の挙動や運転手の運転状態、事故の大きさ、方向、時間などを記録しておく装置で、記録されたデータから保険契約者が交通事故に巻き込まれた際の車両の状態を解析し、保険契約者の賠償責任の有無や分担割合などを判定することが可能となる。
 ただし、データの抽出には特殊な装置が必要で、データ解析にも専門的なスキルが必要となるため、従来は外部機関へ調査を依頼し、結果判明までに数週間を要していた。あいおいニッセイ同和損害調査は、CDRを導入すると同時に、専門スキルを持つ社員を育成することで、直接事故車両からデータの抽出・解析を行うこととしている。データの抽出・解析を内製化することで、これまで以上にスピーディーな事故解決が期待される。
 EDRを活用した損害調査は、米国では2000年ごろより実施されており、今後は日本でも自動運転などを見据えて浸透が進むことが予想される。
 現在、ボッシュ社のCDRで解析可能な自動車メーカーはトヨタ、GM、クライスラー、ボルボだが、同社では、他メーカーについても対応を拡大していく方針だ。
 (※)EDRは主にエアバッグ制御用のコンピューターに内蔵されており、一般的に衝突から約5秒間さかのぼって車両速度、ブレーキ操作、ステアリング操舵(そうだ)角、シートベルトの装着状態、エンジン回転数、アクセル開度、シフトポジション等の情報が記録される。日本では法律による車両への装着義務はないが、多数の国内メーカーの車両に装着されている。海外での訴訟では、証拠として数百件が提出されており、日本でも訴訟の場で事故状況を立証する証拠として、提出されている事例が増加している。